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6

あれから数日が経った。


今はもう深雪の姿はなく、暫く続いていた騒動も治まり、平和な時が戻りつつある。


秘書課には1ヶ月半前と変わりない日常が訪れ、華江を除いた3人の秘書達は、それぞれ請け負った仕事に精を出していた。


そこへドアが叩かれ、新道幸一が顔を出した。


「社長って、いるか?」


近くにいた瑞穂は、顔を上げ、にこやかに返す。


「多分部屋にいますよ。今は、直接行っても問題ないんじゃないかな」


深雪の旦那は新道幸一だ。


そうわかった今でも、瑞穂達の態度はあまり変わらない。


そしてもちろん、新道の振る舞いも。


「バカだな。いきなり社長室に飛び込んで、不機嫌だったら最悪だろ。だからまず、下調べに来てんだよ」


瑞穂は苦笑いを浮かべながらも、社長の機嫌は普通ですよ、と伝えた。


「わかった。サンキュー」


そう言い、新道は左手でドアを閉める。


深雪が辞めて以来、その薬指には指輪がはめられている。


隣の社長室のドアがノックされる音が聞こえた。


「新道さんって社長と友達なんだってさ。噂では学生時代かららしいよ」


「へぇ。優秀なのねぇ」


呟き、さゆりはどこか遠い目をしている。


他愛もない談笑をしていると、秘書室側のドアが開き、社長が入って来た。


「今から少し出る。サボるなよ」


「さ、サボりませんよ」


自信たっぷりな笑みに、瑞穂達も引き吊った笑みで返す。


あの日以来、社長も少し秘書達に冗談を言ったりするようになってきた。


上司は上司──しかも相手は社長だからと割りきってきたが、やはりそれが嬉しくもある。


「そうだ。これを読んでみろ。凄く勉強になる事が書いてあるぞ」


バサリとデスクに置き、足早に去っていく。


それは業界では有名なビジネス雑誌だった。


優は手を伸ばして受け取り、付箋のついたページを開く。


そこには近藤社長の写真が載っており、何やらインタビューを受けた様だ。


「あはは、わざわざ付箋までしてるよ。よっぽど嬉しかったんだろうね」


内容はよくわからないが、若手社長として絶賛されているらしかった。


「わざわざ私達に見せるなんて、可愛い所ありますよね」


「でもこうやって写真で見ると、なかなか男前じゃない?今なら、華江さんの気持ちわかるわ」


ピシッとしたスーツに身を包み、微笑む近藤社長の【写真】を見て、さゆりはうっとりしながら呟く。


「確かに写真は話さないからね」


「そうそう。見てるだけなら良いですよね」


近々、深雪の穴を埋めるべく、秘書の中途採用を募集する予定だ。


恐らくこれを見た若い女達が、たくさん応募してくるだろう。


すっかりいつもペースに戻り、盛り上がっていると、ドアが控えめにノックされた。

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