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落とし物を届けたら双子の美少女がやってきました  作者: taqno(タクノ)
進展編!?

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第65話 海と双子とビーチバレー

「あ……ユカちゃんりょう君……おかえり……」


「お、おう」


「ど、どうミカちゃん? 疲れはだいぶ取れたー?」


「うん。パラソルの下で休んでたら……元気回復……!」


 ミカは両腕でマッスルポーズを取って元気アピールをしているけど、その腕だと全然元気そうには見えないな。

 細い割にぷにぷにしてるし、力こぶなんでもちろん無いもの。俺も人のこと言えないけどさ。


「あれ? 二人とも顔が赤いね。遊び疲れちゃったのかい? 少し休憩しようか」


「だ、大丈夫だよパパ! ユカたち全然元気だしっ! ねっリョウ君」


「そ、そうですよ。まだまだ余裕です、はい。ただちょっとアクシデントというかまぁ……色々ありまして」


「あっ……」


 康介さんはそれだけで俺とユカの間に何かが起きたと察したようで、俺の肩にポンと手を置いた。

 憐れむような表情をされるのがちょっと嫌なんですけど……。


「亮君。君も女難の星の下に生まれてきたようだね。僕とは違って相手は二人もいるようだけど」


「同情してもらえるのはありがたいですけど、別に何もありませんでしたからね!?」


「うん、大丈夫。だいたい察しは付いてるから。別に娘たちに手を出してふざけるなとか、そんなことは言わないから心配しなくていいよ。《《そういうこと》》をしなくちゃいけないようなやむを得ない事情があったんだろう?」


「理解力がありすぎると逆に怖い! 康介さんの過去に何があったんですか!?」


「夏は本当に普段じゃ起きないようなハプニングがいっぱい起きちゃうんだ……。たぶん君が体験したことはまだ序の口だと思うよ……」


 あれが序の口って……水着姿のミカとユカの両方とほぼ抱き合うような出来事よりも、更に凄いことが待っているっていうのか!?

 それ以上ってもはや同人誌でしか見ないような展開しか想像できないんですけど。

 たぶんそんな状況になったら陰キャの俺は耐えられずに逃げ出すわ。

 しかし康介さんの忠告も無視は出来ない。この人も学生時代に美少女と散々トラブっちゃってるみたいだしな。


 というか俺に同情するのはいいんだけど、娘の心配をしてあげた方がいいんじゃなかろうか。

 いくら俺が草食系男子の権化とはいっても、間違いが起こる可能性だってゼロじゃないんだしさ。

 もちろん俺から手を出すなんて酷いこと、する気はサラサラ無いが。


「まぁゆっくり頭を冷やす時間も必要だろう。よし、みんなちょうど時間もいいし昼ごはんにしようか!」


 時計を見るとまだ11時を少し過ぎた程度だった。


「昼飯にしてはやや早くないですか?」


「まぁまぁ、行ってみれば分かるよ。ミカもユカも食べたいものがあれば好きに頼んでいいからね」


「わーい! 海の家で食べるといったらやっぱり焼きそばかなー?」


「ミカ……甘いもの食べたい……」


 流石に昼飯はちゃんと食っておいたほうがいいと思うぞミカ。

 泳ぐのって想像以上に体力使うし、知らない間にぶっ倒れちゃっても知らないぞ。

 海の家にありそうなスイーツってソフトクリームかかき氷くらいだろうし、絶対午後に響く気がする。


「って、昼飯いくなら財布取らないと」


「ああいいよそれくらい。お昼代くらい僕が出しておくから」


「え、ありがとうございます。でもいいんですか……運転を任せちゃった上に昼飯まで奢ってもらうなんて」


「なぁに、いつも娘たちがお世話になってるお礼さ」


 そう言って笑顔で答える康介さんはやっぱりカッコいい大人の男性だなと感じた。

 俺もこれくらいスマートに親切な行動を出来るようになりたいもんだ。

 そもそも俺が他人に優しくするような性根があるのかよ、という問題は置いておいて。



 海の家は11時過ぎにして既に盛況で客がいっぱい並んでいた。俺たちが注文出来るようになった頃には、すっかり腹ぺこになっていた。

 なるほど、こういうのを見越して少し早めに飯を買うことにしたのか。

 こういうタイムスケジュールの組み方は社会経験がある大人ならではだよなぁ。遊びの経験豊富な同年代のリア充も出来るかもしれんけど。

 陰キャで外に出ない俺だったら、絶対12時過ぎに昼飯を食おうとしてもっと客が多い時間に並ぶ羽目になっていたに違いない。


 俺って人生の経験値が足りないよなぁ……と双子と遊ぶようになってひしひしと感じるわ。

 いくら陰キャぼっちでもいいやって開き直ってても、いつかは社会に出るんだしこういう経験もどこかで活かされる時がくるのかもな。

 そう思うと、ミカとユカと交流するようになってから俺の中の世界が広がってきたような気もする。依然陰キャのままだけどさ。




「うーん! ここの焼きそばおいし~い♪ 運動した後だからかな、濃いめのソースがすっごくおいしいよー」


「確かになぁ。でもそれ抜きでもかなり上手いぞこれ。実は隠れた名店なんじゃ……」


「麺もちもち……すっごい弾力……ミカ、こんなに食べごたえある焼きそば……初めてかも……」


「そりゃあそうさ。ここの焼きそばはテレビでも取り上げられるくらい有名だからね。確かB級グルメグランプリにも出場してたはずだよ」


「へぇー! だからあんなにお客さんが並んでたんだねー。早めに並んでおいて正解だったね!」


「お父さん、事前にここのこと……調べてたもんね……」


 ははは、と照れくさそうに笑う康介さん。娘たちの付きそいのために下調べまでしてくれるなんて、本当出来た父親だよなぁ。

 俺んちの親もこれくらいしっかりしてくれないかな。無理か、無理だなドルオタとユーチューバーだもん。父さんは普段は普通なんだけど、母さんに会うと途端にアレだしなぁ。


 海の家の焼きそばは予想していたものより遥かに美味しく、楽しい昼食の時間を過ごすことが出来た。

 ここの焼きそば、夏以外でも食えないかな。今度調べてみよう。




 ◆◆◆◆◆




「さあてと、お昼も食べたし午後も遊ぶよー! ミカちゃん、ビーチボールの準備はオッケー?」


「オッケーだよ……はい、ミカの肺活量限界まで使って膨らませた……ビーチボール」


「ビーチボールを膨らませるだけで限界達するのか!?」


「にゅふふ……酸欠一歩手前……がんばった……」


 頑張りは認めるけどそれで頑張った扱いになるのはいかがなもんだろう。

 しかしミカが一生懸命空気を入れたボールだ。これはありがたく使わせてもらうとしよう。


「ほらーパパも一緒にやろー。二対二で勝負ねー!」


「おい、運動音痴に勝負を持ちかけるとか鬼畜か。普通にトスするだけでいいだろ。それか水中でボール鬼とかさ」


「だめだめ! 海と言ったらビーチバレー! これはユカ的には譲れないのです!」


「あぅ……ミカ、バレーはちょっと……」


 そうだよなミカ。バレーなんて体育の授業でしかやったことないけど、俺たち運動音痴組はレシーブもまともに受けれないもんな。

 サーブなんて下からしか打てないし、調子乗って上から打ったら成功してもチームメイトから舌打ちされるレベルだもの。


 しかしユカはミカに寄りかかって励ましの言葉をかける。


「大丈夫だよミカちゃん! ボールは柔らかいからスピード出ないし当たっても痛くないから平気! それにミカちゃんのことはユカが全力で守ってあげるからー!」


「おいこら何しれっとチーム分け決めてるんですか。そういうのずるいぞ、ユカがいる方が絶対有利じゃん!」


「ずるじゃないもーん! これは姉妹特権でーす!」


「ははは、それなら仕方ないね」


「康介さんも笑ってないでなんか言ってやってくださいよ。このままじゃワンサイドゲームですよ? 主に俺のせいで」


「亮君、これは遊びだよ。遊びで大事なのは勝ち負けじゃなくて、いかに楽しむかってことさ。君はミカたちとビーチバレーをして楽しみたいとは思わないのかい?」


「それは……」


 楽しそうに決まってるじゃないか。だって学校一の美少女姉妹とビーチバレー対決が出来るんだ。

 例えボロ負けしたって、一緒に遊べただけで十分過ぎるくらい贅沢と言える。

 康介さんの言葉を受けて、俺の中の考え方が少しだけ変わった。

 今はこの時間をただ純粋に楽しむことにしようじゃないか。


「よーし、来るなら来い! いつもはユカに負けてばっかりだけど、今回は簡単にはやられないぞ!」


「おーやる気になったねー! やっぱりリョウ君はそういう顔してたほうが楽しそうでいいよ♪」


「りょう君……ミカ、負けない……! 運動でりょう君に勝ったら……ミカがナンバーワン……!」


「その理論はよく分からんけどミカにもゲームで負け越してるからな。絶対勝つ!」



 こうしてビーチバレー対決が幕を開けた。


 ちなみに俺達全員ビーチバレーのルールとか一切知らないから通常のバレーと同じルールでやることになった。

 ネットとかも無いし、木の棒で引いた線で作った簡素なコートでやる遊びのバレーだ。

 10点先取でやることになったけど、実際のバレーは21点マッチのはずだ……だがこの際細かいルールとかどうでもいいだろう。これは遊びなんだから。

 負ける気は一切無いけどね!


「じゃあユカのサーブからいくよー! えいっ!」


「いきなりジャンピングサーブ!? 砂の上でよく出来るな!」


「ほら亮君、君のところにボールが来てるよ」


 ユカの身体能力の高さに驚かされたけど、康介さんの言葉で我に返る。

 ボールは思ったよりも早い速度で俺めがけて飛んできた。俺は思わず両手を顔の前に出してボールを弾く。

 一応トスのような形で康介さんにボールを繋げることが出来たけど、やってることが完全にビビりのやることなので少し恥ずかしい……。


「ほら、トス!」


「あ、そっか。二人だから俺がスパイクしなきゃいけないんだ!」


「さぁ来いリョウ君! どんな球でも返球しちゃうよー!」


 ユカは余裕の表情で構えていた。どんな球を打っても絶対拾われるな、こりゃ。

 そうなったら狙うはミカしかいない。すまんミカ、これも勝負なんだ許せ。


 そう思い、スパイクを決めようとジャンプしてボールを叩こうとした瞬間――


「ぶっ!」


 ユカとミカ、二人が中腰で構えているせいか二人の胸元がよく見える。

 それに意識を取られて顔面でボールを受けてしまった。


「ちょ、大丈夫リョウ君!?」


「だ、大丈夫大丈夫……た、谷間が……」


「タニマガ……?」


「いや、日差しが目に入ってちょっとミスっちゃっただけだ……! 次はちゃんと決めるから……」


 くそ、まさかこんなトラップが待ち構えていようとは。

 もしかして二人とも計算ずくで……? いやそんなわけないか。

 しかしそうなると次からは視線に気をつけないとな。女子って胸への視線に敏感って言うし、セクハラで訴えられたら反論できん。


「あーびっくりした。じゃあ気を取り直してまたユカのサーブだよ!」


「次は油断しないからな、来い!」


「えーい!」


 ユカはまたもや華麗なジャンピングサーブを決めてきた。しかもまた俺のところを狙いに来やがった!

 さっきは思わず両手でガードするような真似をしてしまったけど、今回は下手なりにレシーブで球を拾うのに成功した。

 康介さんのトスも決まり、またしてもスパイクチャンスがやって来た。


「……っ」


 出来るだけ目線を二人に合わせないようにしながらスパイクを打つ。

 すると偶然にも二人の合間を抜けるようにボールが飛んでいき、点を取ることが出来た。


「おお、やるね亮君。ナイススパイク!」


「ど、どうも」


「わぁ~! 完全に意表をつかれたー! 中々やるね!」


「油断大敵……りょう君……案外バレー得意……? ミカのこと騙してた……?」


「いや別にお遊びのビーチバレーくらいなら出来るわ! 本物のバレーは苦手だけどさ!」


 まぐれとは言え一点取れたのは事実、これでお互い同点だ。

 今度はこちらのサーブの番だ。俺はサーブに自信がないので康介さんにやってもらおう。


「じゃあいくよ、はいっ」


 康介さんは下から打つ綺麗なサーブを出し、ミカがあたふたしながらレシーブを返した。

 たぶんミカが拾いやすいようにわざと優しくサーブを打ってあげたんだな。ガチで打ちに行ったらミカじゃ拾えそうにないし。

 遊びでやるなら全員に楽しんでもらいたいという、康介さんなりの思いやりなんだろう。さすが二人の父親なだけはある。


 でもそのせいで相手のスパイクが来るんですけどね!


「ミカちゃん、トスだよっ」


「あぅ……ど、どうしよう……!」


「亮君、ブロックだ!」


「了解です!」


 俺は真ん中の線まで出てミカの前で構えを取った。

 今回はネットなしのバレーなので、通常のバレーよりブロックが難しそうだからしっかりとミカをマークしないとな。


「うぅぅ……えいっ」


 迷いに迷った中ミカはスパイクを打つ決心がついたようで、ジャンプしようとしていた。

 俺もブロックのために同じく膝を曲げて、ジャンプの準備をする。


「とぉ……!」


「うおー!」


 ミカが跳び、ボールを叩こうとする。俺も同時に跳んで両手を上に伸ばす。


 だがまたしても事件は起きてしまった。恐らくこの事に気付いたのは俺だけだろう。

 ミカを間近でマークしていた俺だけが気付いてしまった、衝撃的な光景。


「マジかよ……」


 それは――揺れていた。

 ジャンプした衝撃が原因で、バルンと音がしそうなくらい揺れた。

 ミカの水着はフリルが付いて胸元の露出は控えめなはずなのだが、布越しでも分かるほどに揺れたのだ。

 うん、もうびっくりだよね。現実でも胸ってこんなに揺れるんだって驚いたわ。


「っ……!」


 それを見た俺はボールなどもはや視界に映らず、ミカの胸元に視線が釘付けになってしまった。

 だがセクハラで訴えられるのだけは回避したい俺は咄嗟に首を反らして、ミカから目を離す。


 そのせいでミカのふんわり山なりのスパイクをブロックできず、見事に点を取り返されてしまった。


「やったー! さすがミカちゃん、ナイススパイクだよー!」


「にゅふふ……ミカの全力……出し切った……。いまので肩痛くなっちゃった……」


「早い! 早いよミカちゃん!? まだボールに2回しか触ってないよ!?」



「残念だったね亮君。まさかミカがフェイントを使ってくるなんて。いや、全力で打ってあれだったのかな?」


「そ、そうですね。すみません」


 本当すみません康介さん、色んな意味で……。


 その後、集中力を乱された俺は全然活躍できず、結局ミカとユカの圧勝となってしまった。


「やったー! ユカたちの勝ちー! ミカちゃんとのコンビネーションは世界一ぃー!」


「くにへかえるんだな……りょう君にも家族がいるだろう……」


「ミカ、そのネタ俺だから通じるけど普段遣いはやめたほうがいいぞ」


 こうして白熱のバレーボール対決は俺の惨敗という結果で終わってしまった。




 これは全く関係ない話なのだが、午前中二人に密着した件と先ほどのミカの件、二つの事例を参照にした結果ユカよりミカの方が大きいと判明しました。

 うん、何やってんだろう俺。そんな情報いらんわ。


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