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躑躅高校の生徒たち  作者: アンソニー 計画
菫たちの花開く変化
7/23

side イブキ

きっかけはその一言だった。


「でもアイツ、下着の趣味めちゃくちゃ悪いよ」


楡 無花果がそう言った時、僕は動くことが出来なかった。


*


「青桐せんせー、顔色真っ白だべ? ヤバくね? 」


梅木さんが心配そうに僕の顔を覗き込んでくる。

今、自分の様子がおかしい自覚はある。だが取り繕うことも出来なかった。


楡と赤松さんが付き合っている。

その疑念はずっと前からあった。だが最近は特にそう思わせてくる。

今日は2人で登校していたし、駅ビルに2人でいる目撃情報もあった。

赤松さんはそんな悪趣味な人じゃないと思っていただけにショックが大きい。


「せんせー? 保健室行く? 」


「あ、いや! 大丈夫! ごめん。ホント、大丈夫だから」


梅木さんの声で我に帰り、彼女の1週間の体重変化を見た。

良い感じに落ちている。この調子なら目標達成も目前だね、と伝えたが梅木さんは心配そうな顔をするだけだった。

自分がこの調子じゃ、相談者達は不安になるだろう。いけない。調子を取り戻さなくては。

そもそも赤松さんにはとっくに振られている身だ。彼女が誰と付き合おうと関係ない。彼女が骨格診断的にもパーソナルカラー的にもバッチリなイメチェンを果たしたとしても関係ない。

ウェーブタイプ でパーソナルカラーがオータムな彼女は燻んだオレンジ色のボートネックのシャツがよく似合う。大変可愛らしい。

でも僕には関係ない。


……いや、関係はある。

僕は接骨木さんの顔を思い出した。楡のことが好きだという悪趣味な友人がいたではないか。

だが彼女にこのことを伝えるべきなのだろうか。

本人は楡からこき下ろされて振られるまでは諦めないと言っていたが……。


「青桐くん」


顔を上げると、接骨木さんが深刻そうな顔で僕を見ていた。

今彼女と会うのは辛いものがある。

この2週間で彼女は劇的に変わった。痩せて体が引き締まったし、服装や髪型も自分に似合うものになり、メイクも少しだけするようになった。

少しだけだが石原さとみに似てきたのだ。

それもこれも楡のために……。

楡以外の、奴より遥かに良い男が告白していないかそれとなく聞いてみたが、首を振るばかりだ。

ただ、クラスメイト達が最近怪我をしているとは聞いた。

……楡がやったんだろうか……。だとしたら奴はどういうつもりなんだ?


と、つらつらと考えていたせいで逃げるのが遅れた。

接骨木さんはしっかり僕と目を合わせて「話がある」と言って屋上まで連れてかれる。


「ど、どうしたのかな」


「……あのね……その、このことは本当は隠したほうがいいかなって思ったんだけど。

でも一応……。

楡くんと赤松さん、最近お弁当の中身同じなんだ」


接骨木さんがレモンイエローの細身パンツをギュッと握った。サマータイプの彼女にぴったり似合っている。


「……やっぱり付き合ってるのかな。赤松さん、付き合ってないって言ってたのに」


隠しているつもりだったのだろう……。

しかし、何故接骨木さんが僕にこの話をしたのか。それはきっと、悩んでいるからではなく僕のことを気遣ってくれたのだ。

知るなら早めに知ったほうがいいと。

……僕とは大違いだ。接骨木さんは優しい。


「……接骨木さん。ごめん。

実はあの2人が付き合ってるんじゃないかとずっと思ってたんだ」


「……え? 」


「偶に一緒に帰ってるし、バイト先も同じだし、それに」


僕はこの先を続けていいか悩んだ。

だが接骨木さんの薄紅色の石原さとみのような唇を見て、言うべきだと思った。

彼女にしっかり伝えるべきだったのだ。彼女がここまで努力をする前に。


「楡は、赤松さんの下着の色を把握してたんだ」


「どういう……意味……? 」


「僕が赤松さんに告白するよりも前に、友達と赤松さんが可愛いって話になった時に楡が言ってたんだ。アイツ、下着の趣味悪いよって。

赤色とかヒョウ柄とか鶏柄とかドギツイ紫とかばっかりだって……なんでそんなこと知ってるんだろうって思ったんだ。でも、僕は勇気が出なくてなんでか問いただすことが出来なかった。もしかしたら楡なりの冗談なのかなって思ったし……」


「鶏柄……そういえば私も体育の着替えの時思ったんだよね……。どこでこんな変な下着買うんだろうって」


それじゃあ、楡の言ったことは本当なのか……。


「……ん、待って。青桐くんが赤松さんに告白するよりも前ってことは一年前だよね? 」


「なんで長いこと黙ってたんだ、って思うよね。ごめん。

ただ俺のこと揶揄うつもりで言ったのかとも、付き合ってるわけじゃなくて楡が盗撮でもしてるのかとも思ったんだよね。それか楡が下着泥棒をしていたか……」


「……もしかして、だから楡くんのこと嫌いなので? 」


「うん、まあ」


仲良くない人の会話に割って入っていきなりそんなこと言う奴好きになれない。

それ以外にも暴力を振るう姿を何度も見ている。


「……接骨木さん、諦めたほうがいいんじゃないかな……。楡以外にも男はいるよ。というか楡だけはやめたほうがいい」


接骨木さんは俯く。


「赤松さんから奪ってやる! とは、もう言えないね……2人は大人の階段登ったってことだもんね……」


僕たちは屋上の硬い地面に膝をついた。

悔しい。なんで楡なんかが良いんだ。

あんな、顔と腕力以外何も無い奴のどこが。


だが接骨木さんの悲しみは僕以上だろう。

楡のためにここまでやってきたのに。


「……ごめん。僕が、早く言っていれば」


「ううん。いきなり下着の話されて真に受けるほうが難しいから……。

でも私、楡くんに振り向いて欲しかったなあ……」


接骨木さんは泣いていた。

僕が泣かせてしまった。

*


接骨木さんにできることはなんだろう。

僕は教室の窓を眺めながら考える。

楡の首を銀のお盆に乗せて渡そうか。

……いやいやいや。そんなもの喜ぶ人はいない。落ち着け。


ふ、と窓の外を見ると赤松さんが友達と笑い合いながら自販機でお茶を買っていた。

教室から中庭は割合近いので彼女がお〜いお茶を選ぶところまで見えた。これじゃストーカーだよな、と顔を背ける。

可愛くなった……いや、元々可愛かったのだが自分に似合うものを身に付けるだけで天使のように可愛くなるだなんて。


「ああいう格好どう思う」


「可愛い……って、は!? 楡!? 貴様何故ここに!? 」


クラス違うだろ! と叫んだが楡はどうでも良さそうな顔で僕の前の席に座った。

席の主の翌檜くんが絶望した顔で楡を見ている。


「可愛い……ふーん。タイプか? 」


「は? 」


「ああいう格好の方がお前の好みかって聞いてんだよ」


なんでそんなことを……。

だが僕は頷いた。大変可愛らしいのだ。好みじゃないわけない。


「石原さとみよりも? 」


何故ここで石原さとみの名前が?

最近彼女について調べすぎて幻覚を見るレベルなのに。

それもこれもコイツが石原さとみのことが好きだからだ。楡め。


「石原さとみよりも。

というかなんで石原さとみが出てくるんだ。僕は別に……可愛いと思うけど今はもうちょっと……。楡、貴様は石原さとみが好きなんだよな? 」


「ん……? いや……? 里見浩太朗より可愛いとは思うけど……」


奴は珍しく戸惑った顔をしていた。

僕も戸惑う。


「でも青桐お前、石原さとみの切り抜き持ってたよな」


「あれはちょっと相談されて。僕が好きで集めてたわけじゃないよ」


「……んー……あー……。無駄なことをしたか……」


楡は溜息と共に赤松さんを見た。


「待って、楡は石原さとみが好きなんだよね? 」


「いや違う」


なんということだ……。じゃあ接骨木さんの決意は全て無駄ということ……?


「ちなみになんだけど、どういう子がタイプ……? 」


「お前には関係ないだろ……」


全くその通りだ。だが接骨木さんが安らかに眠れるようにここは引き下がるわけにはいかない。そう思って楡を見たが奴は窓の向こうの赤松さんに何かジェスチャーしていた。

彼女がこちらを見る。


ああ、綺麗だなあ。

彼女は楡と目があって照れているのか顔を赤くしていた。

なんだかんだ好きな人と恋人になれて嬉しいのだろう。はにかんで僕の方に手を振っていた。

僕はおざなりに手を振り返してまた顔を背けた。

やっぱり僕はまだ彼女に未練があるのだ。


「青桐、お前さ……」


「あれ? 二人でいんのって珍しくね!? 何話してんの!? 」


この声はクラスのお調子者、若葉だ。

彼はニヤニヤと笑いながら肩を組んできた。

それから窓の外にいた赤松さんを見て「赤松さんじゃん! かわいー! 」と耳元で騒ぎ立ててきた。

そんなのこちとら一年以上前から知ってるっての!


「赤松さん貧乳じゃなけりゃあなあ! 」


「よくそんなこと恥ずかしげもなく言えるな! 」


俺は若葉の腕を振りほどく。

こういう話は嫌いだ。

色んな人とアドバイスをするようになってから、女のひとが結構な確率で胸のサイズについて悩まされていることを知ってからはより嫌になった。


「あー、ごめんごめん。貧乳好きだった? 」


「そういうことじゃなくて……」


「楡って巨乳派? 貧乳派? 」


俺の苛立ちに気付かぬまま若葉は楡の横に立った。

楡は若葉を無視して携帯を弄り始める。


「なんだよ、冷たい奴。

んで? 楡って他クラスじゃん。わざわざこっち来てまで何してたの」


「別に。世間話」


「青桐まで冷たくすることなくね!?

ハア、俺の癒しは赤松さんだけだよ……」


窓の向こうの赤松さんは既にこちらに背を向けていた。

彼女の首元にあるネックレスが太陽を反射してキラリと光る。

運動一筋で、邪魔になるからとアクセサリー類に興味は無かったのにな……。楡から貰ったものだったりするんだろうか。


「赤松さんの下の名前知ってる? 」


「え? うん。凌霄花さんだよね」


「ノウゼンカズラってすげぇ名前だよな。キラキラネームっていうの?

長いし漢字だしちょっとイタイっていうか、初めて聞いた時俺笑っちゃ—」


若葉は最後まで言い終えることなく床に倒れこんだ。

横にいた楡の鋭いパンチが顔に飛んで来たのだ。


「って、何しやがんだよ! 」


若葉は楡を睨め上げた。楡はあの冷ややかな微笑みを浮かべながら彼を見下ろした。


「お前うるせえんだよ。横でゴチャゴチャゴチャゴチャ。少しは静かにしろ」


「はあ!? だからって殴ることないだろうが! 」


楡の足が若葉の腹を踏んだ。若葉の唇から苦しげな呻き声が聞こえてくる。


「楡! やめろ! 」


「なんで? 」


楡は整った顔をこちらに向けた。

微笑んだまま、若葉への暴力を強める。


「なんでって、何かあるなら口で言えば良い」


「こういうのにさ、口でなんか言ったってわかんねえだろ。体に叩き込まねえと」


その恐ろしい暴君は若葉の襟首を掴んで起こすと、静かにこう言った。


「二度と赤松の話をするな」


それだけ言うとパッと手を離す。

若葉は体をよろめかせ、床に一度倒れたがまた起き上がり逃げるように教室から出て行った。

一部始終を見ていたクラスメイトたちは蒼い顔で、なんとかしろと僕に訴えかける。

見られても何も出来ないというのに。


「若葉の何が気に食わなかったんだ。あんな一方的に暴力を振るって、最低だ」


「俺はアイツに同情してんだよ。もうこれ以上傷付かなくていいと思ってる」


「は?

……赤松さんのこと? 」


楡は頷いた。


「……今度アイツの名前の由来を教えて貰えばいい」


「楡は知ってるのか」


「なんとなく」


なんで知ってるんだろう。そんなこと。

僕は今までの疑問が思わず口を突いて出た。


「楡は赤松さんと付き合ってるの? 」


その瞬間、彼はまるで幽霊に出くわしたかのような、真っ白な顔になって僕を見た。

小さく「エリエリレマサバクタニ」と呟いている。


「そんな……そんなわけないだろ。最低だ。よくそんな恐ろしいこと思いつくな。脳味噌に何が詰まってんだ? お前みたいなのが悪趣味な拷問を考えるんだろうよ」


「違ったなら……謝るよ……」


「おう。今すぐ土下座して謝れ。地面にデコ擦り付けて謝った後で便器でも舐めてもらおうか」


顔色が真っ白で怖い。

そこまで怒ることなのか?


「赤松さんのことそんなに嫌いなの……」


「好きとか嫌いとかそういう存在じゃない。あり得ないんだよ。

来い。便器に顔突っ込ませてやる」


どういうことなんだ。2人は付き合ってないのか?

なら一緒に帰ったりお弁当の中身が一緒だったり下着の色を把握しているのは何故?


そんなことを考えている僕の腕を奴が恐ろしい形相で掴んで引っ張った。

クラスメイトたちは体を震わせて身を寄せ合っている。僕を助けるつもりはなさそうだ。


だが、なんの運命のいたずらか。

教室のドアから接骨木さんがこちらを戸惑ったように覗いていた。

楡の顔は般若の形相から一変し、仏の笑みを浮かべる。


「接骨木さん」


「に、楡くん……」


接骨木さんは赤松さんと付き合っている楡の顔を見れないのだろう。落ち着かない様子で辺りを見渡した。


「えっと、なんでここに? もう授業始まるよ? 」


「青桐と楽しく談笑してたんだ」


人1人殴り踏み付けることがコイツにとっては楽しい、ということだろう。


「そっか……」


「接骨木さんどうかしたの? もしかして僕に用事だった? 」


僕は楡と接骨木さんの間に割って入る。


「うん。LINEしても既読が付かないから、梅ちゃんと心配してたんだ。いつも早いし」


もしかして赤松さんが楡と付き合っていると知ったから、僕がおかしくなったと思ったのだろうか。

単に楡のせいで見れなかっただけなのだが……梅木さんは今朝も僕の様子を気にかけてくれていた。

これは悪いことをしてしまった。僕は携帯を取り出す。15件も来ている。

こんなに溜めたのは初めてだ。


「ごめん、ちょっと忙しくて」


「ううん。何もないなら良かった」


接骨木さんはホッとしたように笑う。

その時、腕に信じられないくらいの負荷がかかった。

楡だ。楡が僕の腕を接骨木さんに気付かれないように静かに捻り上げている。あまりのことに悲鳴をあげることすら出来ない。


「接骨木さんは、青桐と仲が良いんだな」


「うん。頼りになるから……。あ、もしかして楡くんもアドバイス貰ってたの? 」


「アドバイスって何」


楡の声に抑揚はない。


「ファッションとかの……あれ? 青桐くんがアドバイザーなのって有名な話じゃないのかな……」


「ふーん。接骨木さんは青桐に、ファッションのアドバイスしてもらってたんだ」


「実は……」


接骨木さんは居心地悪そうにぎこちなく笑う。

その間も楡は僕の腕を捻り上げたままだ。

なんでこんな目にあわなきゃいけないんだ!


「最近雰囲気変わったよな。青桐の趣味か」


いや、それは貴様の趣味だ。貴様が石原さとみを好きだと言うから接骨木さんは頑張って雰囲気を変えたんだ。

そう僕から言うわけにはいかない。接骨木さんも言えないだろう。軽く首を振るだけで答えなかった。


「僕、接骨木さんと話あるから……! 」


腕を動かそうとするがビクともしない。

どうなってるんだコイツの筋肉は。


「話って何」


「貴様には関係ない! 離せよ! 」


「聞こえねえなあ」


「あの、楡くん。ごめんね。私も青桐くんと話があるの」


接骨木さんは僕の二の腕を掴んで少し引いた。

休み時間が終わってしまうから慌てているのだろう。


最早楡は何も言うまい……と思い振り返ると、氷のごとく凍てついた目で僕を睨んでいた。

コイツ怒りの表情だけで100種類くらいないか?


「……話があるなら仕方ないか。接骨木さん、また後で」


鬼は僕の腕をやっと離すと、接骨木さんに手を振ってどっかに行った。

教室の方向じゃない。どこへ行ったんだろうか。


しかし今の反応……。まるで楡は僕に嫉妬しているようだった。

というか、奴は接骨木さんに対してやたら優しい。

僕はてっきり接骨木さんが優しいからクラスメイトとして甘えているのだと思ったけれど、そうじゃないとしたら……そしたら赤松さんとの関係は一体?


僕は廊下に出て、赤松さんと付き合っていないという楡の言葉を接骨木さんに伝えた。

彼女は不思議そうに首を傾げる。


「赤松さんも前に否定してたんだよね。

隠れて付き合ってるからかなって思ったけど」


「それなら一緒に帰ったりするかなあ」


あの2人はよく分からない。

仲が良いのか悪いのか。

ただ楡の方は赤松さんに対して同情していると言っていた。あの悪魔のような男が同情という言葉を知っていたことにまず驚くが……。

どういうことなんだろう。


「……あと、接骨木さんに話さないといけないことがあるんだ」


「な、なに? 」


「……楡、別に石原さとみ好きじゃないって……」


僕のこの言葉に彼女はうつろな表情になってしまった。

……僕のせいで接骨木さんがどんどん傷ついてしまう。


「そっ……か……」


「……ごめん。僕のせいだ。僕、接骨木さんのこと傷付けてばかりいるよね。本当に……ごめん」


「え? 傷? 」


「だって、赤松さんと付き合ってるらしいことも今更言ったり、石原さとみのこと好きじゃないってことも……!

僕は、接骨木さんに無駄な努力をさせてしまったんだ……! 」


僕の慟哭に彼女はゆるゆると首を振った。


「違うよ。私は今のこの姿を無駄だなんて思わない。

私、今まで自分のこと嫌いだった。太ってて、ブスで、足も遅くて、なんも出来なかった。

でも今は違う。4kgも痩せて服とか髪型も自分に似合うのになったし、肌も綺麗になってメイクも覚えたの。足だってテニス部に入ってから少しは早くなった。

青桐くんのお陰。私は青桐くんのお陰で自分のことが好きになれたよ」


「接骨木さん……」


「ありがとう、青桐くん。

確かに私は楡くんに振り向いてもらえないけど、それでも良いんだ」


接骨木さんは爽やかに笑う。

僕は涙を堪えるのに必死だった。

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