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第十一話 暗黒



「う、うわあああああ!!!」



 洸平は変な奇声を上げながら洞窟の奥へと消えていく。



「洸平、止まれ!1人で動くのは…!」



 俺が声を張り上げるが、洸平は見向きもせず洞窟の奥へ奥へと走っていく。現実から逃げるように。



「カトレア!アレス!あいつを連れ戻してくれ!あいつがここで倒れて終わるのは心底気分が悪くなる!」



「分かっています。すぐ追いつきますので」



「姉ちゃん、行こう!」



 カトレアとアレスは全速力で洸平の後を追う。彼ら2人ならすぐ追いつくことも出来るだろうと思い安心していると、



「…!」



 咄嗟に勘づいてしゃがむと、一本の槍が空中を刺した。



「せめて、ここだけでも…!」



 洸平の眷属はまだ諦めていないらしい。ラミアが素早く動き俺とあちらの眷属の間に入り、戦闘体制を整える。



「神様のことはあたしが絶対に守る…!」



 すると、そこにジャスターが起き上がり両者の間に割って入る。



「ザグタス、もうよせぇ。俺たちゃ負けたんだからさぁ」



 するとザグタスと呼ばれた眷属は苦悩の表情を浮かべる。



「団長、分かってるんですか!?ウチの神様があちらの眷属に保護されたとして、無傷で戻ってくるか分からないんですよ!?」



「馬鹿かお前は。こいつらが俺たちの神様ぶっ殺す気ならほっときゃ勝手に死んでくだろうがぁ。わざわざ首突っ込んだってことは…そういうことだろうが?」



 ザグタスは黙ってしまった。ジャスターはラミアと俺の方を向き頭を下げる。



「すまねぇなぁ。ま、あんたらならこんな奴に負ける訳ないだろうけど」



「まあそうかもな。ジャスター君、取り敢えず一時休戦で君達の主神をとっ捕まえに行かないか?」



「…そうしよう。今はそれが最優先だからなぁ」



 俺達は一つのグループとなって歩み始める。





 カトレアはアレスと共に洸平の後を追っていく。すると、遂に洸平を発見することが出来た。しかし、洸平は立ち止まっており、その先は何も見えない闇になっていた。



「ね、姉ちゃん…こんなとこあったっけ?」



「…少なくとも現行の地図には確認されていない筈」



 洸平が振り向く。



「く、来るな!」



「何を恐れているんです。ジャスターを始めとする貴方の眷属達は貴方の帰りを待っていますよ」



「ふ、ふざけるのも大概にしろ!今戻ったら俺は殺される!間違いなく殺されるんだあああ!」



 洸平は再び向き直り、暗闇に突撃していく。



「待ってください!未確認の地形ですよ!?」



 カトレアが必死に止めたが、洸平は闇の中へ消えていった。アレスがすぐさま追いかけようとするが、カトレアはアレスの前に手を出し止める。何か嫌な予感がする。本能が、直感が、カトレアに警鐘を鳴り響かせる。








「う、うわあああああああああああ」







 すると、暗闇の奥から洸平の絶叫が届いた。








 続いて何かが折れる音や何かをすり潰すような音が鳴り響く。









 耐えられなくなったのかアレスは嘔吐し始めてしまった。カトレアはアレスを介抱しながら、暗闇の先を見つめる。





















暗闇の中、赤い眼差しがこちらを見つめていた。










「…!!アレス、逃げるよ!」



 カトレアは言ってアレスを背負うと猛スピードで来た道を帰った。幸い、その赤い眼差しがそれ以上追いかけてこなかった。



 カトレアとアレスと合流した後事の顛末を聞いたが、理解することは容易ではなかった。



「これは…評議会への報告必須だな」



「そうだと思います。私とアレスが見たのですから」



 俺はカトレアの頭を撫でた。カトレアがびっくりして顔を赤くした。



「な、なんですか神様っ!?」



「…頑張ったな、カトレアは。エラいエラい」



 カトレアとアレスが無傷だったのはせめてもの救いだろう。




「お前らはこれからどうするんだ」



 洸平の眷属達に聞くと、ジャスターが口を開く。



「取り敢えず一纏めにして何とか生きていきますよぉ。一応神様がいなくともギルドは成立するんでねぇ」



 そしてジャスターは号令をかけ、去り始めた。俺はジャスターの背中に声をかけた。



「何かあったら俺に言え!力になってやる!」



 ジャスターは振り向き、ニヤリと笑うだけだった。





 洞窟には俺、カトレア、アレス、ラミアだけが残された。俺は3人に向かって言った。




「俺達の家に帰ろうか」




 そして上の階層に向けて歩き出す。

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