表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/89

2

「深雪ちゃん、大丈夫だったかな……」


いつもより早めに出社してきた4人は、悲し気な表情で、空いている深雪の席に視線をやる。


あれから何度かメールをしようと思ったのだが、タイミングを逃してしまったのだ。


そして結局、何も連絡がとれないまま出社時間を迎えてしまった。


瑞穂はロビーに足を踏み入れた瞬間、裏口から入らなかった事を僅かに後悔した。


人質にされた社員、というよりは『深雪に助けられた社員』または『深雪の友人』として注目の的になってしまい、ここまで辿り着くのに相当苦労してしまった。


彼女が人助けをしたというのはわかっていたが、そのやり方が奇抜過ぎた。


更には彼女のキャラクターとのギャップも手伝い、良くも悪くも社内は深雪の話で持ちきりだった。


「それにしても彼女、凄かったわね。なんて言うか、カタギじゃない雰囲気って言うの?」


同じく『同僚』として巻き込まれたさゆりは、崩れた髪型を直しながら笑う。


しかしそれは侮蔑の意味を含んだものではない。


「確かにあれはびっくりしたけどさ。カタギだろうがなんだろうが、この際別にいいんじゃないか?あの子は瑞穂を守るために、身代わりになったんだよ。そんな事、そう簡単にできるもんじゃない」


しかも銃を持った相手に。


そう言う優の表情もやはり苦笑いだ。


恐らく、どんな顔で言えばいいのかわからないのだろう。


しかしこの2人だけは違っていた。


「私、深雪ちゃんに酷い事した。避けちゃったし。友達なのに、傷付けちゃった……。ヤクザの妻だろうが愛人だろうが関係ないのに」


瑞穂は顔を覆って泣き出す。


華江は何か言いたげに口を開いたが、結局一言も発する事は無かった。


時計は午前9時を指している。


今日はまだ、社長の姿も深雪の姿もない。


しかしだからといって、何もしないわけにはいかず、戸惑いながらも席に着く。が、結局は何も手につかず、ただ仕事をするフリになってしまう。


少しし、ドアが開いて近藤社長が姿を現した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ