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明日死んでしまうあなたへ  作者: 小畠愛子
第一章 旦那様は明日死ぬ⁉
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1日目③

「明日死ぬって、えっ、どうして!? どこかお悪いのですか!?」


 しかし、旦那様はわたしの話など全く聞かず、ただ泣きわめくばかりだった。そのすきに、使用人が耳打ちする。


「御主人様は、明日死ぬ病にかかっているのです」

「明日死ぬって、そんな!」


 バツ9どころか、死んでしまうなんて! 驚くわたしに、使用人は続けた。


「もちろん、実際は死にません。ですがなぜか、本人だけはそう思いこんでいるのです」

「それなら、そう説得すれば…」


 使用人は、あきらめ顔で首を振った。


「実際に、本人の中では死んでしまっているのでしょう。明日になればまた、同じようにわめきちらしていらっしゃるでしょう。もちろん、今日の記憶は完全になくなります」


 にわかには、信じられない話だった。病気だと思いこんでいるならまだわかるが、明日死ぬと思いこんで、しかも本人の中では本当に死んでいるなんて。まごつくわたしを尻目に、使用人は旦那様に声をかけた。


「勇気様、どうかお気を確かに! …今日までの命と知り、わたくしめが勇気様のために、伴侶となる女性を見つけてまいりました。愛子様でございます」


 おどおどとしているわたしを、旦那様はじっと見つめた。そして、一言だけこうつぶやいた。


「…申し訳ない」

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― 新着の感想 ―
[一言] なるほど、粗筋の部分にあった「毎日、明日死んでしまう」というのはそういう事だったのですか。 本作の設定年代である明治・大正期ならば現代に比べて医学などもまだまだ発展途上の状態ですので、患者で…
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