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「私見たんです。柊さんが、女の人と手を繋いで歩いているのを!」
青山のカフェに着いた瑞穂は、ぐっとワインを飲み干して語る。
「それはさっきも聞いたよ。どんな人だった?」
食後のコーヒーを飲みながら、優は首を傾げる。
「どんな人って聞かれても、よくわかりませんけど……。髪が長くて、なんかふわふわした感じの人でした」
「髪が長くてふわふわねぇ」
抽象的し過ぎて逆にわからない。優とさゆりは顔を見合わせる。
「あと、柏木さんも見ました。ブティックの前で、女の腰を抱いて歩いてたんです。確か……白いワンピースを着た人でした」
「白いワンピースか。まぁ確かに、深雪ちゃんが着そうな服ね」
しかしやはり、これだけでは不確かだ。
眉を寄せて考え込んでいると、今まで黙っていた華江が口を開く。
「ちょっとあなた達。何故そんなに彼女の旦那を暴きたがるの?」
仕事のミスを叱る様な口調に、3人は僅かにたじろぐ。
「なんか気になるじゃないですか」
瑞穂は消え入りそうな声で呟く。
「気になるのはわかるけれど、プライバシーの侵害よ。ただ噂話をしている程度なら未だしも、これはやりすぎね」
「はい……」
「すみません」
続いて優とさゆりも目を伏せる。
確かにこれは、やりすぎたかもしれない。気になるあまり、暴走しかけてしまっていた。
「全く。仕事もこのくらい精が出ればいいんだけれどね。ちなみにあの2人の連れは深雪ちゃんじゃないわ」
「え!?本当ですか?」
叱られたばかりだというのに、3人は身を乗り出す。
「多分ね。少なくとも柏木さんの方は違ったわね。身長差があったもの」
「身長差?」
「そう。前に見たけど、深雪ちゃんの背は、柏木さんの肩くらいだったでしょう。今日の子は、明らかにそれより低かったもの。ヒールで多少高くはなっても、低くなる事は有り得ないだろうし」
「そう、ですよね。全然気付かなかった」
一緒に目撃したにも関わらず、瑞穂は気付けなかった。
思わず華江の洞察力の鋭さに関心してしまう。
「とにかく、この話はやめにしましょう。せっかく4人揃ったんだし、どこか行かない?近くの駐車場に車を停めているの。ドライブがてらね」
「あ、はい!」
華江はキーを持って立ち上がると、3人を連れてオープンカフェを後にした。




