表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

9.侯爵令嬢


「ブライアン・ヘルゲンブルク公爵子息の話は聞いたかい?」


 ロリア王国に滞在し始めてから数週間後にお父様がいらっしゃいました。滞在先がお母様の実家である公爵家ですからね。お父様も来やすいのでしょう。


「学園を退学後に公爵領へ行った事は知っていますわ」


「詐欺女に引っかかったせいで全てを失ったようだ。もっとも例の茶会で大恥をかいたからな。どちらにしても結果は同じだっただろう」


「おじ様、ブライアン様の御性格を理解していなかったのですね」


「一人息子だからな。欲く目があったのだろう。まさか、高位貴族としての常識が備わっていないなど普通は思わないものだ」


「茶会の意味を理解していませんでした。御夫人方の役割も……あそこに呼ばれる女性は全員『お茶会』の真の理由を分かっている方々ばかり。それは男性側も同じ。そんな処に何も知らない素人を投入させる方がどうかしています」


「茶会という名の外交だとは全く思いつきもしなかったらしい。もっともソレは今も同じらしいがな」


「説明するものではありませんからね」


「貴族には、特に高位貴族には暗黙の了解が多数ある。それを説明しなければ理解できないという者は『落第者』の烙印を押されたも同然。公爵夫妻もブライアンに説明できなかったのだろう。ブライアンの相手も茶会に相応しくない装いで、挨拶一つ満足にこなせなかったらしい。参加者は一斉に顔をしかめた/眉をひそめたそうだ。年長者は『アレは使い物にならない』と判断したらしい」


「それだけではありませんでしょう?」


「一番の問題は王女殿下の件だろう。王女殿下がワザワザ婚約者の国の茶会に分かり易く民族衣装で参加したというのに、あのザマだからな」


「殿下もワザと民族衣装で参加なさったのでしょうね」


「恐らくな。彼らを追い詰めるためだろうが、ヘルゲンブルク公爵に対しての報復も含まれていた筈だ」


「公爵夫人も王女殿下に協力なさったと聞きましたが……本当ですか?」


「それは本当だ。夫と息子のなさりように怒り心頭だったのだろう。公爵夫人はキャロラインを実の娘のように可愛がっていたからな。キャロラインを蔑ろにするブライアンを何度も叱責していたようだし、それを許す夫も許せなかったのだろう。今頃、公爵家は修羅場の真っ最中のはずだ」


「どういうことです?」


「公爵夫人が離縁状を提出して屋敷を出ていったらしい」


「それは……」


「あの公爵家は夫人の内助の功でもっていた処があるからな。一人息子が跡取り失格の烙印を押された挙句に妻から離縁を言い出されたことで社交界から爪弾きにされている。屋敷の使用人達も夫人を慕っていたからな。辞職者が相次いでいて対応ができない有り様らしい。そんな状況からも高位貴族達から『名門公爵家の当主としては不適格だ』という意見が多くてな。近いうちにその座を追われる事は確実だろう」


 何でしょう。

 私達の婚約解消で公爵家がトンデモナイ事態になっています。

 従姉である王女殿下は「敵は取って来たわ!!」と高笑いなさっていましたし……。公爵夫人からも謝罪の詫び状に「愚者どもに思い知らせてやります」という文言がありました。


「キャロラインは自分で思っている以上に皆から愛されてるねぇ」


 そういう事なのでしょう。

 目の前にいるお父様も一枚噛んでいる筈です。


 ブライアン様達には申し訳ありませんが、今とっても気分が晴れ晴れとしています。


 私と婚約を解消してくださってありがとう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 話は面白かったです。 [気になる点] ナディアが修道院に行くだけの罰ではすまないことをしているのにそれで処分が終了した事には、とても残念に思います。 下位貴族が上位貴族を複数人「詐欺」で陥…
[良い点] 私と婚約を解消してくださってありがとう。の一文でオチがついてスッキリして読みやすいです。 話の長さ的に必要が無かったのでしょうが、視点を変えての描写が少ないのも、読みやすい一因と思います。…
[気になる点] この坊っちゃんの状況は、ネグレクトの結果と言われてもしょうがないのでは。 婚約破棄以前から、多々の問題が有ったと観測されていた筈ですし、公爵夫妻への報告も為されている筈です。 矯正もせ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ