9話 ランドマークタワー
㎴300ありがとうございます。
最後まで読んでくれるとありがたいです。
9話 ランドマークタワー
横浜ランドマークタワーについて約30分が経ち、道具などが到着した。
「それでは、支給された物資の確認次第、私たちは建物中に行く」
分隊長の合図と共に、俺はバックの中身を確認した。
携帯食料や弾などがある事を確認した。
他の人も確認が終わり、
「では出発だ」
その合図に全員が返事をして、俺達の分隊は出発した。
今回も先ほど同様に安全確認だ。
建物内を確認する際に魔物がいては安全に作業できないため、先に調査をするのだ。
俺は銃を握りしめて進んだ。
--------------------------------------------------
横浜ランドマークタワーは70階程あり、下から順番に見ていかなければならない。
分隊がそれぞれ階ごとに確認するとはいえ、正直めんどくさい作業ではある。
「では、最初に言われたように分かれるぞ」
さらに分隊ごとに階層を分かれてはいるが、その一階一階も広い建物だ。
時間短縮のためか、その分隊をさらに二つに分かれて作業をする。
分隊長の合図であらかじめ決めておいた二つの班にに分隊は分かれた。
俺の班は"アオ伍長"、"ジャハラ上等兵"、"ラッセルク上等兵"、"ケープ一等兵"の5人。
俺達は分隊長の班と分かれて進んでいった。
現在は電気が通ていないため、それぞれに支給されたライトで廻りを照らしている。
内装はお世辞にも綺麗とは言えなかった。
「変わったな」
アオ伍長が少し嘆き、呟いた。
建物の中は使われていないからだろう散らかり、荒れ果てていた。
この建物は元々は街のシンボル、そんな様子を見て思うところがあるのだろう。
廃墟よりはましという感じか。
まあ、10年も手入れされていないのだから、しょうがないといえばしょうがない。
逆に倒壊していないのがすごい。
「特になにもなきゃいいんだけどな」
ラッセルク上等兵はめんどくさそうに中の調査を行っている。
まあ、一つ一つ調べるのはめんどくさい。
だが、この作業を怠り、もし中に魔物が残っていたら今後の作業に支障がでてしまうかもし
れない。
だから、大事なのである。
俺も丁寧に一つ一つの部屋を調査していると、
ドン
「キャッ!!」
物が落ちる音とケープ一等兵の小さな悲鳴が聞こえた。
「どうした?」
アオ伍長が確認するように声を出し、俺達は悲鳴の元へと向かった。
クッサ!!
ケープ一等兵がいる部屋は異様な異臭を放っており、その異臭に驚愕した。
後にきた隊員もその匂いに鼻を抑えた。
部屋の中を見てみると中には犬や猫といったたくさんの動物の死骸があった。
えぐい惨状だ。
「何だコレ?」
ラッセルク上等兵は中の惨状に驚いて、声が出ていた。
部屋を空けてこんな状態を見たら声も出る。
「これはひどいな」
アオ伍長は部屋の中に入り物色し始めていた。
それに続き、ジャハラ上等兵も中に入った。
俺も部屋の中を見ると、白骨化したのであろう骨も転がっているが、
「コイツはまだ新しめだな」
中には比較的新しめの物も転がっていた。
「そうですね。こっちにもあります」
二人がそんな会話をしていた。
新しいってことは、ここを何かが拠点にしているってことになるが。
ん?
全員が視線をこの部屋に注目している。
これって、もしかして。
俺は急いで後ろを振り向くと、
「んっ!!」
音もなくゴブリンが3体近づいていた。
「後ろだ!!」
アオ伍長も気づいたのか叫び始めた。
一体が一番後ろにいたラッセルク上等兵に向かって飛びついた。
ドン!
いち早く後ろの存在に気付いていた俺はその飛びついたゴブリンに持っている銃の先で刺突
し、吹き飛ばした。
が、直ぐに他の二体もこちらに向かって襲い掛かろうとした。
まっずい、俺の銃だと同時には、
ドドドドドドドドドッ!!
部屋の中にいたジャハラ上等兵が俺が吹き飛ばしたゴブリンもろとも持っていたマシンガン
で打ち抜いた。
「大丈夫か?」
ドタドタドタ!
と、油断していると、先ほどの部屋の死骸の山が崩れる音が聞こえた。
急いで中を見てみると、山の中から"オーク"が現れた。
すぐさま、アオ伍長とジャハラ上等兵が銃口を向けたが、
持っていた棍棒のような物を振り回し、二人とも吹き飛ばされてしまった。
バッン!!
ハァ、ハァ。
そのまま、振り上げジャハラ上等兵に止めを刺そうとしが、俺が銃で頭を打ちぬいた。
オークは頭を抱えのたうち回っていたが、しばらくして動かなくなった。
--------------------------------------------------
「フー」
俺は息を大きく吐いた。
今はアオ伍長が他の分隊へと報告している。
『他の階でも同じように、もしかしたらここよりもでかい巣があるかもしれない。俺はこの
ことを報告するから、少し待機してくれ』
とのことだ。
「ありがとな。さっきは」
「ああ、はい。こちらこそ」
怪我の治療から戻ったジャハラ上等兵が先ほどのオークの件でお礼をしてきた。
俺も同様に助けてもらったため、お礼を言い返した。
見た感じは軽く包帯を巻いた程度で大したことはなさそうだ。
よかった。
「初めてか?」
ジャハラ上等兵がそう聞いてきた。
「はい」
俺は頷いた。
実銃を撃ったのは初めてだ。
撃ったのは魔物だったが、何かが心にきた。
「すぐになれるさ」
「そういうもんですか?」
「ああ、嫌というほどにな」
やはり、戦いだもんな。
「まあ、なれるしかないさ。お前もじきに戦うかもしれないんだからな、人と」
そうだな。
俺は再び銃を強く握りしめた。
「それにしても、この銃変わってますね。威力がないというか」
そう、俺に支給されたマークスマン・ライフルは特別硬いわけではないゴブリンの皮膚を貫
通させることができなかった。
「ああ、銃というより弾だな」
ジャハラ上等兵そう言いながら、俺に支給された弾を手に持ち、
「この弾は相手の肉を抉るから、あんまり貫通しないんだ。その代わり相手の体内に残るん
だ」
「そういった意図で?」
「ああ、体内に残った弾は危険だからな」
人体に残った弾は鉛中毒を引き起こしたり、その部位が腐ったりしてしまうのである。
「異世界人は魔法の力で簡単に傷を治すことができる。でも、体内に残った弾をそのままに
して魔法を使うと残ったまま治ることになる」
「毒として残ると」
「ああ、それに肉を抉る弾だからな簡単には抜けず、抜くときに壮絶な痛みが引き起る。そ
の悲鳴で隠れている場所もわかる。画期的な弾、通称"マムシ"と言われている」
「マムシ?」
「日本の毒蛇さ、強い毒じゃないがじわじわ広がるからそう言われていたんだ」
異世界人の魔法は素晴らしい、優れた物なら切られた腕すら再生することも可能なほど。
だが、その一方で体の構造や病気といった医学は全く進んでおらず。ウイルス性の病気で村
が一つなくなるなんてザラにあること。
この弾はそこの知識不足を突いたものなのだろう。
「コイツはこの日本で相当活躍したんだ」
そう説明してくれ、俺はなるほどと頷いた。
「よっと」
ジャハラ上等兵は立ち上がり、
「とりあえず、今はゆっくり休めよ。直ぐに動くことになるんだから」
「はい」
そうだな、今は作戦中だ。
撃ったぐらいで精神にくるようじゃダメだ。
俺はここに身を置くと決めたんだから。
--------------------------------------------------
その後、専門家とそれに付属した部隊が帰ってきた。
そして、方針としてはそのまま爆発をして、この建物を撤去することに決まった。
今はそのために、ホログラムの技術を利用して、本部と専門家たちや隊長たちが、爆薬の量
や設置場所、などのことを会議している。
俺達はその間周りの警護に当たっている。
俺はジャハラ上等兵とケープ一等兵の3人組で窓から建物周りを見ている。
ケープ一等兵は双眼鏡を用いて外を観測、俺は選抜射手として狙撃、ジャハラ上等兵は俺達
の周りを見て護衛するという役割で行っている。
だが、この仕事はハッキリと言って暇である。
魔物や敵がいないのである。
そもそも、俺達がココに来る時、なんならその前にも同じような事をして、ここら一片の魔
物退治はほぼ終わっている。
それでも、全てではないためいるにはいるが、基本的には観測者である、ケープ一等兵が魔
物を見つけても外にいる分隊に連絡をして退治する流れになっている。
狙撃は基本的に異世界人やランクの高い魔物にしか行わないことになっており、撃つ事は基
本的にない。
ジャハラ上等兵も建物内は何回も見回りを行い、全て退治しているため、ほぼ置物状態。
ケープ一等兵のような観測者以外は暇なのである。
「暇だ」
この時間に耐えられなくなったジャハラ上等兵は嘆いた。
「そうだね」
ケープ一等兵もそう答えた。
俺達に比べたら暇ではないというだけで、結局は暇なのである。
「俺はもう少し忙しいと思ってたんですけど」
俺は想像との差について言った。
さすがに、常に銃撃戦といったまでの想像はしていなかったが、さすがにもっと忙しい物だ
とは思っていた。
だが、実際はそこまでではなかった。
もちろん装甲車での中や建物の探索は緊張感のあるもので精神的には疲れたが、蓋を空けて
思い出してみるとたいしたことはなく、肉体的には全く疲れていなかった。
「ここは戦地じゃなくて、戦地になる場所だからな。その準備だからこんなもんだろ」
「そうだね。異世界人側も準備中だったらもっと色々あったかもだけど、そんなこともなか
ったしね」
「ああ、でもこの調子ならしばらく日本は大丈夫かもな」
どうしてだ?
順調ではあるけど、まだ何も起こっていないだけだ。
「どうしてなのダイチさん?」
ケープ一等兵も気になったのかジャハラ上等兵に尋ねた。
「一応上等兵だから色々聞けるんだが、向こうの動きが分かってから海軍が直ぐに動いて、
攻めてくるはずの海は色々固めたみたいだから、俺達が動くのは海軍が突破されてからの話
になるみたいだぜ」
確かにそうかもしれないが、
「でも、転送魔法とかで中に切り込まれたりするんじゃ」
向こうには俺達にない魔法がある。
その中でも転送魔法は物資だけではく人のやり取りも行える。
海を固めたとしても、無視して突破することは可能である。
「ああ、だから油断はできない。だが、転送魔法は大がかりな魔法。事前な準備が必ず必要
だ。それこそ、一回は海軍の包囲を突破しないとな」
なるほどな。
根拠はしっかりしている。
「今まで日本にはほとんど牽制で軍事力を残すためにしか来てない。一年前に九州で捕虜解
放のために、中々の数では来はしたが、俺達もいた大隊が勝ったからな」
「九州のに参加してたんですか」
まあ、訓練が厳しくて深くまでは知らなかったが、訓練所で流れてきたのを思い出した。
その戦いにこの人達は参加してたのか。
「そうだよ。ダイチさんは取られた港を取り戻す時に、突撃兵として先頭に立って鬼人の如
く相手を倒しまくった功績から、上等兵になったんだよ」
だから、二年で上等兵に。
やっぱり、実戦に立った方が昇級が速いな。
「やめてくれよ。あん時はただ精一杯やっただけだし」
少し恥ずかしそうだったが、昇級するだけの活躍をしたのだからこの人はすごい事をしたの
だろう。
「とりあえず、それは置いといて。とにかく、そういうわけだから今回の俺達の任務はわり
かし暇に終わるかもな」
「そうだね」
まあ、根拠を聞くと納得はできるだけの理由である。
「だからといって、気を抜いて油断するのはだめだ。"もし"があるかもしれないし、それに
魔物もいるからな。わかったか新兵」
「はい、ジャハラ上等兵」
と、返事した。
「ジャハラじゃなくてダイチでいいよ。いいにくいだろ?」
「まあ、はい」
発音がしにくくはあった。
「だろ、ダイチでいいよ。バトラー君」
「わ、わかりましたダイチ上等兵」
「なら、私もリアでいいよ」
「そうですか。ならリア一等兵で」
「そうそう、よろしく」
その後も、周りを見ながら適当な話をして、俺達の関係が深まった。
次回は来週の月曜日で、




