第二十二話 反抗
涼也が外まで出てくると、早苗が眷属に向けて喋っているところだった。
「じゃ、前の担当はモミジネ。セーブしてるその力、存分に発揮してくれて良いケド、怪我人だけは出さないように頼むヨ」
「わかりました。神様のご期待に添える様最善を尽くします」
涼也はその会議に入り込むと、早苗に言い放った。
「俺も連れて行け」
早苗に見つめられる。苦笑いしていた。
「どうせそういうと思ってたけどサー、アタシ達に涼也クンがついて来れるのカナー?足手纏いになったら楓斗クンやキミの眷属が殺されちゃうかもヨ?」
「バカ言うな。調合の神だぞ。俊足、体力回復、筋力増強、ポーションを何でも取り揃えてお前らを置いてってやるぞ」
「ならまあ大丈夫ダネ。サポート役もある程度期待しておいて良いのカナ?」
「必要ならいくらでもしてやるよ、10%オフの価格でな」
「アタシが言うのも何だけどキミも抜け目ないネ?」
それから5分後、5人で結成された救助隊は西の洞窟へ向かった。早苗達のあまりに無口な様に涼也は我慢出来ず話題を振ったが、どうにも盛り上がらず無言になってしまっていた。
⭐︎
戦いは比較的こちら優位で進んではいるものの、デスハウンドはどうすることもできずグレートハウンドの相手をするのが精一杯だった。
「おいちびっ子!まだ耐えれるか!?」
「まだ行けます!それと僕の名前はアレスですっ!」
ユーリとアレスは変わらず前線をいなし続けている。カトレアとラミアも横から参戦しており、後ろでガロンとサマル、そして俺がサポートする構図だ。
「アレス、そろそろ限界でしょう?一旦後ろに回りなさい。私が出ますから」
「っ…!?カトレア姉ちゃんすまねぇ!頼む!」
疲労の限界が来ていたアレスに変わりカトレアが前線を支え始めた。ユーリと共に敵を蹴散らす様子は、舞台を踊っているかのような美しさがあった。
「カトレアが来るなら安心だな、あのちびっ子も良いがやっぱお前は格別だわ」
「大変光栄で誉れ高いです。ユーリさんも短剣でずっといなし続けて素晴らしいと思いますよ」
「あったりめぇだ。こんなとこで死んでたまるかってんだ」
とうとうグレートハウンドは残り数匹まで減った。しかし、同時にその時が来てしまった。
バリン
ガロンの防御壁が壊れてしまった。そして、
「ぐはっ…!?」
グレートハウンドの強烈な引き裂きがユーリに命中していた。痛みで短剣すら落とし、その場に倒れ込む。
グレートハウンドはそのまま殺害せんと追撃しようとするが、ラミアがハルバードでぶん殴りグレートハウンドの息の根を止めた。俺がユーリを後方に運び、サマルが介抱する。
「麻痺毒が含まれています。急いで地上に戻って薬を使わないと取り返しのつかないことになりますよ」
サマルが淡々と告げた。しかし、俺もガロンも首を縦には振らない、いや振れなかった。
「ただでさえギリギリの状態じゃと言うのに、今から地上に向かわせる部隊など用意出来る筈が無かろうて」
「ああ、ガロンの言う通りだ。今戦力を割けるほどの余裕は無い。だから取れる戦略は一つだ」
前線を見れば、襲いかかるデスハウンドをカトレアアレスラミアの3人で対応しているところだった。
「早急にあいつを始末して地上に全員で帰る」
タイムリミットまでそう遠くは無さそうである。




