●第3章 冒険者として ~1話 おーばーざ○らぶる
3章の始まりです。
しばらくはのんびり回になると思います。
「お金がない!?」
呆れたように叫ぶフェイン。
床に正座する、シルファ、モモ、エリメラ、ククルフィールの4人。
今日も平和ないちにちの始まりである。
― 10分ほど前 ―
フェインが仲間になると伝えた後、一旦解散して夜にまた集合する運びとなった。今後の方針やらを話し合わなければいけない。
「じゃあ、シルファは二日酔いの薬草、嚙んどけよ」
ひらひらと手を振り、自身も少し痛む頭を抱えながら、フェインは部屋を出ていき、階段をおりて、1階の受付をしている宿屋の親父さんと挨拶する。
さてこれからどうするかと二日酔いの頭で考えながら、出口に向かおうとするフェインに親父さんが躊躇いがちな口調で声を掛けてきた。
「あ、あの~、つかぬことを、お聞きしますが、瑠璃色の乙女に皆さまのご関係者でしょうか」
申し訳なさそうに聞いてくるため、はて、一体何かと考えるフェイン。昨夜の出来事だろうか?膝の上に乗せたのは俺ではないと言いたい。
「ん~。まあ、関係者ではあるな。何か困りごとですか? 依頼であれば――――」
「いえ、いえ、依頼ではなくてですね――――」
フェインは宿屋の親父さんから話を聞くと『瑠璃色の乙女』が泊まっている部屋へ折り返した。
あれっ? 何か忘れもの? とキョトンとする4人に向かってフェインは告げる。
「はい。床に正座」
首を捻りながら言われた通りに正座しようとする4人。
その中でモモが疑問を口にする。
「ん……。何で正座?」
言われてフェインは申し訳なさそうな顔になった。
「ああ、すまん。ただの勢い、様式美だ。とりあえず椅子にでも座ってくれ」
ぶーぶー文句を言う4人は部屋の隅から丸椅子を準備して座ろうとする。
「ちょっと聞きたいことがあってな」
「いったいなんなのだろうか? フェイン殿、……うっぷっ」
青い顔をしたシルファが少しえずきながら聞いてくる。
「いや、何、今、宿屋の親父さんから、溜まっている宿泊代を払ってもらえないか、と伝えてほしいと言われてな」
「「……………………」」
4人は顔を合わせると、座ろとしていた椅子をそそくさと元の部屋の隅に直す。
「あれ? どうした」
フェインの言葉に何も答えずに4人はフェインの前に整列する。
そして、そっと正座をするのであった。
そして正座した4人が伝えてきたのは、「お金がない」というわかりやすい回答であった。
「もしかして、マルタリオ商会に弁償として支払っていたのか?」
だが「いや、そうではなくてだな…………」と歯切れの悪い返答をするシルファ。
他の3人は気まずそうな顔をしている。
「エリメラ、どういうことだ?」
『魔素に愛されし一族』である正義と義侠の使徒、魔族のエリメラにごまかすなよと意味を込めた視線で質問する。
「…………それは―――――」
「え、じゃあ何だ? 4人共、ギルド預金に預けてもいなければ、パーティー用の資金も無くて、全て手に入ったお金は4等分してすぐに使ってしまっていると」
頷く4人を見て、フェインは盛大にため息をつく。
駄目すぎる。
あまりの無計画さと衝動的な浪費。
「で、今どれだけ残っているんだ?」
差し出される4人の財布の中身は、合計しても1泊分の費用にしかならないではないか。
フェインは元の世界で『宵越しの金は持たない』と言っていた、大学の頃のパチスロ好きな友人を思い出す。ちなみに大学4年生の時に「俺はパチプロになる」と言って退学していった。その後の行方は知れない
「マルタリオからの依頼で忙しかったのだ」
「ん。A級冒険者用の依頼も少ない」
当然である。
A級冒険者に依頼する任務なんて、そうそうあるものではないし、依頼料も馬鹿高い。
それにA級冒険者であれば、A級、B上級の依頼しか受けることができない決まりがあり、級毎に受けれる範囲が決まっているのだ。
だからこそ計画的に資金は運営せねばならない。
「とりあえず、説教は後にして、まずは宿泊費を稼いで支払わないと、信頼に関わるからな」
しょんぼりする4人。
何とも情けない可憐なA級冒険者の姿がここにあった。
ガシガシと頭を掻いてフェインが椅子から立ち上がる。
「よし、じゃあ、行くぞ!」
足のしびれに顔を歪めながらのそのそと立ち上がる4人。
「いったい何処にいくのよ」
ククルフィールが口を開くとフェインはすかさず答える。
「まずは、とりあえず営業だ!」
「「営業??」」
シルファ、モモ、ククルフィールの声が重なった。
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