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小話01 陰謀~エディ視点~

タイトルは重いですが、内容は軽いです。


読んで下さる方々が、クスッと気軽に楽しめますように。

「今、この国に陰謀が張り巡らされている!」

俺は、そう断言した。


そんな俺の言葉に、ワインズとライアンは驚きを隠せない様子で顔を見合せ、顔を緊張で強ばらせる。

ローレンは、鼻で笑ってる。


「エディ様。…国家の陰謀とは?」

ライアンが固い顔のまま尋ねてきた。

その顔には、国を守る強い意思がある。


俺は、ゆっくり、ローレンを指差して、断罪した!


「今現在張り巡らされている陰謀とは、まさに貴様のことだ!ローレン!!俺が気付いていないとでも思ったか!」

ワインズとライアンが驚いてローレンをみた。


「言い訳があるなら言ってみろ!」

俺が重ねて責めると、


「ふぁぁ」

欠伸をしながら、ローレンが俺をみた。

「じいさん達の指示なんだから、仕方ないだろ?少しは、悪いなぁって思ってるよ」

と、全く悪怯れる様子もなく言ってきた。

「…くっ。やはり!クワァント家の陰謀だったのか。。」

俺は、唇を噛む。


そんな俺達のやり取りに、ワインズとライアンは顔を青くする。

「この国随一の名家クワァント家が、王家に反意を翻すとなると、国を二分する争いは避けられない!エディ様とアリア様との婚姻が間違いない今、一体何を…」

そういい募るライアンの言葉に、俺は反応した。


「それだよ!アリアと気持ちも通じあい、後は婚姻を待つばかりのはずなのに、全く婚姻話が進まない。それどころか、2人で会うことすらほとんど出来ないんだ!!」

俺の叫びに、ワインズとライアンが口をはぁ?といって固まった。


「聞いてくれ!」

そういって、俺は、確信に至った陰謀の全容を二人に話して聞かせた。


もともとは、アリアの社交デビュー後すぐに正式な婚姻の日取りを発表し、なるべく早く婚姻をあげるはずだった。そのため、時間のかかるドレスの準備はすでに始まっていたし、招待客の選別や招待状の作成も始まっていたはずだ。

しかし、伯爵家処刑という最悪の事態が起きたため、一旦婚姻の日付は延期となった。

宰相の、「縁が切れていたとはいえ、アリアの実父であることは間違いなく暫くは喪に服す必要がある」との言い分はもっともで、婚姻の延期を了承した。

確かに了承した。が!それからもう1年だ!


先月、アリアは無事に17歳を迎え、蕾が花開くように益々美しくなった。

それなのに、宰相に「婚姻」の単語を出すと、宰相の耳は突然遠くなるらしく、わざとらしく無視される日々。


「しかもだ!」

俺は拳を握った。

「アリアに会いにいっても、すぐに宰相に呼び戻されるか、何故かいつも公爵家の誰かがそばにいるのだ!」

俺の断罪は止まらない。

「それならと、お城にいるアリアを、お茶や散歩に誘っても、何故かローレンがいつも一緒にくっついてくるんだ。困り顔のアリアと、白々しく偶然の振りをして混ざってくるローレンといつも3人体制だ。

つまり、この1年近く…ほとんどアリアと2人で会えていないんだ!

間違いなく俺とアリアを引き離そうとする陰謀が、今現在、進められているんだ。」

俺がそう苦しみを吐露し、後ろを振り向くと、

呆れ顔のワインズと、そんな事かと安心した顔のライアンがいた。


ローレンは俺の心からの苦しみをニヤニヤと聞いていたが、

「仕方ないだろう。やっと取り戻したアリアが、目にいれても痛くないほど可愛いんだ、うちのじいさん達。

しかもどうやら一緒に暮らせば暮らすほど、手放すのが惜しくなったみたいでさー」

そうローレンが俺をみる。

「今、我が家ではアリアに結婚はまだ早い!で皆の意見が一致しちゃったんだよなー。ほら、この国の女性の適齢期は18歳~20歳位だし、16歳17歳での結婚なんて早すぎるっていうのがうちの総意だな。」


…なんということだ。確かにこの国の女性の適齢期は18歳~20歳位だが、小さな頃から許嫁の関係ならば、女性が社交デビューしてすぐの16歳で結婚することだってよく聞く話のはずなのに。


「宰相達は、いつ頃婚姻を認めるつもりなんだ?」

俺は恐る恐るローレンに聞いた。


「うーん。アリアが20歳越えたら考えるって言ってたような」

ローレンの言葉に絶望する。

早くてあと、3年?

そんなに、待てるかー!!


俺は益々美しくなった最近のアリアを思い浮かべる。

表情は相変わらずだが、少し雰囲気が柔らかくなった気がする。

特に、俺を見つけるとその瞳の奥に嬉しそうな光が浮かぶのが堪らなく可愛い。

少しずつ大人の魅力も出てきたアリアに、触れたくて堪らなく感じるのは男として仕方のないことだと思う。

しかも俺達は気持ちの通じ合った婚約者だ。もう少し関係が進んでもおかしくないはずなのに、最近は、2人になるチャンスすらない。

あの柔らかい体を抱き締め、口付けた時のアリアを思い出すだけで一層気持ちが高まるが手すら触れられないのだ。


どうしてこうなった?!


俺は頭をかかえた。


※※※


あーおかしい!

エディが本気で落ち込んだ様子をみて、俺は面白くてニヤニヤが止まらない。

とはいえ、さっきは、エディに20歳越えだといったけど、多分そろそろ婚姻の話は動き出すだろう。


何故って?


今朝いつものように、「アリアに結婚はまだ早い!20歳越えたら考えよう。」そう話していたじいさん達の会話を聞いたアリアが、おずおずと手を組んで、恥ずかしそうに、

「お祖父様。私は1日も早くエディ様と婚姻をあげたい…です。」

そう珍しく頬を染めおねだりしてたからね。


あのじいさん達がアリアのお願い事を叶えない訳がない。


アリアの願いを無視するわけにはいかず、なんだかんだ婚姻の話は動き出すだろう。


もちろん、エディにそんな事教えてあげないけどね?


俺は、もう一度欠伸しながら思った。

さぁて、そろそろ公爵家に帰ってアリアと夕食を一緒に食べようかな。


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