44話 研究所
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44話 研究所
”魔力”!?
どういう事だ。
相手は装備といった見た目から、ほぼ間違いなく軍隊関係者、地域的に”プレデター部隊”と言われる精鋭部隊だ。
異世界人の言葉で言うなら、”ヒューマノイド”で、何が言いたいかと言えばありえない。
”魔力”を持っているという事は。
「特別多いい量ではなかったが、二人とも”魔力”を持っていた。ほぼ、間違いないな。じゃなきゃ、銃事真っ二つにできた」
あの時に、ライチの剣を銃で受け止められていたが、言われてみれば、”勇者”の”魔力”が籠った剣を受け止める事ができる程あの銃は固くない。
異世界人として、”魔力”を感じる事ができるからこそ、分かった事。
何でだ?
例えば、異世界人と”ヒューマノイド”のハーフであれば、”魔力”を持って生まれるという事はある。
だが、その場合は異世界人として分類される。
だから、”ヒルコ”とか言う言葉も生まれてしまった。
基本的にはというより、俺が知る限り”魔力”を持った軍人なんて知らない。
コレが、もし一人だけなら偶然の産物で片づけてもいいかもしれないが、偶々現場にいた二人が”魔力”を持っていたは偶然で片づけていいとは思えない。
ただ、ココで考えても仕方ないという事でもある。
「おっ、」
色々と考えていると、前方の物陰のスペースに知っている顔が見えた。
ヨウさんとユウリだ。
ヨウさんは元々”勇者”であるライチのパーティーメンバーの一人で、ユウリは協力者のコウジさんの知り合いらしく、今回協力してもらうにあたって条件として、連れていくように言われた。
「ボロボロだね」
「まあな」
そう言いながら、ヨウさんは寄ってきて”回復魔法”を掛けてくれた。
完治とは言わないが、十分な応急処置ができた。
「災難みただったな。何があったんだ?」
不思議そうに、興味深そうにユウリが聞いて来たので、とりあえず起こった事をありのまま話した。
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「”魔力”を持った軍人か、そいつは興味深いな」
コウジさんの研究は”魔力”に関してだ。
その知り合いという事はユウリもそっちの方面について調べてるだろうし、この事に対してすごく興味深そうだったが、
「というのは嘘だがな」
そうでもないらしい。
専門外って事なのか?
「何で?結構不思議な事じゃないの?」
俺同様の事をヨウさんが思ったらしく、ユウリに聞き返すと、
「心当たりがあるからかな」
そう、答えた。
心当たり?
「何で”魔力”を持ってるか分かるって事か?」
「確証ってわけではないけどな」
「その心当たりってのは何なんだ?」
実際に会いまみれたライチは気になって、聞いた。
俺も同様に気になるので、しっかりと耳を傾けた。
「その前に”プレデター計画”は何で生まれたかわかるか?」
”プレデター部隊”を作った計画、
「”魔力”を持った異世界人に対抗するため」
コウジさんから聞いたことをそのまま返した。
「そのために、強い”遺伝子”を操作して、子供の頃から徹底した教育によって強い部隊を造った」
これが、”プレデター部隊”だ。
「コウジから聞いたんだな。うん」
実際に遭遇してその強さが異次元の物だという事は良く分かった。
「だが、正確に言うならそれは”第三世代のプレデター計画”だ」
”第三世代?”
「ちなみにその前の世代とはもう会ってるぞ」
どういう事だ?
「さっき、答えてもらった通り、”プレデター計画”は”魔力”を持った異世界人の対抗策として計画されたわけだが、最初から子供を造って、育てるなんて回りくどい方法じゃあなかった」
確かに、10年以上確定で掛かる方法は現実的ではないのかもしれない。
「最初に考えられていた方法、”第一世代”は改造人間を造る事だ」
改造人間?
「身寄りのない人間、貧しい人間、色々な条件の元で約1000人の人間を集め、そいつらを手術を行って強くしたんだよ。戦前に流行っていた造り物を知ってるなら話が速いんだけど」
ライチとヨウさんはそんな造り物を知ってるわけがないし、俺も同様だ。
「わかんないなら、ともかく人間の体を弄って強くすると思ってくれて結構だ」
俺達の反応を見てユウリはそう言い、
「だが結果として、その負荷に耐えられたのはわずか10人」
0.1%の確率でしか成功しない手術、
「その後、10人は戦地に行ったが、生き残ったのは3人だけ。一人は動けないからだとなり、さらに一人は次の戦地で戦死した」
結果だけ見るにこの”第一世代”って奴は失敗だったんだろう。
「どんな手術をしても、結局人間の範疇を少し外れる程度で意味がないという結論になり、次の計画が進んだ」
「それが”第二世代”って事」
「ああ、”第二世代”は”スーツ”を造る事だ」
「”スーツ”?」
そんなの作って何になるんだ。
「ただの”スーツ”じゃない、軍用の特別仕様で、結論から言えばそれを着るだけで強くなると思ってもらえればいい」
確かに、それを着れば失敗のリスクはない。
「これの利点は失敗のリスク、そして強い兵士を”スーツ”の数だけ造る事ができるって所だ。人間の範を超えた兵士の部隊という群れを作り上げる事で対抗しようという話で、前回の失敗をしっかりと踏まえている」
話を聞く限り、完璧に思えるが、”第三世代”が生まれたって事は、
「だけど、失敗と」
そういう事になる。
「失敗という程ではなく、断念だな。欠点としてはコスト面と相手に取られたら使われてしまうって所だ」
あー、そんなのが異世界人に渡ったら確かに大変だな。
「そのためこの”スーツ”は一部の物にしか与えられてない」
造れないわけじゃなく、その余裕がないだけって事か、
「ちなみに、君たちが戦ったって言った”ラスト”はそのスーツを着ている」
「あいつが!確かにあの時は色々と制約はあったが、相当強かった。助けがなきゃ負けるくらいには」
実際に戦ったライチはその時の事を思い出しながら言った。
「まあ、彼は正確に言うんだったら、"2.5世代"だな」
「ん?」
「彼は”第一世代”の生き残りで”スーツ”の所有者という事だ」
二つの世代の合わせ技、あの強さのカラクリが分かった気がする。
「とは言え、”勇者”にそんな事を言わせられるって事は”プレデター計画”は成功だな。”魔力”を持った人間の中でも特別強い奴にそう言わせたんだから」
その通りだ。
普通の人間だったら、そんな事を言わせられず、印象にも残らないだろう。
「そして、それらの失敗を踏まえて生まれたのが”第三世代”のあいつらって事だ」
時間が掛かりすぎる欠点はあるが、ほぼ確実に強い兵士の部隊を造れるって所が魅力的な部分なのだとう。
「でも、それに何の関係があるんだ?」
俺らが最初に話していた内容は、”プレデター部隊”が”魔力”を持っていたという部分の心当たりだ。
今の話も興味深いが、関係はない。
「じゃあ、最初の話に戻るが、”プレデター計画”が生まれた訳は何だ?」
「それは、”魔力”を持った異世界人に対抗するために、強い人間を造るって事だろ」
さっきと同じような事を答えると、
「そうだ。ああ、そうだ」
と、肯定してきたが、じゃあ何だというだ。
「それに付け加えるなら、この戦いに勝つためだ」
ユウリはそう付け加えた。
「勝つためには、異世界側の大きな拠点2つの場所にある”結界魔法”をどうにかしないといけない」
”結界魔法”、いまある技術を持ってしても突破できずにおり、この戦いが長期化している要因の一つでもある。
「そのために、”結界魔法”の解析をあの手この手で行っている」
フレアと会った”ゴーストタウン”でも、”エルフ”といった異世界人の奴隷がいった。
その契約者曰く、”結界魔法”解析のための元捕虜という話だった気がする。
そう言った方法以外にも発言を聞く限り行っているみたいだ。
「ただ、どんなに”結界魔法”の詳細を知って、解決策を見つけたとしても解除する事はできない」
「”魔力”がないからね」
「ああ、その通りだ。さすがに詳しいな」
結局”魔法”を解除するためにも”魔法”が必要、少なくとも今ある”結界魔法”は物理的な破壊は不可能と言われている今の現状だと。
「だからこそ、考えられたのが、”魔力”を持った兵士を生み出す事、コレが”プレデター計画の第四世代”だ」
”第四世代”、今の”プレデター計画”のその先。
うん?
「って事は今いる”プレデター部隊”は」
「ああ、”第四世代”だろうな。俺達が逃げ出す前までは机上の空論に過ぎなかったから、まさかと思ったが、話を聞く限り今の部隊は”第四世代”だろうな」
「少ないながらも、”魔力”を持った”ヒューマノイド”がいるって事か」
着実に軍は戦力を整えて強くなっている。
もしかしたら、思ったより終わりが近いのかもしれない。
「ゆっくりしてられないな」
その、計画を聞いて俺はそう感じた。
どちらにせよ、そんな重要な戦力二人を倒してるんだ。さっさと目的の場所に向かわないといけない。
ここら一片の調査何て直ぐにでも始まるだろうしな。
「そうだな。ちょっとした話で、痛みも引いただろう。ボチボチ行くとするか」
「どれくらいの距離なの?」
「半日かな」
そうして、話を終えて、歩き始めた。
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「ここが」
しばらく、と言うより10時間くらい歩いてようやく目的の場所の一つ目、研究所にたどり着いた。
”魔王の死体”の場所にある大量の”魔力”という毒から身を守るための防護服、宇宙服をベースに造られた物がここにあるらしい。
「安全なのか?」
しばらく使われてない施設ということもあり、老朽化の面での心配もあるが、何かしら変なのが住み着いている可能性もある。
それに、元々重要施設ならセキュリティ面もそれなりの物、今も稼働してるなら簡単には行けないが、
「君たちが”アクエリアス”で戯れてる間に何もしていないわけではなかったんだよ」
そう言いながら、何か取り出し、
「現在も更新され続けているならともかく、セキュリティ面は問題はない」
そう強く断言してくれた。
「ただ、細かいトラップや何かがいた場合は頼んだ」
ライチとヨウさんがいれば、よっぽどの奴じゃなきゃ大丈夫だろうし、何とかなるか。
ユウリは入り口近くにいくと、スマホみたいなものを取り出し、何やら操作を始めた。
コウジさんの知り合いなら、こういった事は専門外だと思うが、慣れた手つきで何か操作をしている。
「よし、特になかったみたいだな」
そうして操作を終わると、入り口の扉が開き、
「行くぞ」
俺達は中へと入った。
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「ヨット、」
研究所の中にはいくらか魔物が住み着いていた。
決してレベルは低くなく、結構危険な場所であったが、こっちの戦力的になんの問題もない。
ライチが勝手に片づけてくれている。
俺はその間にユウリに協力して、いくつかのトラップを解体している。
一応爆弾の解体を訓練生時代に習いはしたが、実戦は初めてである。
「ふー」
”プレデター部隊”の二人と戦った時のように体は動かしていないが、慣れない作業で精神面の疲れがたまり、心身ともに結構疲れはした。
だが、
「ここか」
とうとう目的の部屋にたどり着いた。
そして、
「おー」
中に入ると目的の物がそこにあった。
「結構かっこいいな」
カッコいいか分からないが、
「もっとゴツゴツしていると思ったがそうでもないな」
想像では装備品の多さからロボットみたいなのを想像してたが、実物はそんなことなく、ウェットスーツのようなスラっとしている印象を受ける。
「ひと昔前のならその想像で合ってるが、さすがに地上の探索には不向きだからな。それに、合わせて改良してあるって言ってただろう」
確かに言っていた気がする。
「それに技術は常に更新されているからな。こうやって改良するくらいチョチョイのチョイって事さ」
得意げにユウリは言い、
「使えるか調べるから、警戒を頼む」
「ああ」
そうして、ユウリはスーツに向かい、また何やら色々と操作を始めたが、
「待って」
ヨウさんはそれを止めた。
「どうしたんだ?」
直ぐに確認をすると、
「来る」
「”プレデター部隊”か?」
俺達を追って来たか?
「いや、”魔力”がある。質的に多分違う」
なんでココに来るんだ?
「おい、他の部屋調べたんだが、ココで誰かがいた形跡があるぞ。しかも、つい最近の物が」
いつの間にか調べていたライが俺達に誰かが食べてたであろう食器を持って言った。
「どんな様子だ?」
「目的は分からないけど、ペース的に言えば真っ直ぐ向かってきている」
ここに何かがある確信で向かってきている。
ここでのんびりはできない。
「直ぐに出よう。必要な物だけ持って直ぐに」
「そうしないとな。手伝ってくれ」
ユウリがライチにそう言うと、ライチは直ぐに向かい、その力でユウリの指示通りいくつかの機械を一か所に集めた。
そして、四角いキューブを取り出すと、
ボン!!
と、集めた荷物が一気に消えた。
”転送魔法”を応用した、ポケット。
あの中に容量の制限こそあれど、簡単に持ち運びができるようになる。
あの中には他にもいくつかの食料や必需品が入っている。
「上!!来る、」
「何が!?」
「”魔獣”!!」
何かに気付いたヨウさんが叫ぶと、
バーーン!!
この建物に何か降ってきたような大きな振動と音が聞こえた。
俺は状況が理解できずにいたが、何かを察したライチは、
「”シュ・レッド”」
ゼッシャーーン!!
剣を振り上げ、建物を真っ二つにし、
「うお!!」
大きな魔物、トラックくらいの大きさの”魔物”が現れた。
ここで状況を理解できた。
コイツが建物に現れたんだ。
そして、その”魔物”は姿を現したのとほぼ同時に建物同様に真っ二つになった。
「おいおい、貴重な施設だってのに」
この惨状にユウリは嘆いたが、
「そうは言ってらんないな。明らかに狙ってきてるぞ。何かが」
そうみたいだな。
「ココにいた”魔獣”や今のコイツは”魔法”で操作されてたやつだ。そいつらがやられたからココに侵入したのが察知されたんだろう」
「何でそんな回りくどい事を」
「他の方法だと、警戒していればどうゆうのか分かるからな。古くて、めんどくさいが一目じゃ分からないから、結構有効だぜ。現にバレちまったからな」
クソが、やっぱり順調にはいかないな。
「で、どうする?」
そんなの決まっている。
「逃げる」
「だな」
今ココで戦う理由がない。
大抵の奴ならライチとヨウさんで勝てるが、派手にやれば人数が集まってくる。
多勢に無勢は流石にキツイ、怪我でもしたら今後に確実に響く。
それに軍の奴ら、”プレデター部隊”が気付けばなおさら厄介。
選択肢なんてソレ一択しかない。
「行くぞ」
「「おう」」
ライチとユウリは返事をして、ヨウさんは頷き、俺達は来てる方向とは逆側へと走った。
次回は未定です。
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