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●第3章 冒険者として  ~7話 君たちの名は

たまには平和な冒険者の日常回。


けれども――――

「これが、マフフの花だ。黄色の花弁に赤い線の入った長い葉っぱが特徴だな。根っこから掘り出して、葉でそのまま包むように巻いて保存すると枯れにくく長持ちする」


「効能はどのようなものですの」


「花弁は腹痛や下痢、胃のもたれ、葉は殺菌作用があるから水に入れてたり、携帯食料の仕切りに使われたりされるな。あとは根っこが魔道具を作る際の触媒になるそうだ。」


「「おお~」」


 今日は魔道具屋のツンデレ老エルフであるソニアの指名依頼である素材収集である。


 良く晴れた日差しの心地よい昼下がり、見晴らしの良い草原で瑠璃色の乙女の面々はこうしてのんびりとフェインの説明を受けながら着々と依頼を進めていた。


 「おっ。これは珍しいな。ミツの葉と言ってだな」



 と、時にはレアな植物を採取したり――




 また別の日の曇天の今にも泣きだしそうな空の下で、 


「ふ、フェイン殿! 敵を引きつけて。エリメラは右の魔獣を――」


 現れた魔獣に対して、連携して戦う練習を行う。


 フェインに「折角、俺もメンバーになったんだから、どう戦うか皆で考えてみよう」と提案されたので、メンバーで話し合った戦術を試しているのだ。


 まだまだ、ぎこちないがリーダーであるシルファが基本的には指示を出し、フェインが補佐することで、少しずつ形になっていくのが瑠璃色の乙女達にも実感できていた。


 倒した魔獣のドロップアイテムを拾いながら、今の戦闘はあーだこーだと内容を振り返るのも忘れない。

 




 次の日のしとしとと降る雨の中、木々の隙間から零れる雨粒が防水のマントの表面を撥ねる。


「蔦を紐代わりに張って、ここに木の棒を通せば――――」


 野営をする際に、有効な奇襲を防ぐ罠や獣を捕らえる罠をフェインがメンバーに説明する。皆で拙いながらも罠を設置して、獲物が掛かるのをじっと隠れて待ってみたりと充実した冒険者家業が数日続いた。






「これが、ソニアさんの依頼達成の報酬だな。あとミツの葉が予想以上にいい値段だったぞ」


「「わーい!」」




 

「よし。これが今回の素材報酬だぞ。結構ドロップアイテムが充実していたからな。そこそこの値段で引き取りできたからな」


「「…………わ、わーい」」





「良かったな! ピュンの肉が需要があったから、今日はけっこう良い稼ぎだぞ」


「「………………」」


「ん? どうした? もしかして報酬が少なかったか? けど瑠璃色の乙女全体のパーティー用資金も貯めていかないと――」


「い、いや、フェイン殿。そうではなくてだな……」


 シルファがおどおどした様子で言葉を遮り、他の少女たちもどこか様子がおかしい。上目遣いで


「そ、その、だな…………。何と言っていいのか」



 一体なんだろうか。凄く言いにくそうだ。だが両手をグッと握りしめ、シルファ意を決して訴える。


「け、化粧をしたり、縛られたり、5日間臭いが取れないような依頼をしなくても報酬を受け取っていいのだろうか!」




「……いいんだよ」


 少し優しくしようと思ったフェインであった。











 がやがやと冒険者ギルドの活気ずく時間帯。


 けれど少しばかり人気が少ないない。


 そんな冒険者ギルドに併設されている、酒場兼食堂で昼食をとっていたフェイン達に近づく影があった。曲者か? 振り返るフェインの視線の先にいたのは――


「フェインの兄貴!!」


「お? お前らか~。久しぶりだな!」


「「うっス!!」」


 セラリル交易都市でちょっとお節介を焼いた事で知り合ったD級冒険者パーティーである『緑の旋風』の若者3人組みであった。


 D級からC級に上がれずに、少し腐っていた彼らが、宿屋の娘にちょっかいをかけたのを見かねてフェインが指導を行ったのだが。


「あれ? お前らその冒険者証――」


 首から下げる冒険者証をわざとらしく、そして誇らしそうにチラ見せさせる3人。


「はい! ついこないだC級に昇級しました!」



「おー、そうか。良かったな」


「うっス! あざ―ス!! …………ところで兄貴。そちらのお嬢様方は?」


 ごつい中年の冒険者と一緒にいる少女たちが気になった。緑の旋風のリーダーが聞いてくる。


「実は俺、パーティーメンバーに混ぜてもらっていてな――リーダー。こいつらは緑の旋風っていう冒険者パーティーでセラリルでの知り合いだ」


「ああ、私はA級冒険者パーティーの瑠璃色の乙女でリーダーをしているシルファと言う。よろしく頼む」


フェインの視線に促されて、ぴょんと椅子から降りて自己紹介を行うシルファ。モモとエリメラが頷き、ククルフィールは「フェインさんが兄貴。革のピタパン……」と呟いている。


「はあ。瑠璃色の乙女のシルファちゃ……さん? 緑の旋風のリーダーで………………えっ? A級冒険者!? 瑠璃色の乙女ってあの!!??」


「「ええっ!!!」」


 緑の旋風の残りの二人も口をそろえて驚きの声を上げる。


 なにせ、成人もしていないような少女たちがフェインと同じ冒険者メンバーと言うだけでも驚きなのに、A級冒険者だというのだ。しかも瑠璃色の乙女といえば美少女で構成された女の子だけのパーティーのはずで、なぜ兄貴と慕うフェインがいるのか。


「「も、もしやロリコ――――」」


「よし、お前ら戦争だ」



 閑話休題


「で、お前らは依頼か何かで寄ったのか?」


「うっス! セラリルからバルバリア抜けて近くの村まで商人の護衛依頼っス。それと、もしかしたらこっちでフェインの兄貴に会えるかもと思いまして、今日はギルドに寄りました」


「?」


「実はセラリルのギルド長が一度顔見せに来いって伝言預かってます」


「なるほどなあ。そういえばギルド経由でこっちにいることは伝えていたんだが、一度は顔出さんとな。わかった伝言ありがとな」


「うっス!…………あと、兄貴……瑠璃色の乙女の皆さん。お、お願いがあります!!」


「お、おう?」



「「??」」



「「握手お願いします!!」」




 ホクホク顔の緑の旋風の面々は「フェインの兄貴に瑠璃色の乙女の姉御、あざ―した」とギルドから出て行った。



「…………」

「ん? おにーさんどうかした?」


思案顔のフェインにモモが声を掛けた。


「ああ。ちょっとな」


「何か、困りごとでしょうか?」


「そうじゃないんだが、こう、パーティーとして今後の活動方針というか行動予定を決めてもいいのかなと思ってな」


「「??」」


 少女たちが同じタイミングで首を傾げ、少し笑いながらフェインは話を続けるのであった。




3章後半の突入していきま~す

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