表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/89

7

坂を転げ落ちるのは簡単だ。


噂は瞬く間に広がり、クラスメイトは皆、深雪を避けるようになった。


何度か教師が家に来たが、育児放棄をしている親父と話してもどうにもならないと悟ったのか、何ヵ月もしないうちに彼らが自宅に現れる事は無かった。


クラスに居場所のない深雪は、さらに悪どい事をやるようになっていた。


繋がりというのは不思議で、小学生の子供でも、元を辿れば街で一番目をつけられている高校生の不良グループに辿り着く。


子供が子供を呼び、6年になる頃には、2度目の成長期に入った中学生を相手にケンカ三昧だった。


どうやら深雪には素質があるらしく、どんな相手とケンカをしても負けなかった。


素手で勝負だというおかしなポリシーを持ち、中学に上がると、今までしなかった事にも手を出すようになった。


薬こそやらなかったが、煙草や酒を飲み、補導される日々が続いていた。


小学校を卒業するとともに、女の様に徒党を組む

のもやめた。


2、3年──更には高校生にまで毎日呼び出しをされては、ボコボコにしてきた。


その時ちょうど、妙な事にハマった。


きっかけは些細な出来事だ。


1人でぼんやりと煙草を吸っている時、ふと、これを人の肌に押し付けたらどうなるのかと疑問を抱いた。


勿論自分で試すなんてバカな真似はしない。


ちょうど、突っ掛かって来た他校の3年で試してやった。


後にそれが、古いヤンキーがやっていた『根性焼き』というものだと知ったが、この行為が快感に思えてきた。


怒り狂った猿のように歯を剥き出しに、たった1人の子供に挑んで来るバカな奴等。


そいつらを叩きのめし、その証拠として煙草を押し付ける。


狂ったように泣き叫び、暴れる奴等を見るのが何よりの快感だった。


それから深雪は、そのマーキングにハマった。


ちょうどその頃、女には避けて通れない『生理』がやってきた。


自分女であるというのを自覚したくないが為に、わざと残忍な行為に走ったと言っても過言ではないかもしれない。


現実から逃げたかった。


俺は強い。俺は男だ。


自分に言い聞かせて来た。


ちょうどその頃だ。


コウに出会ったのは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ