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異世界戦争  作者: ガイ
3章 幽霊
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23話 名前

長いですがよかったら最後まで読んでください。

評価、ブックマークも良かったらお願いします。

23話 名前


ゴーストタウンから出発して、2日経ち、俺は変わらず北へと向かっている。


変わった事があるとすれば、一つある。


それは今まで一人だったのに対して、もう一人連れている事。


そう、獣人の子だ。


だが、問題がある。


この二日間、俺達はろくな会話をしていない。


彼女は基本無言で、頷くくらい。


喋ったとしても、基本的には敬語でよそよそしい感じがする。


まあ、元奴隷の子供だから、しょうがないと言えばしょうがない。


が、この関係はまだまだ続く。


できれば、この関係をもっと良い物にしたいと考えたい。


じゃないと身があまり持ちそうじゃない。


俺はそうすてばいいのかを考えながら、今火を囲んでご飯を食べている。


ピク、


そんな時に、目の前の獣人の子の耳が動いた。


この反応をしたという事は、


「近いのか?」


コクリ、


軽く頷き、返して来た。


獣人の耳は俺達人間と比べてとても良く、俺が聞こえないような音もこの子には聞こえている。


実際、おそらく彼女のベースである犬は1km離れた場所の音すら聞こえると言われ、人間が16方向から音

を聞き分けるに対して、32方向から聞き分けている。


つまり、この子は俺よりも耳が良く、その音の方向を特定できている。


この二日間、この耳のおかげで俺が一人で旅しているより、接敵が確実に減っている。


今まで予期せず魔物との接敵が何回かあったが、今は全くない。


おかげでより安全に向かう事ができている。


俺は急いで火を消し、荷物をまとめた。


獣人の子も俺の様子を見てすぐ準備を始めた。


そして、直ぐにその場を離れるために移動した。


「魔物か?」


俺は何が近づいて来たのかを聞いてみた。


すると、ブンブンと首を横に振ったので、来ているのは人となる。


異世界人は今東側にまでは進行していないはずだから、軍隊の可能性がある。


だったら、


「しばらく休憩なしになるけど、大丈夫か?」


俺が簡単に尋ねると、コクリと首を縦に振り頷いた。


軍人だったら、あの程度の片づけでは直前までそこにいた事がバレてしまう。


せっかく、事前に気付いたんだかれなるべく回避をしたい。


こういった事での危険性がぐんと減ったのはありがたい。


が、やっぱりこのよそよそしさ、他人な感じをなんとかしたいと俺は思っている。


--------------------------------------------------


あれから1時間近くかけて移動した。


やっぱり、子供と言っても獣人だな。


結構なペースで移動したが、俺に簡単についてこれる身体能力と体力がしっかりとある。


大人はこの子よりもすごいんだろ。


そりゃあ、簡単には勝てないな。


「この近くは大丈夫か?」


俺がそう聞くと、


「大丈夫だと思います。多分」


小さな声で答えてくれた。


「そうか。だったら、ココで一旦休憩だ」


そう言い、俺達はその場に座り込んだ。


近くにいないみたいだし、今の内に色々と済ませておくか。


「俺は近くの川に行ってくる。少し待っててくれ」


俺がそう言うと、獣人の子は頷いた。


そして、俺は近くの川へと向かった。


--------------------------------------------------


できる時に用を足さないと次いつできるかわからないしな。


それに、二人分になったから水もそろそろなくなっちまうからな、近くに敵がいない内に作らないと脱水症状に

なっちまうと大変だからな。


やっぱり、こういう時にあんなにいい耳があると周りを確認できるのは便利だな。


しかも、異世界人の中には”索敵魔法”とか言われる魔法もある。


そうやって、周りを確認できるのはいいよな。


便利だよな、いいな。


いや、俺達の世界だって負けてない。


普通だったら、川の水を飲み水にするのは難しい。


ちゃんと調べないと何が入っているかわからず、危険だ。


だが、そんな時にこのサバイバル用の小型浄水器さえあればそんな問題を解決してくれる。


そう、川の水を綺麗でおいしい飲み水にできるのだ。


我々の世界の科学は日々進化を続けていき、新たな発明品ができている。


魔法にだって負けていない。


そう、考えながら俺は川の水をろ過して、くんでいる。


んっ、でもよ。


ふと思ったけど、異世界人は攻撃の魔法で水を出す事ができるよな。


無から水を生み出してるわけだし、そいつを飲み水にすればいいのではないかという考えが頭に浮かんだ。


いちいち濾過する時間も省けるし、いつでもできる。


やっぱり、俺達の科学力よりも魔法の方が便利なんじゃないかと思ってしまった。


うーん、訓練所では魔力と呪文さえあれば魔法を使えると習った。


実際、俺達にない魔力を魔晶石でカバーすることで奴隷の魔法を使っていた。


獣人の子は魔力があるし、俺は簡単な魔法の呪文は相手の研究のために、習っていた。


つまり、条件はそろって、できなくはない状態に今ある。


後で試してみるか、何か魔法の方が便利そうだし。


そんな事を考えているとろ過が終わり、十分な量の飲み水ができた。


俺は荷物をまとめ、さっきまでいた場所へと戻った。


--------------------------------------------------


「えっ!!」


そこには誰も、獣人の子はいなかった。


しかも、ただどこかに行ったとは思えない。


誰もいないだけではなく、その場所は何かが通ったように荒らされていた。


「さらわれたのか?」


軍人か?


いや、あの場所からは大分離れているし、痕跡は最低限にした。


追いつくにしても早すぎるし、追われていたら気付いていたはずだ。


そもそも、周りについている跡は人のものとは思えないひっかき傷がチラホラある。


多分なんかの魔物の可能性がある。


だったら速くしないと、命に関わっちまう。


でも、何で攫われたんだ。


あの耳があるんだから、気付くはずなんだが、


「いや、違う」


俺はあの耳を当てにしすぎていたんだ。


足音を小さくして歩くなんてできる奴は出来る。


そうすれば、近くまで接近できる。


軍人はそう言う訓練もしてるし、異世界人もそうだろう。


魔物だって狩りのために、そういう事をしてる物が多いいと思う。


それに開けた場所ならともかく、建物などによって入り組んだこのコンクリートジャングルじゃ、音を拾えない事

もあっただろう。


建物の素材だって、近年の騒音問題によって音を吸収しやすい素材を使っている。


耳だけですべてをカバーするのは無理だったかもしれない。


あまりに便利さ、楽さに過信しすぎた。


もっと周りを確認しておけば、ここにいたのかもしれない。


自分の髪をかきながなら、


「クソが」


俺は近くの木を叩いた。


俺のミスだ。


いや、反省よりもまずどこに連れてかなきゃ探さなきゃいけない。


俺は直ぐに周りを探し始めた。


--------------------------------------------------


うっ、ここはどこ?


確かあの場所で待ってたら、襲われて、、、。


そうだ、思い出した。


襲われて、頭を思いっきり叩かれたんだ。


それで、ここまで運びこまれたんだ。


周りを見渡してみると、私を襲った魔物である”ゴブリン”が8体いた。


運ばれた場所はただただ広く何もない空間であった。


多分、私をココでなぶり殺しにするためにわざわざ運んで来たんだろ。


私は今日死ぬのか、でも不思議と恐怖はない。


どちらかと言うと安心感、やっと解放されるという感情の方が強い気がする。


何人か解放されるために自分がその道を選んだ人は見てきた。


自分は解放されたいという思いはあった。


でも、私にはそんな勇気がなく、なあなあで生きてしまった。


そんな人生が終わるんだ。


やっと、終わるんだ。


私は高い天井を見つめ、自分の人生を振り返ろうと思ったが、特にそんな思い出はなかった。


思えば辛い事しかなかった人生、わざわざ思い出したい事なんてない。


私はどんな走馬灯を見るんだろうか?


ただの真っ白な光の記憶でもみるのかな。


そんな事を考えていると、”ゴブリン”の一体が私が目を覚ましたのに気が付いた。


それを周りの仲間に伝えている。


どうやら私の最後が近いみたいだ。


”ゴブリン”達に遊びながらいたぶられるんだろうな。


速く終わって楽になれるように神にでも祈ってみるか?


いいや、無駄だな。


今まで私の願いなんて聞いたことのない神様なんか当てにしても意味がない。


だったらもう耐えるしかないのかな。


ドン!


私が変な事を考えていると、突然扉の方から大きな音が鳴った。


何だ?


”ゴブリン”達もそう思ったのか、あたふたし始めた。


彼らの言語を私は理解できないが、何かを話しているという事はわかる。


そして話し合いが終わったのか、二体の”ゴブリン”が確認することに決まったらしく、音の鳴った扉の方へと向

かっていった。


二体の”ゴブリン”が扉に辿り着き、開いて見たが、外には何もなかった。


不思議に思ったのか、二体は外に出てあたりをキョロキョロと見渡しているが、何も見つからないようだ。


二体は肩を降ろして安心したようにこちら側に振り返って、戻って来ようとした時に、


ガラガラ、ガッン!


上から大きな瓦礫が落ちて来て、二体が下敷きになってしまった。


そんな状態に残っていた”ゴブリン”が全員慌て、騒ぎ始めた。


全員が扉の状況に釘付けになっているこの瞬間、


ガチャ、


とても小さな音で私以外は気付いていないが、別の入り口の扉が開くのが確かに聞こえた。


私は音の方を見るとそこから丸い筒の様なものが出てきており、


バン、バン、


と、二回大きな音が聞こえたのと同時に何かが飛んだのが見えた。


そして、二体の”ゴブリン”の頭に当たり、その”ゴブリン”は倒れた。


バン、


もう一回大きな音とともにもう一体が倒れた。


”ゴブリン”達はこの状況を理解できていないのだろう、慌てふためいているが、一体が扉の方を指さして叫ん

でいる。


狙われている事に気付いたのだろう。


それと同時に、


ガン!


と、大きな音と共に扉が開いた。


えっ、何で?


しかし、開いたドアには何もなかった。


てっきり、誰かが何かをしていたのではないかと思ったのに、そこには誰もいなかった。


そう不思議に思っているのは私だけではなく”ゴブリン”達もそう思っているだろう。


だから、生き残っている3体の”ゴブリン”は扉の方にゆっくりと警戒しながら近づいて行った。


そして、扉の近くまで行くと、開いた扉から何か丸い物体が”ゴブリン”達の後ろの方に投げ込まれた。


全員がその物体に注目して、見た瞬間に扉から男が一人飛び出してきた。


男の顔はよく知っている。


わざわざ、私を何の目的か知らないが奴隷から解放した男だ。


そして、扉から一番近かった”ゴブリン”の首を一瞬で刺した。


残りの”ゴブリン”二体は直ぐに男に攻撃しようと飛びかかった。


しかし、首を刺した死体を一方の”ゴブリン”に投げつけて、二体を上手く分断させ、一体の攻撃を上手く躱

して、再び首を刺した。


最後の一体は死体を投げつけられた事で、床に倒れ込んでいた。


だから、男は腰に手を掛けて何かを取り出し、ゆっくり取り出した物を”ゴブリン”の頭に向けて、


バン!


その音と共に最後の一体の頭を何かが貫通して、倒れた。


まさにたった一瞬で男は突入して、全ての”ゴブリン”を倒して制圧をした。


そして、私の方に手を差し出して、


「大丈夫か?」


と、聞いて来た。


もちろん大丈夫ではあった。


でも、何でこの人は私をわざわざ助けるんだ。


それがわからない。


そもそも、何で助けるんだ。


そうすれば、私は楽になれたんだ。


なのに、


「なんで、助けたんですか?もうすぐだったのに」


私は男にそう言った。


そう、もうすぐ全部を終わらせる事ができたのに、男はそれを止めたんだ。


なんで?


男は黙り込んで考えている。


そして、


「死にたかったのか?」


と、私に聞いて来た。


考え込んで私が思っていた事を男は当てた。


私はただ頷いた。


男は再び考え込んでいたが、直ぐに何か思ったのか、ゴブリンに刺していた物をを引き抜いた。


そして、それを私の方に投げ、


「だったら、コレを使って、首にでも刺せばいい」


と、男は言ってきた。


私はソレを手に取って、ナイフを首に突き付けた。


男はただ様子を見るだけで、止めようとはしなかった。


私は自分の首を刺そうとした。


でも、手が震えて指すことができず、


カラン、


と、落としてしまった。


私はただ泣き崩れる事しかできなかった。


私には勇気がなく、ただ泣く事しかできなった。


男はそんな私の様子を見て、落ちた物を拾って、戻した。


そして、しゃがんで私と目の高さを合わせてきた。


「やっぱり、君には自分から”死ぬ覚悟”なんてなかったな」


と、言って来た。


「まあ、そうだろうな。昔はどうか知らないが、俺と一緒の時はそんなチャンスいつでもあった。なのに、君はそ

んな事をしようとは一度もしなかった。結局自分ではできないから、でも死んで逃げたかったから、誰かにやっ

てもらおうとしてた」


その通りだ。


私は自分でできなかった。


だから、誰かがやってくれるのをずっと待ってた。


誰でも良かった。


でも、結局そんなのは現れず、今まで生きてしまった。


私は弱いんだ。


だから、いつも、、、。


「正直死にたいという気持ちになるのはわからないでもない。こんな世界だ君以外にもそう思っている人は多

いいだろう。俺だって、一回辛くてそう思った事がある」


「そうですか」


「ああ、でも君の場合はそれに加えての奴隷生活。正直俺にはその辛さは想像できないし、わからない」


そうだろう。


あんな生活をしたことない人には私たちの気持ちはわからない。


「そんな人になんて声をかけて言いか、正直俺にはわからないし、俺には止める事はできないと思う。冷たい

かもしれないが、死にたければ死ねばいいと俺は思っている」


確かに、冷たいかもしれない。


「でも、君が生きたいと、”死ぬ覚悟”じゃなくて”生きる覚悟”があるんだったら俺は君を全力で守る」


男は私の頭を撫でそう言った。


でも、


「私にはそんな覚悟なんてないです。今だって、」


「それはどうかな。君は自分で死ぬことはできなかたっじゃないか」


それはそうだけど、


「そいつは別に君が弱いからじゃない。頭では死にたいと思っても、本心が生きたいと思ってるからじゃないか」


そうなのかな。


わからない。


「だったら、本心に従って生きればいい。それが、君の本音なんだから」


本当にそうなのか?


そうだとしても、私の今までの人生は、


「君の過去は最悪だったかもしれない。ここで死んだら君の人生は最悪で終わってしまう。でも、これからも生

き続ければ良い人生で終われるかもしれない。それは、生き続けなければわからないことだ」


男は私の目を真っ直ぐと見て、


「だから、もう少しだけ生きてみないか。折角奴隷から解放されて自由になったんだ。もう少し生きて、好きな

事やりたい事をしていってからもう一回考えてみないか?だから、もう少しだけ生きてみないか?」


そう言った。


そうなのかもしれない。


この人は私を前の主人から解放して、私を縛る事はしなかった。


私を奴隷から解放してくれた。


そうなのかもしれない。


私はまだ生きていたいのかもしれない。


「さっきも言ったが、今は戦時中だ。辛い事が多いい時代で生き続けるのも大変だ。でも、俺はそんなくそっ

たれの時代を終わらせるために今戦っている。だから、安心しろ。安心して生きてくれ」


笑いながら男は私に言った。


私はもう少しだけ生きてもいいのかもしれない。


私はその場に再び泣き崩れて、地面に座り込んだ。


もう少しだけ生きてみようと思って。


--------------------------------------------------


獣人の子を説得しようとしたら、泣き崩れてしまった。


でも、もう死のうとはしていない。


良かった。


正直どうしようかと思った。


てか、最初にナイフを渡した時にそのまま自分を刺したらどうしようと、今まで自殺をしようとしていなかったから、

そんな事はしないと思ってわいたが、内心焦ってはいた。


でも、ソレもどうやら大丈夫みたいだ。


結果オーライだな、うん。


それに、助けられて良かった。


ここに来て建物内を色々と確認してたが、惨く遊ばれていた死体がいくつもあったのを見つけていた。


本当に惨く、手を覆いたくなった。


もう少し遅かったらこの子も。


速い所何とかしないとあんな死に方をする人が増えていく。


俺が知らなかっただけで、こんなのが世界中で起ってるんだろう。


俺達の世界同士で争っている暇なんてないんだ。


手段を選んでいる時間はないのかもしれない。


とりあえず、早くここから離れないとな。


この建物にいないだけで外にまだコイツらの仲間がいるのかもしれない。


だから、


「もう大丈夫か?」


と、獣人の子に手を差し伸べて聞いた。


獣人の子は俺の手を繋ぎながら頷いた。


そして、立ち上がり、直ぐにこの場から離れ安全な場所を目指そうと思った時に、


「教えてください」


と、力強く言われた。


「はい?」


教える?


何をだ?


「世界の事とか色々をです」


ああ、そうか。


確かに今までの生活だと知らない事の方がこの子は多いい。


「ああ、教えるよ」


知らなきゃ困る事も多いいだろうし、教えといた方が今後この子も楽だろう。


「それと、さっきのやつも教えて欲しいです」


そう言われた。


さっきのやつって、なんだ?


もしかして、


「コレの事か?」


俺は腰からナイフを取り出して、そう返した。


すると、獣人の子も、


「はい。その、かっこよかったんで、私にも教えてもらいたいです」


と、目をしっかりと見て言われた。


始めてだ。


俺の目をしっかりと見るのも、自分の意見を言うのも。


カッコイイか、正直褒めてくれるのは嬉しい。


だけど、わざわざ教えて危険ね身に晒すのは違うのかもしれない。


俺が色々と考えていると、


「自分が好きな事をやれって言ったのはご主人様ですよ」


そう言われてしまった。


そうは言ったけど、まさかこんなに早く言われ返されるとは思わなかった。


でも、まあ言ったのは俺でそれがしたいっていうならしょうがない。


「ああ、わかった教えるよ」


と、了承したが、


「その代わり俺の事をご主人様なんて言うな」


俺は条件を付けた。


この際、敬語なのはしょうがない。


いきなり砕けた言い方にしろと言っても困るだろうし、話しやすいほうがいいと思う。


でも、呼び方は変えて欲しい。


そもそも主人みたいな上下関係で縛るのは嫌だ。


俺はこの子の主人じゃねえし。


「じゃあ、何て呼べば?」


獣人の子も困惑していた。


今まで、そんな呼び方をしていたのだから、わからないというのはしょうがない。


こういう事を俺は教えていくんだろう。


でも、どうするか?


呼び捨てとかで全然良いけど、この子は少し難しいのかもしれないし。


うーん、どうするかとしばらく考えた。


が、良い事を俺は思いついた。


「だったら、俺の事は”モモ先生”って呼べばいい」


俺はそう提案した。


「先生?」


「ああ、教える人の事を先生って呼ぶんだ。俺はこれから君に色々教えるからピッタリだろ」


俺がそう言うと、獣人の子も頷いた。


先生だったら敬語で話されても違和感もそんなにないしな、我ながら良い提案をしたかもしれない。


だが、呼び名の話をしてたら気が付いたが、俺達にはもう一つ問題があった。


それは、


「君の名前ってなんていうんだ?」


そう、俺は獣人の子の名前を知らない。


だから、いつも君と呼んでいた。


自分の呼び名について色々と思っていたが、この子への呼び名にも問題があると思った。


この際、この問題を解決するために、名前を聞こうと俺は思った。


「自分の名前を知らないです」


だが、この子は知らなかった。


まだ、名前がなかった。


申し訳なさそうにし、少し空気が重くなってしまった。


「そっそうか、とりあえず今はここから離れよう」


だが、今はとりあえず移動する事を優先することに俺はした。


この子も頷き、俺達は直ぐに移動した。


--------------------------------------------------


「”フレイア・ループス”」


「えっ?」


捕らえられていた場所から離れて、安全な場所まで来た所で俺は突然そう言った。


俺の突然の発現に困惑していた。


「名前だ。ないなら作ればいい、これが名前だ」


ここに来る移動中にどんな名前にするかをずっと考え、今名付けをした。


「”フレイア・ループス”ですか?」


「ああ、だからこれからは”フレア”って呼ぶからな」


俺はフレアに言った。


「だったらフレアでもいいんじゃ?」


と、言われたが、


「そういうのは気にすんな。俺だって”モハメド”って名前だけど”モモ”だぜ」


俺の名前は日本人の母親が付けてくれたらしい。


理由はわからないが、”モモ”と付けたかったらしくその相性で呼ばれる名前を付けたらしい。


その他にも色々意味があるらしいが、当時はあまり興味がなかった。


「まあ、深く考えるな。これが君の”フレア”の名前だ」


「そうですね。わかりました」


フレアは頷いた。


顔を見る限り、気に入ってくれたようで、良かった。


あっ、そうだ。


「ちょっといいか?」


「何がですか?」


「水を出す魔法なんだが、”スプラッシュ・ウォーター”とココ目掛けて唱えてくれないか?」


と、俺は頼んだ。


いい機会だし、試してみよう。


これが成功できれば、これから大分楽だしな。


フレアも俺に対して、頷き、


「”スプラッシュ・ウォーター”」


と、俺が容器目掛けて唱えてくれた。


威力自体はさほどない魔法だが、始めてやるのかジョウロで水をやるような威力であった。


だが、容器を満タンにするには充分であった。


「おっ、あんがとな」


これは成功だな。


そう思って、俺は容器の中の水を飲んだ。


「ブッ!!」


だが、俺は口に含んだものを全部吐き出した。


「ま、不味い」


何というか何かが足りないそんな味がした。


とてもじゃないが飲みたくない。


いちいち濾過するより楽であろうと。


「フフ」


そんな様子を見てフレアは軽く笑った。


そう、笑ったのだ。


俺と会って、初めて笑ったのだ。




次回は未定です。

Twitterや活動報告で適当に次回については更新してます。

Twitter:@tScRxzYLtrcGXnG

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