02話 魔力暴走(?)
俺らは昼のランチを楽しんでいる。
しかし、中には気分が浮かないものもいる。
「はぁ....。気分が乗らねぇなぁ...」
「なんで魔力基礎測定なんてもんがあるんだ?」
「くそっ...!精神と肉体が結構限界なのに追い打ちを仕掛けてくるなんて..!」
「教職員......恐るべし...」
ウチのクラスの男子のおバカ軍団は教室の隅で集まって愚痴をつぶやいている。
その集団の周りには淀んだ空気が漂っているのが肌で感じる。
そして、周りの魔力も集まっていっているのもわかる。.....。
ちょっとまずいか?
そう考えているうちに、どんどん濃い密度になっている。
この不穏な魔力を察知したのか、クラスメイトが教室を慌てて出て行っているのが分かる。
はぁ。ランチ中だってのに.....。
「なぁ、ユキ。これって.....ちょっとばかしまずくないか?」
ちょうどランチを終えたのか、ハウェイが俺の席の前に来る。
「うん。まずいね。魔法が暴発するときとよく似た感じの魔力を感じる」
パクッ。モグモグ。
「.....え、えっとぉ...。なんでそんなに落ち着いてられるんだ?」
お、今日のメインディッシュはステーキか。...うん。この肉の部位も悪くないな。
「おーいユキくーん.......話をスルーされるの結構悲しくなるんだが....」
おっと、ハウェイが話をスルーされて泣きそうになってる。
.....ちょっといじめすぎたか。
「あ、ごめんごめん。ご飯のことに夢中になってたよ。」
少し笑いながら俺は答える。
「...まぁいいよ。んで、あいつらどうする?ここにいたら俺ら巻き添えくらうぞ?」
「大丈夫。多分任せとけばあれ収まるから」
「ん?それってどういう?」
ハウェイは気づいていないようだ。
すると、廊下を走ってこちらに迫ってきている足音が2つ。
ガラガラガラドン!!
突然クラスの扉が何者かによって勢い良く開けられた。
「君たちっ!何をしている....って、うわっ?!」
バタッ!
「え?うわっ!ユーリン先生、大丈夫ですか?!」
ウチのクラスのおバカ軍団に近づこうとしたユーリン先生が
負の感情で集められた高密度の魔力の風によって床にたたきつけられる。
それを見て、今日の朝階段で先輩たちの間で埋もれていた先生がユーリン先生に近づく。
「お、おいっ君たち!周りに渦巻いている魔力を今すぐに開放しなさい!」
「うぅ....っ!....先生?」
ここでおバカ軍団の一人の自我が戻る。だが、少し遅かったようだ。
もう制御が難しい状態になっている。この状態で魔力を開放するのは難しい。
「ま、魔力が...っ!先生っ...もう制御できねぇ...っ!クッソォォ...」
「なんだと?!もう制御ができないくらいの魔力が集まったのか?!」
おバカ軍団1人ひとりは、そこまで魔力が多いわけじゃない。
なんなら、下級探索者に比べて少ないくらいだ。しかし、今は違う。
大体7人ほどがいる。その魔力量は、上級魔法士と同じ量となる。
さらに、暴走状態となると、それ以上の魔力が漂っているとなる。
「いかん。わしにもこれはどうにもならん...!!」
「なんですって?!なら、あの子たちは破滅することになるんですか?!」
魔力が暴走した場合、体にはとても負荷がかかる。
普通は軽く爆発する程度なのだが、今は7人ほどが中心となっているため、爆発の規模が違う。
暴走してしまったら、このクラスは壁や天井に穴が開くだろう。
たとえどんなに強度強化の魔法をかけている壁でも。
そして、うまく魔法が使えない人間は、間違いなくその威力に耐えきれずに死に到る。
「そんな...俺たち死んじまうのか?!誰か助けてくれよ....っ!うっ..!」
そして、先生の言葉が決め手となったのか、また負の魔力が増大していく。
このままだと本当に大変なことになる。
あれ?なんか思ってた状況と違う。
そんなことを思っていると、ハウェイが話しかけてきた。
「.....」
「なぁ、ユキ。お前ならアレ。なんとかできるんじゃねぇの?流石にこりゃまずいわ」
「.....」
「頼むユキ。お前しかこの状況を切り抜けれるやつはいねぇ」
流石に俺もまずいと思ってきた。しかもクラスメイト。後々が面倒になる。
「はぁ。わかったよ。この状況は俺も好きじゃない」
「サンキュー」
「先生、皆。ちょっと下がって。」
この魔法を使うのは何年ぶりだろうか。あの日、人を殺めた日以来だろうか。
「奇跡の禁魔終刻」
俺がそう唱えたら俺の周りの魔力が全て消えていく。
そう。すべてが無に帰ったように。
1秒もたたないうちに、何事もなかったように、魔力が普通に戻っていく。
そこに元々あったかのように。
先生や周りのみんなは驚いているのか、何も言葉を発せない状態になっている。
先生に限っては、頭がボーっとしているみたいだ。
「さぁ、皆。次の授業始まるぞ!次は魔力基礎測定だ。外の訓練場行くぞ!」
ハウェイのこの一言で、皆が我に返った。そして、一斉に動き出す。
「じゃ、俺らも行くか」
「そうだね。行こう」
俺らはみんなと一緒に訓練場まで行った。
唯一、先生たちはその場所からしばらく動けそうにないが。
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