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「本当に大丈夫か?」


「うん、大丈夫。決めた事だから」


翌朝、深雪はいつものスーツに身を包み、リビングのソファに座っていた。


身嗜みもキチンと整え、手には封筒を握り締めている。


深雪が出した決断。それは辞職する事だった。


昨夜一晩、色々なことを想定し、寝ずに考えた。


それがこの結果だ。


「今日これを提出する」


陽が昇ると同時に書いた手紙に視線を落とす。


白い封筒には、緊張のせいでいびつになった字で『退職届』と書いてある。


生まれて始めて書いた手紙が、居たくても居られない、自分自身を居場所から追い出すものになるなんて。


「そうか、わかった」


コウは一瞬何か言いたそうだったが、小さく頷いて車のキーを手にする。


その顔はどこか寂し気で、深雪もつられて目を伏せた。が、今さら変えられない。


「じゃあ、行こうか」


「えぇ」


ドアを開け、部屋を出る。


並んでエレベーターに乗り込み、隣にある手を強く握った。


コウは少し驚いたように反応したが、すぐに握り返してくれた。


人に真実を打ち明ける事が、こんなにも度胸を要するものなんて。


だが今日こそ、何もかもハッキリさせなければならない。


発端も過程も結果も全て自分で決め、起こした事なのだから。



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