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日常の守り方。  作者: 近衛 サクラ
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はじまりのやり方

「ゆーうー学校はー?」

「にーちゃん、ちゃんと学校いかなきゃだよーいってきまーす」

俺の母親はシングルマザーだ。いつも通りのお隣さんに響きそうな声で俺の名前を呼ぶ。最近は妹まで俺に学校に行くように言うようになってきた。

「んー」

曖昧な返事を返して、また俺はパソコンに向かう。「ほっといてくれよ」とは思うもののシングルマザーでありながら俺と妹を育ててるんだから文句も言えない。見慣れたホームページからいつものゲームIDとパスワードを入力してヘッドホンをつける。これでここは俺の世界だ誰も入ってくることはできないなんて思いながら俺はゲームスタートボタンをクリックしてゲームを始める。


聞きなれない音楽がヘッドホンの外で鳴っているのが感じられる。選挙かとも思ったがそんな時期ではない。ヘッドホンをはずすと俺のスマホがなっている。いやいやいや。友達もほとんどいない俺のスマホに着信?ありえない。そう思いながらも通話に出てみる。

「も、もしもし...」

「あ、ゆうくん?学校来ないの?」

あぁ。聞きなれた声だ。

「いつもどおりだよ。そっちこそ学校だろ今。電話してていいのか。」

ありゃ。久しぶりだったからかな少しだけそっけなかったか。

そんなこと思いながらも右手の炭酸飲料を飲みながら通話を続ける。

「気になっちゃうのも仕方ないじゃん幼馴染だし。」

確かに幼馴染なんだが、なぜ架恋は引きこもりの俺にかまうのかわからない。ときどきだが俺の家に学校にいかないか聞きに来たり、妹と遊びに来たと思ったら俺の部屋の前で俺に話しかけたり、何かと俺にかまってくる。

「とにかく俺は学校に行かない。そんじゃな。」

「もぅ。わかったよ。またねトップランカーTenpestさん♪」

ビクッ。なぜ知っている。動揺で炭酸飲料をキーボードの上にこぼし、あせってふき取る。なぜ知っていたのか尋ねようとしたときにはもう通話は切られていた。

まぁいいかと思いながらもゲームを再開しようとした。

「あ。」

キーボードが反応しない。買いに行かなきゃなぁ。確実に炭酸飲料のせいだ。いや。間接的に架恋のせいだ。そんな責任転嫁しながらも重い腰を上げて扉を開ける。


これから起こる出会いと出来事。それは変化と輝きの物語。

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