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第3話 双子の妹がナンパされてるから助けた

 昨日はとんでもないことがあったな。

 まさか俺があんな可愛い女子と友達になれるなんて。それも双子だ。


 でも友達っていったって、同じクラスじゃないから休み時間に会うくらいしかないよなぁ。

 それだって次の授業の準備とかで他のクラスにいく時間もないし。

 会うとしたら昼休みか。はは、昼休み限定の友達、おもしろ。


 でもまあ陰キャでかろうじてボッチを免れてるような俺に出来た貴重な友達、大事に付き合っていかなきゃな。

 特に妹のユカは男子にモテモテだから、面倒事に巻き込まれそうで……。


「あ、朝倉さんだ……ん? 隣にいるのって金髪……」


 ってええええ!? ユカと金髪が一緒に登校してる!?

 昨日は告白断ってたけど、やっぱり付き合ったのか? あの流れで? 一体どうなってるんだ、リア充の習わしは。



「いやー昨日はびっくりしたわ~。あのまま朝倉さん図書室から出てこなかったんだもん、連絡先聞きそびれちゃったよ~」


 男子なら是が非でも手に入れておきたいよなあ、女子の連絡先って。ちなみに俺のLIMEのメンバーは中学の友達と家族だけ。とても寂しい。


「あ、LIMEとかやってる? それかほかのSNSとか。連絡とり合えたら何でも良いんだけど、とりま電話番号だけでも教えてくれる?」


「あーユカぁ、ファミ割だから親とお姉ちゃん以外と電話とかすると料金高くなるんだよねー。あとぉ、ギガ制限もあるから外であんまりスマホ見ないし」


「あれお姉さんいんの? そっちもかわいい? てかLIMEやってる?」


「ミカちゃんもあまり電話使ってないから、難しいんじゃないかなー」


「へぇ~友達と連絡取り合うの大変そうだねぇ」


「そうだねー」


 凄いな金髪、ユカから一切相手されていないのにめげないその度胸、ある意味尊敬する。

 俺だったら最初に断られた時点で心折れてるな。


「いやーでも朝倉さんのお姉さんってことは綺麗なんだろなぁ。ねえ今度会わせてよ」


「ミカちゃん人見知りだから、あんまり会わせたくないなー」


「大丈夫だって~! みんなと遊んでみれば楽しくなるって! 誘ってみてよ、どっか遊び行こうぜ!」


「うーん、本人には言っておくね」


 おおう、流石に姉妹そろってのお誘いは断れなかったか。仕方ないよな、あれだけ誘われて全部断ったら印象悪いししょうがないか。

 男子からのお誘いを受けたミカの反応、一体どんなことになるんだろうか。



 金髪との会話を終わらせたユカはスマホを確認するために立ち止まった。

 俺はそれを横目に見ながら、ユカの隣を通り過ぎていく……。


「ちょっと……」


 首元に透き通った声がかけられる。振り向くと、俺の真後ろにユカがやって来ていた。

 どうやら立ち止まったのはスマホを見るためではなく、俺と合流するためだったようだ。

 後ろにいた俺に気付いていたのか、視野が広いな。野生動物並かよ。


「お、おはよう」


「うん、おはよー」


「朝から大変そうだな、モテる女子は」


「そうだよー変わってみる? 大変なんだから、毎日毎日」


「そりゃみんな押し寄せるよな、同じ学校にこんだけ美人な子がいるならさ」


「もー! 人ごとみたいにー!」


「だって他人事だし……。まあ俺に手伝えることがあれば手伝うけどさ」


「あ、いったなー! じゃあさっそく手伝ってもらおうかな♪」



 ユカと話ながら学校に着くと、そこには金髪が待ち構えていた。

 どうやらユカとまだ話があるみたいだな。そんなに連絡先が欲しいのか。


 女子とお近づきになるためにそこまで全力尽くさなくても良いだろうに。

 金髪だって十分モテてるだろうし、それで満足しないのか? リア充ってのは価値観のわからん連中だな。


 とりあえずユカに言われたとおり、作戦を実行するか。

 俺は金髪の注意を引き、教室まで誘導するのが仕事だ。要はユカに近づけさせない囮役だな。


 とは言っても、俺と金髪に接点なんてない。

 どうやって誘導するか、方法は適当に考えろって言われてもなぁ。


 とりあえず、数学の宿題が回収されるから急ぐぞと煽るか。

 あとはホームルームに間に合わなかったら担任めっちゃ怒るらしいって言うとか。


 そんなあやふやな話題をでっちあげて俺は金髪に話しかける。



「や、やあ。何してるの?」


「あ? お前確か……えーっと、あっそうだ! 同じクラスの進藤だっけ」


 もう一ヶ月も経つのに未だに名前うろ覚えか……。いや俺も金髪の名前うろ覚えだけどさ。


「で、なんでこんなところにいるんだ?」


「ちょい人待ち」


「へぇ……友達? あっそれとも彼女?」


「なんだよ、やけに詮索してくるじゃん。まあ別に隠すわけじゃないけど、彼女にしたい人かな」


 へぇここら辺は素直に答えるんだ。意外。


「へへへ……朝倉さん待ってんだよ」


 めっちゃニヤニヤしながら言うんじゃない。何か悪巧みしてる見たいに見えるぞ。


「朝倉さん、結構脈ありそうなんだよな~。あっちも俺のこと好きかもって言ってたし、もう少し押せば付き合えそうだぜ~!」


 おいしれっと嘘をつくな。ユカは悪い人じゃなさそうって言っただけで、好きとか言ってないぞ。

 あと謎の自信があるようだけど、ユカは付き合う気ないっぽいからな。


「しかも聞いて驚け。朝倉さんってお姉さんいるらしいぜ。もし朝倉さんに告ってダメだったら、今度はお姉さんに告白するぜ~。どうこの作戦、天才じゃね?」


 おいおいおい、こいつ何言ってんだ。ユカがダメならミカ狙いか。なんかセコいな金髪。

 これはミカとユカの友達として、金髪が二人に近付くのを阻止しなきゃな。


「あー! そういえば今日数学の宿題提出しなきゃいけないんじゃなかったっけ? いそいで提出しに行こう!」


「ホームルーム前に出しとけば大丈夫っしょ」


 くっ……! これだと教室に連れて行くのには弱いか……!

 なら次の作戦だ……!


「そろそろチャイム鳴りそうじゃないか? うちの担任、遅刻したらすごい怒るらしいぞ」


「え? この前遅刻したけど、そこまで怒られなかったわ。大丈夫じゃね?」


 遅刻したのかよ! くそ、これでもダメか。

 なんとかこいつをこの場から遠ざけて、ユカに会わせないようにしなきゃ。


 待てよ、こいつはユカが目当てなんだよな。ということは、ここから動かす理由もユカならいいんじゃないか?


「朝倉さんっていえば、同じクラスの丸井が朝倉さんの載ってる雑誌持ってきてるとか言ってたような~……」


 丸井というのはやたら女子に詳しい情報通ぶった陰キャ仲間だ。

 実際に朝倉さんの載ってる雑誌を持ってきているかは知らない。というか、多分持ってきてないよな。

 そんな偶然あるわけないし。


 でもこんなでまかせでも言わないと、金髪はここから離れそうにないし、仕方ない。


 さて、どう出る金髪……!


「うお~! それマジ!? 朝倉さん読モやってるって聞いてたけど、どの雑誌に出てるか知らなかったんだよな~! おい進藤、そいつんところに行くぞ!」


 食いついた!? やべ、これで丸井が雑誌持ってきてないってバレたらどうなるんだろう。


 ま、まあこれでユカは安心して自分の教室にいけるだろう。

 後は任せたぞ、ユカ……。


「進藤君、ありがとう!」


 後ろを向くと、ユカが口パクでそう言っていた。

 まあ、あの笑顔を見たら文句言えないな。本当、美人ってずるいわ。



 ちなみに、丸井は偶然にもユカの載ってる雑誌を知っていた。

 学校に持ってきてはいないものの、朝倉さんの情報をゲットした金髪は満足そうにしていた。

 俺の首の皮もかろうじて繋がったので、丸井グッジョブ!


 関係ないけど、今日は帰りに本屋に寄るか。


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