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明日死んでしまうあなたへ  作者: 小畠愛子
第一章 旦那様は明日死ぬ⁉
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13/28

1日目⑬

「それじゃあ、完成させないのですか?」


 食後に書斎に戻ったわたしは、目を丸くしていた。


「ああ。無理に完成させるよりは、書けるところまで書いて、それで絶筆したほうがいいだろう?」

「でも、それでは織姫と彦星がかわいそうです!」


勇気様は、少し眉間にしわを寄せてわたしを見た。


「中途半端なハッピーエンドのほうが、よほど彼らにとって失礼じゃないかな?」

「そ、それは…」

「…すまない、責めるような口調になってしまった。でもね、愛子さん。結末を描いてしまうと、物語はそこで終わってしまう。でも、絶筆なら、そこからお話はふくらむんだ。…ぼくだって、人生は終わるけれど、お話は終わらない。…そうだ、だったらどうだろう、君が続きを書いてくれたまえよ」

「えっ、わたしがですか!?」


 予想だにしない提案に、わたしは完全にめんくらってしまった。


「そう、君がだよ。だって君は、ぼくが出会った初めての、そして最高の読者なんだから。きっとできるよ。…さぁ、こうしちゃいられない。こっちへおいで。お話の書き方について教えてあげよう」

「えっ、結末を教えてくださるんではないのですか?」

「ぼくの結末と君の結末は違うよ。人生とおんなじでね。君には君の結末があるはずだよ。…そしてそれはきっと見つけられるはずだ。さ、おいで。お話の手ほどきをしよう」


 完全に乗り気の勇気様に、わたしは頭を抱えるばかりだった。

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