20話 前日
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20話 前日
「それで、相手は誰なんだ?」
とりあえず、誰と戦うのかをカモシダさんに聞いた。
「戦う相手は元格闘家の”フジ タゴノウラ”っていう男だ。ここじゃ一番腕ぷっしの良い奴でな、金持ちの男が日本
から離れるまでに倒せたらリングを貰える事になるんだよ。逆にそれまで誰にも負けなければスズガタケが貰う
事になるけどな」
なるほどね、金持ちの奴が避難のために日本を離れるまでにその”スズガタケ”がリングを守っているて訳か。
でも、ココを作った奴が離れるって事は、
「ココはもう、、、」
「ああ、先はない。だから、俺じゃ勝てないから離れる準備をしてたんだけど、あんちゃんなら勝てるかもしれない
しな」
「だから、コンビ二なんかに来たのか?」
「食べ物とか道具を集めるためにな」
それで、ゴブリンに追われて俺が助けたって訳か。
そのお礼で、ここに連れてきてもらったし、いい事聞けそうで俺もラッキーだがな。
「とりあえず、案内してくれよ。その男の所まで」
「おう」
カモシダさんは返事をすると、再び歩き始めた。
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しばらく奥に進んで行くとそこに広がってたのは、
「リングか。随分豪華だな」
試合をするための、試合場であるリングが広がっていた。
「ここでやるのか?」
「そうだぜ。すごいだろ」
ああ、すごい。
ここが地下だとは思えない様な空間が広がっていた。
丁寧に観客席まで付いてやがる。
随分と本格的にやってるな。
これも、金持ちがやったのか。
まじで、考えている事が分からねえ。
「おっ、いた」
すると、カモシダさんはある場所を指さし、
「あれが、そうだぜ」
と、言った。
指をさした男は訓練所にいたマッドを思い出す程、体格の良い大きな男だった。
金髪の髪を刈り上げたモヒカンはその体格のよさと合わさって、威圧感の強いものになっている。
「あれが、”フジ タゴノウラ”、戦争前には格闘家の男で、ここで一番強い男さ。今まで何人もの腕自慢が挑
戦したが、誰も歯が立たなかった」
そうだろうな。
ここに来るまですれ違った人の中で体格は圧倒的一番、元格闘家なら力を振り回すだけだったマッドとは違
って、技術もピカ一だろう。
誰も歯が立たないのは納得だ。
こりゃあ、思った以上にめんどくさい事を引き受けたかもしれない。
「だから、あんちゃんは勝てそうになかったら、ささっと降参した方がいいぞ」
「んっ、何でだ?」
「始まっちまったせいで、格闘家が廃業してからあの人、相当荒れたみたいでな。徴兵後に問題起こして、
捕まりそうになった所を逃げたって噂だ」
そいつはクレイジーだな。
「でも、それがなんで降参なんだ?」
「言っただろ、荒れてるって。今回のリングでの試合以外にも度々あの人はココで喧嘩してたみたいだけど、
全員大怪我負わされてるみたいだ。試合はさすがにルールがあるから被害は少ないが、早めに引かなかった
奴は全員な」
カモシダさんは少し曇らせて言って来た。
要は残虐な奴って事ね。
「オーケー、理解した」
俺はそう答えはしたが、簡単には引く気はない。
チャンスなんだしな。
俺はそう思って、相手を見た。
「んっ?あれって、」
すると、ある事に気付いた。
男の体格の良さに目を引いていたせいで気付かなかったが、男の後ろに小さな女の子がいた事に気が付い
た。
しかも、ただの女の子ではなかった。
「あれって、そうだよな?」
俺は確認のために、女の子に指を向けて、カモシダさんに聞いた。
「ああ、獣人の子供だよ」
やっぱり、あおの女の子は俺が知っている子供と違って、頭に耳が付いていた。
それによく見てみると、尻尾もある。
まず、間違いなく獣人だが、何でこんな所に?
「不思議そうな顔してるな」
「それはそうだろ。だって、こんなとこに獣人だぜ」
ここはリングを亡くした死人の集まり、俺はそう思っていた。
だから、異世界人がいるわけがないそう頭の中で思っていた。
なのに、異世界人である獣人がいるんだ。
不思議というより、驚きの方がでかい。
「何でいるんだ?」
「あれは奴隷だな」
「奴隷?」
そんな文化とっくのとうに亡くなっているはずだ。
「俺達の世界にはそんな文化はない。だが、異世界は違って残っていたんだ。そんな文化がな」
まじかよ。
「でもよ、文化が残ってても流れてくるのか、こっちに?」
「それが、流れてくるんだよ。あんちゃんはまだ時間がそんなに経っていないから実感してないかもしれないけど、
俺達がいるのは俗に言われる”裏世界”って奴だぜ」
んっ、そうか、あんまり意識してなかったけど、俺はそう言われる世界に来たって事か。
「だから、たまにあるんだよ異世界人の奴隷が流れてくることがな。まあ、でも基本は俺達死人じゃなくて、金
持ちな奴らが持ってるが、あの子はココに流れてあいつが手に入れたって話だ」
「そうなのか」
「ああ、特にあの子みたいな獣人は異世界側では魔物よりな見た目や魔力の少なさから、差別の対象で
昔から奴隷として流れてたらしくて、奴隷の中なら一番良く流れてくるらしい。俺もここに来る前に2、3人程
見てきた」
色々な所を行っているであろう、カモシダさんでも2、3人って事は本当に極まれにしか流れないんだろう。
だが、そんな事よりも”奴隷”なんて文化が実在するなん、俺はそんな現実に呆然としてしまった。
「まあ、こんなのが当たり前の世界なんだ。だから、気にすんな」
カモシダさんは俺の表情から何かを察したのか、そう優しく言って、俺の背中を叩いた。
そういう物なのか。
「とりあえず、勝負の申請に行こう」
カモシダさんは話を変えてきた。
「あいつにするのか?」
「いいや、あそこにいる受付みたいな奴に言うだけさ」
指を向けたほうには帽子を被った、スタッフの様な男がいた。
「だから、とりあえず来てくれ」
そう言われて、カモシダさんについて行こうとすると、
ドカッ!!
と、誰かが殴る様な音が聞こえた。
俺は気になって、音の方に顔を向けてみると、
「なっ!!」
そこには、獣人の子をぶん殴っている男、タゴノウラがいた。
「何やってんだ!?」
「だから、言っただろう。あいつは荒れてるって、そういう奴なんだよ」
カモシダさんはそう答え、
「それにあの子は”奴隷”になってしまってるんだから、しょうがないんだ」
そう、続けた。
そうか、これが当たり前なのか。
タゴノウラの野郎は再び拳を握り、続けて獣人の子は殴った。
周りにいた一人が止めようと近づいたが、
「うるせえ!」
の一言と共に、殴り飛ばされてしまった。
そんな様子を見て回りは萎縮してしまい、誰も止める事ができなかった。
そして、タゴノウラは再び殴り始めた。
俺はそんな光景を見て、拳を強く握りしめた。
「そんなの、クソ喰らえだ」
俺はタゴノウラの野郎の方へと向かった。
「あんちゃん、ちょっと待っ」
カモシダさんはそんな俺を静止させようとしたが、俺はそんな事を聞かなかった。
ガシッ!!
「あん?」
そして、再び殴ろうとした腕を俺は掴んで、静止した。
「おい、何してんだ、お前?」
と、タゴノウラはキレ気味で俺に言ってきた。
「お前こそ何してんだ?子供だぞ」
「フッ」
俺の答えに対して、鼻で笑って、答えた。
「違う、獣人だ。俺達と一緒に当てはめちゃあいけないぜ」
俺の事をバカにするように言った。
「しかも、コイツは奴隷さ。分かったら速くその手を放すんだな」
獣人だから、何だそれ。
奴隷だから何だ。
子供に変わりねえじゃねえか。
なのに、コイツはなんでこんな事できんだ。
「チッ、」
ふざけやがって。
そうだ、俺はこんな当たり前を壊すために、軍を抜けたんだ。
だから、俺の答えはコレだ。
俺は腕を掴んだ手をさらに力を強く入れた。
「ッ痛、おい」
タゴノウラはそんな俺に腹を立てており、
「いい加減にしねえと、ぶっ飛ばすぞ」
と、俺に言ってくる。
だが、俺は腕を離そうとしなかった。
そんな俺に怒りが収まらず。タゴノウラは掴まれている腕とは逆の腕を引いて、
「こんのヤッ」
ガッン!
殴ろうとしてきたが、逆に俺がタゴノウラの顎横目掛けて拳を打ち抜いた。
「なっ!」
そうすると、タゴノウラは驚いた声を出しながら、後ろに2,3歩フラフラしながら千鳥足で下がっていった。
そして、
バタ!
タゴノウラはその場に倒れてしまった。
顎を強打したことで、脳が揺れて、脳震盪を引き起こしたのだろう。
俺はタゴノウラを気絶させた。
ざわざわ、
周りはそんな光景を見て、騒ぎ始めた。
「あんちゃん、おい」
と、カモシダさんは興奮しながら近づき、背中を叩いた。
「やっちまったな」
俺に言って来た。
「すまん。ついな」
「まあ、いいんじゃないか。何とかなるんじゃないか」
カモシダさんはそうは言っても、少し焦っていた。
まあ、こんなのはルール無用の不意打ちの一発。
コレで勝ちが認められリングがもらえるとは思わない。
それどころか、一応ここは誰かが指揮っているところ。
こんな事したらそのチャンスが不意になる可能性もあるかもしれない。
ちょっと感情的になりすぎた。
まずいかも?
そんな事を考えていると、
パチ、パチ、パチ。
と、間を置いた拍手が奥から聞こえてきた。
その方向を見てみるた。
ここには似つかわしくない男が現れた。
ゴーストタウンにいる連中はその格好はとてもみすぼらしいが、現れた男は綺麗なスーツをしっかりと着こなし、
真っ黒な髪もしっかりと上げてセットされている。
顎に髭も生えてはいるが、整えられている。
周りと違って、この男には清潔感がある。
多分、周りとの違いから、
「この人か、リングの持ち主?」
なのだろう。
「ああ、あの人がリングを流した”アキオ クジョウ”さんだ」
頷きながら答えてくれた。
やっぱり、そうか。
周りと明らかに雰囲気が違うもんな。
「そこの君、中々強いね」
と、俺に顔を向けてそう言って来た。
「リングの話は知ってるのかい?」
「はい。その話を聞いてこの人の所に来ました」
「そうか。だが、これじゃあ渡すことはできないね」
そう言って来た。
まあ、そうだろうな。
これは予測できたことだ。
カモシダさんの顔を見ても、驚いた顔はしていない。
「こんな事をしているのは私が戦い、闘争を見るのが好きなんだ。そう、私は戦いが好きなんだ。喧嘩が好き
なわけじゃないんだよ」
一息置き、
「これはあくまで私の持論だが、ルールがあるからこそ戦いになる。ルールがないのは喧嘩、いや殺し合いと変
わらないとね。殺し合いが見たいならわざわざこんなめんどくさい事をしないさ」
だろうな。
そんなのが見たいなら、外に行けばいつでも見る事ができるしな。
「だから、改めて勝負をすることにしないか?君とタゴノウラ君の戦いを私は見てみたい」
んっ、まじか。
正直ここを追い出されることになるかもしれないって思っていた。
俺はいいけど、カモシダさんも巻き込まれたら申し訳が立たなかった。
だが、ラッキーな事にそんな最悪の事は起こらず、対戦させてもらえるようだ。
「という事でいいかな、タゴノウラ君?」
そう言われると、地面に倒れていたタゴノウラは頭を押さえながら、立ち上がり、
「ああ、やらっれぱなしはいやだからな」
と、了承した。
結構深く入れたはずだが、もう立ち上がるあたり、頑丈な奴だ。
「じゃあ、早くみたいから、明日の昼に始めるとしよう」
前で手を叩き、日程を決めた。
明日、改めて俺はタゴノウラと戦う事になる。
とりあえず、色々とチャンスが巡ってきた。
が、まだやる事がある。
「少しいいですか?」
俺は手を挙げて尋ねた。
「んっ、何だ?」
「俺が勝ったらその子を解放してもらっていいですか?」
俺は獣人の子を指して言った。
「なるほど、その子がきっかけとわけか」
クジョウさんはそう言い、顎に手を置いてしばらく考え込むと、
「よし、いいだろう。その条件私が認めよう」
「なっ!!ちょっと、旦那勝手にそんな事勝手に決められても」
と、タゴノウラは拒否してきた。
「ああ、その気持ちはわかる。だから、タゴノウラ君が勝ったら即リングを渡し、暮らしの保証をしよう。それな
らいいかな?」
「まあ、それだったらいいですけど」
タゴノウラはその条件を承諾した。
「ただ、君にもある程度背負ってもらうよ」
今度は俺の方に向いて、そう言った。
「背負うとは?」
「君が負けた場合は私が指定した場所に行ってもらう」
「場所?」
「ああ、まあ彼女の様な暮らしになる」
と、獣人の子を指して言った。
つまり、俺に奴隷になれって事か。
「それくらい背負わなきゃフェアじゃないだろう」
そうだな。
相手だけに条件追加して、自分はなしは俺に都合がよすぎる。
「はい、それでいいです」
俺はその条件を飲む事にした。
「よし、ならまた明日という事で」
そう言って、クジョウさんは来た道に戻っていった。
タゴノウラもこちらを一回強く睨んで、テントの奥に戻った。
「フー」
俺は息を強く吐いた。
「とりあえず、なんとかなりそうだな。あんちゃん」
カモシダさんは俺の背中を叩き、安心している。
最悪ここから追い出されるかもしれず、リングのチャンスがなくなるかもしれなかったわけだ。
ちゃんと悪い事をしてしまった。
「すまん、何か色々」
俺は誤った。
「いいや、結果オーライだろ。それに意外と楽勝そうだし」
カモシダさん自体はあまり気にしてなかったみたいだ。
そして、俺が一度タゴノウラを倒した事でリング獲得が現実味を帯びて、機体している。
だが、
「そんなに甘くはないかな」
「えっ?勝つのが?」
俺は頷いた。
「不意打ちで倒しただけだし、体格が俺よりも一回り以上大きい。リングで真向勝負は簡単には勝てない
な」
俺は思った正直な事をカモシダさんに言った。
「まじかよ。負けちまうかもしれないのか。でも、そしたらあんちゃんが」
カモシダさんは俺が負けた後の俺の事を心配している。
やさしい人だな。
でも、
「大丈夫負けないから」
「でも、簡単に勝てないって」
「ああ、でも俺は勝つよ」
俺は力強くカモシダさんに言った。
次回は未定です。
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