16話 事後
長いですがよかったら最後まで読んでください。
16話 事後
グッシャ!
俺の目の前に立っていた相手の仲間からはブレットと呼ばれていた男が横に倒れた。
頭からは大量の血を流し、横になっている。
・・・。
俺はその光景を理解できず、俺は唖然としていた。
なんで、だってさっきまで俺を担いでここまで逃げたってのに。
何か当たったようには見えなかったてのに。
さっきまで俺と普通に話してたじゃないか。
なのになんで?
俺は拳を強く握り、歯を思い切り喰いしばった。
いや、違うんだ。
わかっているんだ、何が起こったか、俺は。
ピピ!
すると、俺の無線から通知音が鳴った。
俺は無線を取って、
「はい、バトラーです」
返事をした。
『無事かモモ?』
無線の先から俺の名を呼ぶ大きな声が聞こえた。
この声は、
「ファルコか?」
『そうだが、そんな事よりも無事なのか?』
「ああ、まあ、、な。お前がやったのか」
『ああ、まあな。お前と一緒に出てきたのが見えたからな』
銃声が聞こえない距離からの超遠距離からの狙撃、コレは俺にはできねえ。
さすがの腕だな。
「なんでお前がここに?」
俺は無線を通して聞いた。
『モモの所の隊長から本部に報告が来たらしくてな。それで、中隊全体が動いて、相手の索敵に引っかから
ないような距離から建物の出口を見てたんだよ』
相手パーティーを確実に倒すために隊長が判断して動いたんだろう。
「他はどうなってんだ?」
『聞いた話だと、本隊の方は既に脱出してるみたいだ。他の異世界人とジャハラ上等兵は確認できていな
いみたいだ』
「ダイ、ジャハラ上等兵は俺が亡くなったのを確認してる」
『そうか、、、。その事は俺から報告しとくから、お前はそこで救助来るのを待ってろ。動けないだろ?』
「ああ、わかった。そうしとく」
俺はその場に倒れ込んだ。
全身が先ほどの魔法のせいで痛い。
さっきまではアドレナリンのおかげで体はなんとか動いていたのだろう。
今はもう俺の体はどこも動かない。
「クソが」
俺は空を眺め、嘆いた。
戦場といえる程大きくなく小さなものだった俺の初陣。
それは俺の想像とは違った。
もっと上手くできると思っていた。
だが、実際は出来なかった。
ダイチさんは亡くなった。
俺だって、相手が情報に固執していなかえれば、同じ結果になっていた。
俺はブレットと呼ばれた人に目をやった。
この人以外の異世界人は多分、この人の指示通りどうにか脱出できたのか?
確か、『戻れ』って言ってたよな。
出口じゃないどこかに、逃げ込んだのか?
でも、なんで出口に行かなかったんだ?
話を聞いてた限り、本隊を追ってたはずだ。
場所にもよるだろうが、出口に行った方が楽だったと思うんだけど。
いや、この人は気づいてたんだ。
外には俺達がいる事を自分達の索敵魔法の範囲外に。
だから、仲間を外に出さないようにしたんだ。
だから外に仲間がでてこなかったんだ。
なのにこの人は俺を、、、。
何をやってんだ俺は。
「バトラー新兵、大丈夫か」
向こうから俺を呼ぶ声が聞こえた。
声の方を見てみると、どこかの分隊の人間が俺の方へと駆け寄ってきた。
俺はそれに合わせて立とうとすると、痛くて力が入らなかった。
なんでだ?
やっぱりあの魔法のせいか?
俺が立ちあぐねていると、
「おい、大丈夫か?肩を貸してやれ」
周りにいた他の隊員が俺の方に来て、肩を貸してくれ、俺は立ち上がった。
「こいつが、ゴールドランクの冒険者か」
「みたいだな」
他の隊員が倒れた人を囲んで話始めた。
「あそこからドッジがねえ。ゴールドランクの討伐、こりゃあ出世間違いないな」
「まじかよ。また後輩に抜かれてくのかよ嫌になるぜ」
「でもよでもよ、捕らえた方がいいだろうし、判断ミスってことにならないか」
確かに、こんだけ強い人なら向こうの情報も色々知ってただろう。
そういう意味では捕らえたほうが良かった。
が、多分できなかった。
「そうはならないな」
と、おそらくこの隊の隊長が話始めた。
「上の判断は討伐だ。それに俺達はあくまで準備でここに来てたわけで、相手を捕らえるための道具が用意
されてなかった。戦う事はそこまで考えられてなかったからな」
相手側との戦いは今回の作戦では想定されてなかった。
「低ランクならともかく高ランクのこいつを捕らえられる道具はない。今の準備だと捕えても結局魔法でどうに
かされてしまうからな」
そう、俺達の戦いにおいて異世界側の捕虜の立場の者は少ない。
理由としては無力化できる手段が限られてしまう。
大きな戦勝ならそう言った手段も多いいが、今回のような突発的な時にその手段は限られ、相手のレベル
によっては全くない、つまりできないとういう状況も珍しくない。
今回もそんな所だろう。
「ですよねー」
「ああ、だから速くそいつを運び込め」
「「はい」」
と、話してた二人の隊員は返事をした。
捕虜にはできないが、異世界人の死体には俺達には全く解明できない魔法について調べるのに必要みたい
で、できる限り運ぶ段取りになっている。
この人の死体も色々と調べられるのだろう。
俺は担がれながらもそっと下を向いた。
「なんだこいつ?」
運ぼうとした隊員がその様子を見て声を出した。
「どうしたんだ?」
「こいつの顔見てみろよ。笑ってるぜ、変だろ」
「確かにそうだな」
「そんなのいいから行くぞ」
笑いながら死んだのか、なんでだよ。
この人は何で。
そんな謎が生まれたまま俺達は拠点へと向かった。
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あれから5日経った。
俺は拠点についてからは色々検査を行ってみたところ。
外見的な傷こそなかったが、内容はよくわからないが神経系に異常があったらしく今はベットの上で休んでい
る。
幸いな事に安静にしていれば問題はないみたいで、5日経った今では体のどこも痛みも異常もない。
やろうと思えば今からでも作戦に加わることができるが、上からの判断で1週間、あと2日は休むことになって
いる。
コンコン、
その扉の音ともに、リア一等兵とアオ伍長が入ってきた。
「思ったより元気そうね」
「まあ、おかげさまで」
と、俺は答えた。
しばらく沈黙は続き、
「ジャハラ上等兵の事なら気にするな」
アオ伍長は俺が沈んでいるのを見て、そう言った。
「確かにお前の作戦で全員が動いて、結果亡くなりった。だが、お前があの時言った通りあのまま起爆させ
るのは無理があった。どうにかしなければいけなかったんだ」
起爆し、倒壊した後に、あのまま脱出しても良かったのではないかとも挙がった。
しかし、検証してみると倒壊こそ可能ではあったが、バランスが悪くなってしまい、倒壊後の被害が拡大してし
まう事がわかった。
結果として、隊長の判断は正しい事になった。
「確かにジャハラは亡くなった、気にするなとは言わないが、逆も考えろ。その作戦で、本来の作戦も達成さ
れて、被害も最小限にすんだんだ」
「そうだよ、脱出の時はダイチさん以外は助かったんだから」
そう言ったリア一等兵の目は潤んでいた。
「はい、俺は大丈夫っすよ」
俺はそう強がって笑った。
「そうか、。とりあえず後2日ゆっくり休んどけよ」
「はい」
そう言って二人は部屋を出ていった。
休んで初日は隊の人やファルコといった知り合いが来てくれたが、今はその人数も少ない。
まあ、それも今は建物の倒壊後の周りの被害状況の確認や消えた異世界人9人を探すといった新たな作
戦によってそんな暇がなくなったからである。
それでも、さっきの二人やファルコは時間を見てきてくれたりしてくれる。
俺もあと二日したらその作戦に参加することになる。
俺の隊は今、異世界人の捜索、その中でも特に相手の侵入経路を探す事。
海側を囲み相手の侵入を防いでいるにも関わらず奴らは現れた。
それでも抜けてくる可能性は十分にあったとはいえ、その侵入経路がまったく見つかっていない。
そして、これだけ見つからないのであれば、相手側がこの島に現在どれ程の人数侵入しているかが全く想像
できなくなってしまった。
これが、今大きな問題となっており、多くの隊で捜索が続いているらしい。
俺も2日後にそこに参加することになるだろう。
俺は天井を見上げた。
ただ、ここ最近は自分が次にやる作戦よりも前回の事をずっと考えていた。
亡くなったダイチ上等兵やブレットさんの事。
もっと上手くできたのではないかという事を。
逆に考えるか、、、。
コンコン。
すると、またドアがノックされた。
ファルコか?
そう思って扉を見てみると、そこには俺の小隊の隊長、”コジロウ・アカガネ”少尉がいた。
小隊とは中隊の一つ下、分隊の一つ上の単位であり、この人はいくつもの分隊をまとめあげる小隊の隊長
である。
そして、俺が所属する分隊はこの人の指揮系統の元動く小隊に配属されていることになる。
顔や名前こそ初めて知っていたが初めて会う。
それもそうだ、今回の作戦ではほとんど分隊単位で動いていたんだ、それ以上の小隊長や中隊長なんかと
は直接会う機会は俺のような新入りではほとんどない。
そう、会う事はなかったが、知っている。
俺はコンゴウ教官から話を聞いていた。
幼馴染だったという事を。
俺の夢について相談してみろ見たいなことを俺は言われた。
まあ、実際よくわからない人に俺の夢、目標を話すつもりはなかったんだが、会う事ができていなかった。
というより、会う事になるなんて、
偶々か?
いや、会いに来たのか?
「アカガネ少尉、どういった用件でこちらに?」
俺はとりあえずは敬礼をして、そう聞いてみた。
「そう堅苦しくなるな。ただ話をしに来たんだ」
そう言うと、俺のベットの横に椅子を持ってきて、座った。
「ご苦労だった、話は聞いている。精神系の魔法による尋問を受けよくそれだけで済んだな」
確かにあれを何時間も受けていたら、正気ではいられなかったな。
最悪の場合は廃人になってもおかしくなかった。
そう考えたら運が良かったのかもしれない。
とりあえず、その話を置いとくとして、
「それで、話とは何ですか?」
俺はわざわざここに来て何を話しに来たのかを聞いた。
「端的に言うと君が話した事の確認を兼ねてな」
そう言うと、リングからあるページを見せてきた。
「これって、俺が話した内容ですよね?」
「そうだ、治療後に聞いた建物内での出来事の話だ。まあ簡単な事だ、事実確認と気付いたことには他に
ないかってことのな」
そう言うと、ページを閉じた。
「今回の作戦、異世界人と接触したのは限られた人数しかおらず、その中で相手の会話を聞いたのは君く
らいだからな。それで何かあるか?」
「いいえ、特には」
俺はそう答えた。
「まあ、そうだろうな」
「やはり難航してるんですか?」
わざわざ中隊長クラスの人が聞いて来るという事は侵入経路が全く見つからずにいる。
少しでも何かわからないかと、俺に確認するために来たのだろう。
「いや、多分それはそろそろ見つかると思う。君が言った相手の拠点に戻れという発言から、相手側は我々
が周りを固めていることを魔法によって気付いただろう。気付いていなくともその可能性を警戒し、外に出な
い脱出手段である地下に逃げ込んだ可能性が高いと考えていた」
確かに、あの建物には地下がある。
下敷きを逃れていたなら地下に逃げたと考えるし、俺もそうは思っていたが、
「そんなのとっくに探したのでは?」
少し考えればわかる人にはわかる。
上だってとっくに地下を探していたはずだ。
なのに見つからなかったて事は違ったてことじゃないか?
「ああ、その通り。建物の地下は既に隅々まで探したが魔法の痕跡も拠点の痕跡は全くなかった」
だろうな。
そんなのあったらとっくにもう別の作戦を行っているはずだ。
「だがしかし、大体の検討はもうついてる」
「検討?」
「ああ」
上ではもうそこまで進んでいたのか。
じゃあなんでこの人はわざわざここに来たんだ?
しんな疑問お頭に浮かんだが、アカガネ少尉は話を続けた。
「別にここで行った作戦は何も爆破だけではない。この周りの調査や色々あったんだが、その調査結果から
いくつかの不可解な点があった」
「不可解とは?」
「魔獣や魔物の出現量だ」
「少ないって事か?」
アカガネ少尉は頷いた。
「こういった都心は10年程前から、避難勧告によって人は既にいなかった」
確かに、戦争時にはこんな目立つ所狙われやすく、危ないから当然といったら当然だ。
「人気のなくなった場所は奴らが直ぐに湧いて増殖する。10年も放置されている場所なら、もっと沸いてい
てもおかしくないが、今回の作戦の報告量ではその数が明らかに少なかった」
確かに、俺らが建物に向かう際にもその中にもその数は少なかったと思う。
「他の都市部の作戦を行っている中隊や大隊からもその量の少なさが報告に挙がっている」
俺達が行っている横浜以外の都心部でも似たような作戦が行われている。
そこらの場所でも同様の事が挙がっているのか。
確かに不可解といえば不可解。
「奴らはそれぞれ個体差こそあれど、繁殖しすぎると住処をより広い場所へと移動する傾向がみられていた」
実際に、戦争の始まる前はそういった行動で田舎の村や小さな町に移動してくる奴らがいて、その退治に軍
が使われている。
「それだったらこの10年人が全くいない所に移動してこないのはおかしいですね。それもココだけならともかく、
他の場所にも現れていないなんて」
「奴らが基本的に最初に住処、コロニーにする場所は色々あるが、こういった都心では基本的に限られる」
奴らは薄暗い場所を最初によく好む。
都心部で該当される場所は限られ、おそらくその場所は、
「下水道」
「そうだ」
下水道は奴らがよく好んで住処にしている傾向が昔から見られていた。
「今はそこの調査を注意を払って行っているが、まず間違いないだろう」
他の場所ならともかく下水道にはコチラの大型の武器や戦車といった物を中には入れることができず、調査
することができていなかった。
そのため、魔物や魔獣が多く湧いていると考えられていた。
戦争前はこの対策をどうするかの問題がよく挙がってはいたが、始まってからはそんな暇もなっかた。
それどころか、逆にそのおかげで相手側もそこから簡単には進行できないと考え、ほとんどの場所では放置さ
れていた。
「下水道内には魔物や魔獣も見つかりはしていたが、それと同時に死体や奴らの痕跡も見つかってきたと報
告が挙がってきている。他の都心部でも同様な報告が挙がっている。まるでネズミ、上手い事やられたよ」
なるほど、ほとんど無警戒の部分だったと思う。
だけど、それ以上に気になるのは、
「すごい大規模ですね」
「ああ、今はそっちの方が問題だ」
そう、ココだけではなく他の場所にも進行されていることになる。
奴らは大規模な侵攻をどこから行っているんだ?
そういう問題が現れているはずだ。
「考えられるのは1年前の九州での戦いだろうな」
「九州?」
それって、たしか向こうが捕虜の解放のために攻め込んできたっていう、ダイチ上等兵達も参加していたあれ
か。
「ああ、囮にして別のどこかから進入、そこから侵攻を始めたと考えられている」
「つまり、一年前からってことですか?」
「その通りだ。奴らは一年前からこの場所、日本を狙っていて準備はしていた。今回は偶々その途中で出く
わしたこ事になる」
九州てこの国の西側だよな、あんま詳しくはわからないけど。
で、ここが東てことは、
「もうやばいんじゃ」
「ああ、そうだろうな。ここまで来てるって事は既に西側の大半の部分で準備が終わっていることになる。つま
り、始まるだろうなココ、日本で」
今回のような、いやそれ以上の規模で戦う事になるのか。
俺は少し震えた。
「我々のほとんどの人はここから離れ、西側に派遣されることになるだろう」
始まるかわからないココではなく、ほぼ確実に始まる場所に人を多く派遣するだろう。
「まあ、今回の事は向こうも既に報告済み、いつ始まってもおかしくない。はやければ来週には移動が開始
してもおかしくない」
そう言うと、アカガネ少尉は腕を組みなおし、
「だから、もう機会はこれで最期になるだろうから、何か理由を付けてココにきた」
その威圧感はすごく、俺は固唾をのんで、
「何故ですか?」
聞いた。
「話をしにな」
次回は来週、月曜の8時です。




