35話 脱出
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35話 脱出
今の状況をまず整理しよう。
俺は奴隷を売っている場所にいて囚われており、その場所には勇者がいた。
フレア達は俺を探して見つけ、その結果勇者の場所も掴むことができた。
ヨウさんは俺の無事がいつまで保証されるかわからない現状から、直ぐにでも脱出作戦に移る事にした。
その方法はこの都市に入る前に事前に話した方法で、入る前には渋っている感じもあったが、する事に決めたらしい。
そんな話をしてからそろそろ1時間、ここまでの話通りならそろそろ始まるが、まだ始まらない。
話終わって少ししてから、
『勇者の位置が分かってから始める事にする』
と、ヨウさんから一方的な連絡があった。
だから、今はその連絡待ちだ。
時間的にもそろそろ来てもおかしくないだが、と思っていると、
『モモちゃん勇者の場所が分かったよ。詳しい場所は難しいから後にするけど、モモちゃんは始まったら混乱に乗じて上に来て』
ヨウさんから連絡が来た。
『上はそこから広い場所、多分闘技場の場所に行って、観客の席の一つの入り口に行けば上に行くための魔法陣があって、ウリと合流でよろしく』
この耳の奴は便利かもしれないが、一方的にしか話せないのはちょっと不便だ。
俺も出来れば勇者の位置を知りたかったと思うが、しょうがない。
そっちは多分、ヨウさんとフレアで何とかするつもりなんだろう。
俺はとりあえず、自分が脱出する事をまず考える事を優先しなければならない。
今からやろうとしてる事は自分達をも危険な目に合う。
『じゃあ、30分後にまた連絡するから、ウリと合流で』
そう言われると、連絡はもう来なくなった。
とりあえず、何を言われようが俺にできる事は待つ事だけだ。
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『じゃあ、始めてるから、お互い頑張りましょう』
ヨウさんから連絡が来た。
始めてる?
じゃあもうやっているって事なのか?
じゃあ、直ぐにでも騒がしくなるだろう。
そうなってから、俺はここから逃げ出せばいい。
そう思ってたのだが、
「じゃあ、早くここから出ようぜ」
と、牢屋の外からウリが言って来た。
「へ?」
上で待っていると思ってたはずのウリがもうこの場にいて思わず変な声が出た。
「ヨウから合流って聞かなかった?」
俺は軽く頷いた。
ちょっと説明が足りなかった気もするが、そんなのはどうでもいい。
「とりあえず、あんたは連いて来てくれ。知らないかもしれないけど、今外がすごい事になってるんだから」
外がすごい事、やっぱりもうヨウさんは始めてるらしい。
「すごい事って?」
俺は確認するようにウリに聞き、
「都市を覆う”結界魔法”がどういうわけか解けて、今都心の中はパニックだよ。まあ、そのおかげで勇者とあんたを連れ出せるかもしれなくなったけど」
そう、答えが返ってきた。
やっぱり、ヨウさんは既に始めていた。
俺がヨウさんに事前に頼んでいたのは”結界魔法”の解除だ。
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<都市に入る少し前>
「今から言うお願いは救出の面の事はどうなるかわからいし、下手したら俺達全員の危険性は跳ね上がるが、その後の事は解決できるかもしれない」
「その方法は?」
俺が今回の勇者の救出の際に一番危惧していたのは勇者を救出できるかどうかの有無よりも、その後の事だ。
勇者の称号を持っている奴が消えたとなったら普通は黙っていない。
異世界人側は躍起になって勇者、俺達を探す事になる。
だったらどうするか?
俺が浮かんだ答えは勇者を自分と同じ立場にする。
俺と同じ立場、そう
「勇者に”幽霊”になってもらう」
「”幽霊”?」
「ああ、要は生きてるけど死んだ事にしたいんだ。勇者がいなくなってもおかしくない状況にしたいんだ」
説明をした。
「だから、ここで起こすんだ。戦いを」
いなくなってもおかしくない状況、今のご時世はそれに良く当てはまる。
だから、この都市で軍と異世界人達を戦わせるようにする事を思いついた。
「どうやってそんな事を?」
「都市にある”結界魔法”を解く事と都市に入りやすいように外周見張りの一部を破壊して欲しいんだ。それが頼みたいお願いの二つだ」
都市を囲む”結界魔法”がこの都市を攻め込む事が出来ない一番の原因、だがその原因が無くなればどうなるか?
攻め込まれるようになると俺は考えている。
「でも、そんな上手くいく?逆に罠とかで疑われて終わるなんて事もあると思う。それに、攻め込むための準備が不十分なら来ないんじゃないの?」
折角攻め込む事ができる状況になったとしても、不十分な武装で攻め込むのは無謀に近い。
ヨウさんの言う通りではあるが、
「そこら辺もある程度は考えてる」
「と言うと?」
「”SILENT”との遭遇は予想外だったけど、目的の一つは達成できたんだ」
「その目的が考え?」
俺は、
「ああ」
と、軽く言って頷いた。
ヨウさんは何も言わないが、その目的は何だと言わんとばかりに見てくる。
「攻め込むための準備をするかは別だが、ほぼ確実に戦力の補強はされる。だって、この都市に勇者がいると知らせるためにヨウさんをわざわざ軍に見せたんだから」
なので、俺は心の中で考えてた目的である”ヨウさんを軍側に見せる”と言う事を伝えた。
だが、そうは言ってもピンと来ていなかった。
「言いたいことはわかるよ。何の意味がって事だよな?」
ヨウさんは頷いた。
「この世の中にはこの世界にいるほとんどの顔を覚えてる奴がいるんだ」
「えっ!?そんな事できるわけがないでしょ」
「まあ、人じゃ流石にいないだろうけど、この世には人工知能ていう奴があるんだ」
AIとも言われる奴は軍もといこの世界にいる俺達の顔、指紋、経歴といった様々な情報を管理し、特定することが出来る。
魔法による変身の対策の”リング”もAIによるものである。
そして、戦争が始まる前に集めていた異世界人もココに含まれている。
「さすがに異世界人全員を把握はしてないだろうが、勇者パーティーの一人でダイヤランクの称号を持っている”ヨウさん”は確実に把握している」
勇者やそのパーティーや王政の中心人物と行った主要なメンバーの顔といった簡単な情報は集めている。
「そんな勇者パーティーの一人がバレないように都市付近にいるなんて向こうはどう考えるか?」
そう聞くと、
「色々と考えるとは思うけど、何かしら企んでいるとは思うんじゃないかな」
「ああ、しかもその何かに勇者が絡んでくりと考えると思う」
色々考え、軍がどう結論付けるかはわからないが、その結論がどう出るかはどうでもいい。
勇者が絡む事を思わせればいい。
「勇者がいるとわかれば、戦力の補強に確実に動く」
勇者が場所を移るだけでその場所へと軍事力も動いていく、それだけしなければならない存在。
それが俺達から見る”勇者”だ。
”ヨウさん”の存在、勇者パーティーの一人が来たとなればここへと戦力が集まっていく。
「故にここに力が集まってくる。これはもう確実だ」
「そんな状態で”結界魔法”を解いたら?」
「絶好の機会を逃す事はない」
罠だなんだの考える事は色々とあるとは思うが、攻撃のチャンスは逃さないはず。
攻め込む事はしなくても攻撃する手段はある。
その為の戦力を集めるために俺は目的にしていた。
「考えてる事はわかった。でもそんな事したらココがどうなるか分かってるの?」
「戦場が一つ増える」
俺達も無事に済む保証は全くないが、俺は色々ある問題が解決すると思っている。
「本当にそんな方法やるの?」
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そして、ウリの話を聞く限りヨウさんは入る前に伝えた俺の考えに乗ってやってくれたみたいだ。
この事はフレアとウリには伝えていない。
なんせ今から起こる事に対して背負ってほしくないという俺の我儘からだ。
「じゃあ俺にこのまま付いてきてくれ」
異世界人はその処理に追われているはず、この場所の警戒は薄くなっているだろう。
逃げ出すのなら今がチャンスという奴だが、
「その前に勇者はどこにいたんだ?」
その前にキッチリと勇者の事を確認しとく必要がある。
「うーん、説明するのがややこしい場所なんだが、ヨウさんの結論から言うとこの場所にはいない」
「いないのか?」
ウリは頷き、
「正確に言えばいるらしいっすけど、緊急時、今みたいの状況になったら別の場所に行くって予想をしていた」
”結界魔法”が解けて危険な状況の今、捕えているとはいえ、勇者の身に何かあったら色々と問題が生じるんだろう。
だから、より安全な場所に身を隠すのは当然と言えば当然か。
「でも、ヨウさんは良く分かったな」
だが、そんな当然の事でも、こっち側からそれを予測して場所を見つけるのは難しい。
しかも、ヨウさんはその短時間でそれを見抜いている、
「この場所もそうだが、”テレポート魔法”によって場所を行き来してるんだ。ヨウはダイヤモンドで勇者パーティーの一角だ。その場所さえ分かっちまえばそのほとんどどこに繋がってるのなんかを調べるのは造作もない」
ウリは少し誇らしげに言った。
魔法の事を良く知らない俺でもすごいという事は分かる。
そんなすごいヨウさんが見つけた場所に勇者が移動する可能性はある。
だが、
「ここから出る前にもう少し俺に付き合ってくれないか?」
そこへと勇者が移動するのをより確実の物へと俺はしたいと考え、ウリに話を振った。
その場所へ移動するのが危険、現状維持の方が安全と考える事だってある。
その判断をするにしても今すぐに上の状況はわからない、
だったら、
「何を?」
「ココに捕らわれて奴らを解放させる」
俺らはより確実に移動させる様に動く。
その為にこっちでもパニックを起こさせる。
「それだけの状況にすればより確実に移動するだろうし、ヨウさんの方も楽になるはずだ」
移動云々はこんな事をしなくてもいいかもしれないが、こっちにも戦力を掛けなければならない状態になり、戦力の分散は狙える。
やって損な事はない。
ウリは考えて黙り込んだが、
「分かった」
頷き、納得をした。
「じゃあ、早速行こう」
俺達は何をするか決めて、走り始めた。
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その後はこの施設を警備の目を気にしながら走り回った。
あいにく俺達が捕えられていた牢の扉は魔力を使える物がいれば簡単に開くことが出来た。
逆に言えば魔力のない俺らにとっては絶対に開けることが出来ないため、理にかなっている。
ともかく、俺達は全部の扉を開くことが出来、中に捕まっていた人達は何が起きたか理解できていなかったが、ここぞとばかりに逃げ出していった。
その中には”ソルダム”もいた。
まだ、ココにいたみたいで少し良かった。
外の状況も悲惨なものであるが、何とか逃げ切って欲しいと思いながら、俺達は魔獣が捕らえられているはずの牢の方へと走り始めた。
「ここまでは順調、ですね」
「ああ」
ウリが俺を迎えに来てから10分程しか経っていない。
元々、俺が捕まっていた場所は警備が薄かった。
魔力でしか開けられない扉を見ればその理由も頷けるが、ここまで警備が薄いのは異常とは言え、ココからは魔獣が囚われている場所。
闘技場であれだけの魔獣を俺達のようには無造作にせず、キッチリと警備がされているはずだ。
もう一度気を引き締めなければならないと思っていると、
「んっ!?」
物陰に隠れてて倒れている2人が見えた。
俺達が物陰を利用して進んでたから気が付いたが、普通に進んでいたら気付かないように隠されていた。
恰好的にはココの監視員だと思う。
牢の中にいた時に同じ恰好で見回りをしている奴を見た。
俺は全く動かないのを確認して、直ぐに駆け寄って首に軽く触れて確認したが、もう手遅れであった。
「その人達は?」
ウリが恐る恐る聞いて来たので、俺は軽く首を振ると、何かを察した。
俺は簡単にだが、この2人の状態を簡単に確認した。
一人は首元をナイフといった刃物で深く切られ、その出血が原因だろう。
そして、もう一人には、
「銃痕!?」
胸元を銃で撃たれた形跡を見つけた。
周りに注視して、ある物を見つけて拾い上げた。
「それは?」
「銃弾だな」
コレがあるって事は一人の胸元の跡は銃によってできた銃痕で間違いないだろう。
「ソレがあるって事はいるって事?」
何かを察したウリが言う事に俺は同意して、頷いた。
この先に正確な人数こそわからないが間違いなく軍の関係者がいる。
その証拠が今ココに転がっていた。
「”索敵魔法”は使えないんだよな?」
「そうっすね、自分はないです」
「わかった。このまま俺が先頭で進んでくから慎重に付いてきてくれ」
と、言って進み始めた。
先にいるであろう人に気付かれないように慎重、時間を掛けないように素早く移動を開始した。
「いいんすか、このまま進んで?」
ウリが不安になる気持ちも十分にわかる。
今ここで引き返してもいいくらいの緊急事態が起こった。
ただ、
「目的の達成が出来てないのもあるが、個人的に相手が何でこんな場所にいるかが気になる」
ココにいる理由が知りたい。
「ココを出た後にその情報が役に立つかもしれない」
という最もらしい理由もあるが、単純に何でこんな所にいるのかが気になるという事もある。
その理由が知りたいからという物がある。
危険かもしれないがココは進んで、それを知る必要がある。
だから進んで行った。
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ここまで順調に進む事ができ、今は魔獣が閉じ込められている檻の所まで来た。
ただ、檻の所どころにある物が付けられていた。
「さっきから気になってたんだけど、あれってわかります」
ウリはそう言いながら、檻に付けられていたものを指さして言った。
「多分、爆弾だな」
しっかりと確認していないため一応”多分”という言葉を付けたが、十中八九間違いないだろう。
「爆発を利用して檻を開けようとしてるんだろう」
軽くウリにいくつかの檻を見てもらったが魔力がある程度では開ける事が出来ないらしい。
檻の強度、質は俺がいたところよりも高いと見ていいだろう。
ただ、爆薬の量次第では檻の破壊はできるかもしれない。
その算段で設置していっているのだろう。
コイツ等の解放が目的、いや、俺達と一緒で目的を達成するための目的だろう。
なおさら相手がココにいる理由が気になってきた。
そして少し先に怪しい影を見つけた。
「ん」
軽く物陰を指して、ウリに隠れるように促した。
フードや装備のせいで顔は良く見えないが、服装的に軍人で間違いなく、檻に何かしている。
周りを見ても特に誰も見当たらない。
もっと先にいるか、隠れているかという線もあるが、奴一人による単独行動の可能性もなくはない。
ただ、ナイフを使ったり銃痕があっても銃声が全く聞こえず、隠していた当たり目立つのを避けているのが考えられる。
一人ではなくても少数精鋭である可能性が高い。
だったら、ここでまず一人やる。
俺はウリから受け取った銃に手を掛けて、銃口を相手に向けた。
「フー」
一息軽く吐いて、
カチャ、バン!
素早くトリガーを引いた。
「んっ!」
だが、その銃弾は相手に当たらなかった。
俺が外したんじゃなく、避けられた。
しかも、その避け方が異常だった。
トリガーを引いてから銃弾を見てから避けるならまだ理解できる。
まあ、それでもハンドガンとは速度が違うこの銃を避けるのは不可能で異常なんだけれども、あいつはトリガーを引く前であるコッキングに反応して物陰に隠れていった。
特別大きな音はしないコッキング音をこの距離で聞いて反応をした。
俺には同じ事はできない。
咄嗟に反応するなんて芸当は、そもそもこの距離の音に気付くのも多分無理。
人間離れしている芸当を今見せられた。
とりあえず今の現状を受け止めて、あいつをどうにかしなければならない。
「誰だ?」
物陰に隠れた奴をそう叫んだ。
今の銃声を聞いても周りから反応がない事を考えると、単独犯の可能性が高いのはこっちの都合的にはとても良い。
あいつさえどうにかすればこの場は何とかなる。
だったら、
「ウリ」
俺は小声でウリを呼びかけ、自分の足と敵を指さした。
ウリは察して頷いた。
そして、俺は銃をその場に置き、両手を挙げて物陰から出て、
「すみません、俺はここに捕まっていた捕虜です」
そう言った。
相手からの反応は特にない。
「軍の方ですよね?助けに来てくれたんですか?敵かと思い撃ってしまいました」
そう、続けた。
言い訳的には無理があるが、こっちに意識を向けてくれればそれでいい。
そうすればウリが近付き、相手の隙は付ける。
しばらくすると、物陰から銃を構えながら相手が出てきた。
「名前は?」
「ソルダム、”ソルダム・ハーバー”です」
相手から名前を聞かれて、俺は咄嗟にソルダムの名前をだした。
名前を聞くと、相手をリングをいじり始めて何かを見ている。
「なるほど、”ナガン小隊”所属か」
おそらく、リングで名前から”ソルダム”で情報を調べたんだろう。
「はい」
とりあえず、俺は間を特に空けずに返事をした。
すると、
バン!
突然持っていた拳銃を発砲して来た。
幸い弾は俺の頬を掠った程度で、大したことはなかった。
「”ソルダム・ハーバー”はナガン小隊じゃない。”サモン小隊”所属だ」
どうやら俺はカマを掛けられてしまい、下手をうってしまった。
こんなことならソルダムから小隊名を聞いとけばよかった。
まあ、もう十分稼いだか。
物陰から、ゆっくりと静かに近づいていたウリが飛び出してきた。
だが、
「のっ!!」
簡単にいなされて、ウリは変な声を挙げた。
さすがにさっきの銃弾を避けたのといい、反応が速すぎる。
いなされたウリは俺の方へと投げ飛ばされて、勢いで相手の被っていたフードが取れた。
そして、その時に見えた相手の顔で一瞬、俺の思考は飛んだ。
「み、耳!?」
立ち上がったウリも相手の顔を見て、相手の顔にある特徴的な耳を見て声を出した。
そう、相手には獣の耳が付いている。
変装のための飾り物ではなく本物の耳が奴にはついている。
「魔力はあるか?」
俺はウリに確認して、
「ない。隠してるとかでもないと思う」
ウリは首を振りながら答えた。
軍服を着て、銃を装備している魔力のない獣人が目の前にいる。
つまり、コイツは
「”ヒルコ”」
ウリが俺が思った事を口に出した。
異世界との混合が起きて約30年、戦いは15年程続いている現在、戦いが起きる前は積極的な交流がされていた。
中には恋仲となり、子が生まれる事になった。
だが、その両者から生まれる子供には問題が生じた。
それはどちら側になるのか?
何人となるかの問題だ。
そして、ある学者は”魔力を持てば異世界人、なければ我々がわではないか”と提唱をした。
だが、その提唱がいけなかった。
ほとんどの場合はその提唱通りで分ける事は出来るが、例外が存在する。
それは獣人やエルフとの間に生まれた子供で、彼のように魔力こそないが異世界人の種族が持つ身体的特徴を持つ子供だ。
その子はどちら側なのかという問題は戦いが始まる前から物議を交わしていたが、始まってからその問題は激化していき、忌み嫌われる子供として扱われ、”ヒルコ”という日本の神話からそう呼ばれるようになった。
戦時中の現在でもそう言った、どちらに側になるかわからない彼らはその”ヒルコ”という総称で酷い扱いをされていると聞く。
ウリのような小さい子でも分かるくらいにはその名は浸透してしまっている。
「その名で・・・」
相手は震えながら小さく何かを発して、
「その名で俺をよぶんじゃねえ」
再び、今度は大きな声で叫びながらウリに銃を向けた。
まずい。
パン!!
向けた銃をそのまま発砲をしてきたが、今度は先程とは違って反応ができ、ウリに飛び突いて弾丸をかろうじて避けて物陰に隠れる事が出来た。
「俺はSKULL部隊、LのLOOSEの異名をを持つ”ヌル・ナガン”、軍人だ。”ヒルコ”なんかじゃねえ」
そう、大声で叫んだ。
次回は未定です。
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