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●第2章 悪意と乙女  ~3話 フェインsaid

読んで下さっている皆様。

少しでも楽しんで頂けているのでしょうか?

本日3作目の投稿です。

1日頑張れば4本投稿行けそうですが、なかなか難しいものですね。


 ククルフィールの治療が終了したフェインは宿屋の庭で寝転がり、瑠璃色の空を眺めがら、しばらくウトウトと睡魔に負けて眠っていた。


だが、微睡の中で、やらなければならないことを思い出す。何とも慌ただしい事だ。


 ゆっくりと満身創痍の身体を起こすと、「うっし!!」と顔を両手で軽くたたき気合を入れて立ち上がる。ふらつく頭を振りながら、庭の端にある井戸で顔を洗い眠気を払うと、宿屋に入り2階に向かうのだった。




「お前ら入るぞ。大丈夫か~」


 扉をノックして声を掛けるフェイン。


「ちょっとまってください!」ときゃあきゃあと楽しそうに騒ぐ少女の声に取りあえずほっとした表情を浮かべて「宿屋迷惑だぞ!」と言いながらドアに寄りかかって考えをめぐらす。


(さーて、これからどうするかな。とりあえずは、あの子たちに説明と確認、あとは協力を仰いで…………まずは説教だな!!)


「も、もう入ってもいいですよ~」との声にさて、どうやって絞ってやろうかとニヤリと笑いながらフェインは入室していった。







 鳥たちの演奏が1日の始まりを祝福し、窓から差し込む朝日が光の帯となって室内を照らす。



 そのどこか神秘的でもある光の先には、残念なことに死屍累々、重なり追うように床に突っ伏したシルファ、モモ、エリメラの3人。唯一安らかな寝息を立てているククルフィールが目を覚ますのには、しばらく時間がかかる。


「――――ということ。よろしく頼むぞ」


「「……は……い」」



 夜から続いた長い話、いや説教が終わると、瑠璃色の乙女達に布団を掛けやり、フェインは宿屋を後にした。


 朝の徐々に活気づく街をフラフラと歩き、慣れた様子で中央の通りから離れた路地裏に入る。実際にしばらく腰を落ち着けていた街だ。フェインにとっては庭のようなものである。


 迷路のような路地裏の突き当り、目的地であるみすぼらしい小屋の扉の前にたどり着いた。


(さてと)


 フェインは扉を5回ノックをする。


 しばらくして「コン、コン」と扉の内側から反応がある。もしかしたら別の街、もしくは他の国にでも行っているのではと心配したが杞憂であったようだ。


 再び6回ノックをすると静かに扉が開き、暗い隙間から、2つの瞳がフェインを見つめる。


「これは、これは、フェイン様。こちらにお戻りになっていたんですね」


 暗闇から覗く2つの瞳が嬉しそうに細められた。


「ああ、色々あってな。バルバリアも変わってないようだ。お前さんも変わってないようで安心したぞ」


「ええ、ええ。ありがとうございます。フェイン様には恩ばかり増えるばかりで何も返せずに心苦しいばかりです」


 歯の隙間から空気が抜けるような声で暗闇から覗く2つの瞳が答えた。


「なあに、すまんが、お前さんを頼らなくて済むてのは、まあ平和な証拠さ」


「ええ。ええ。確かにそうでございますね」


「だが、今回はちょっとお前さんの目と耳を貸して欲しくてな。危険だが……頼めるか?」


「危険でない話など、わたし等には縁のない話。ぜひとも恩を返す機会を頂ければ。ええ、ええ。お代も安くしておきますよ」


「しっかりしてるな」と苦笑いを浮かべるフェインと嬉しそうに目を細めて笑う男。


「マルタリオ商会を洗ってくれ。特に食料の仕入れ先や製造場所についてだ。繋がっている貴族や良くない噂がある人物など、何でもいい。情報を頼む」


「ええ、ええ。フェイン様は本当に面白そうなお話を持て来られます。畏まりました。何かわかりましたら、以前と同じようにお伝えしましょう」


「お代は最後にまとめてでいいか?」


「ええ、ええ。フェイン様たってのお話なれば。お役に立てましたらご請求いたしましょう」


「ああ、頼んだぞ。『夜の白霧』」


「ええ、ええ」とドアは閉じられた。


『夜の白霧』王国を一時期騒がせた義賊であり、今は情報屋をしている男。


 フェインと『夜の白霧』の出会いはまた別のお話し――――。




「次はギルドだな。報告せにゃいかんことが多いな」


 以前バルバリアでも活動していた『紅鉄の戦牙』。


 そのため、勝手知ったるや迷うことなく冒険者ギルドに到着する。


 途中、見知った露店商のおじさんやおばさん達から貰った果物や食料を抱えながらではあるが。



 ギルドでたむろっていた、懐かしい顔ぶれに挨拶を行い、ギルドの職員にセラリル古代遺跡の崩落や転移の魔法陣についてなどを報告してギルド預金に預けていたお金を引き出すとギルドを後にした。


 以前贔屓にしていた宿屋で記帳して、もらった果物を置くと眠たいのを我慢して再び街に繰り出した。やらなければならないことは多い。


 最初の目的は、王都へ早く手紙を運ぶことができる連絡鳥である。


 連絡鳥を扱う郵鳥局でフェインは『王都の花屋フェルミール ホルス宛て』の手紙を依頼を行った。


 その後も何件か道具屋や知り合いに顔を出し、街中を歩き回った。


「こ、これで、今日しないといけない事は終わったか」


 流石に、体力に自信のあったフェインではあるが、宿屋に戻ると食事することもなく泥のように眠るのであった。


 


 ククルフィールが目を覚ましたと連絡が入ったのは治療から2日後のことであった。


「この度は助けて頂き、ありがとうございます」


『瑠璃色の乙女』が泊まる宿屋の一室にて、凛とした雰囲気を持つククルフィールが頭を下げる。


「もう、体は大丈夫なのか?」


 さらりと流れる銀髪はエルフ特有の長い耳の少し下までの長しかなく、後ろ髪から前髪に向かうにつれて長くなっているのが特徴的である。


(ショート・・・ボブって言うんだっけか?)


 凛とした切れ長の瞳と銀の清涼感のある髪型に、できる女と言った印象を受けるフェインは(成長したら三角眼鏡とぴっちりとしたスーツのスカートが似合いそうだな)なぞと頭を働かせる。


「はい。今は動きたくてうずうずしています」


 落ち着いた表情と口調で、少し緊張した様子で答えるククルフィール。その頬は赤い。


 顔が少し赤いのは、裸を見られた恥ずかしさからなのだが、治療を行い救ってくれたフェインに文句を言わない分別きちんとある。


「それで、フェインさん。一応シルファ達から話は聞いたのだけれど、僕はどうすれば?」


「ああ、相手を油断させるために罠をはりたいからな」


 フェインは何でもないといった口調で伝える。


「君には死んでもらうことにする」










「――――と、言う訳でホルスさんに匿って欲しんだが、どうだろうか」


 地下にある酒場にてククルフィールをホルスに紹介したフェインは、放置されていたお酒を口に含んだ。ぬるいがいい酒なのだろう。鼻を抜ける香りを楽しむ。


「なるほどね。で、バルバリア商会の情報は手に入っているのかな~」


 ホルスが来る前に見ていた紙切れを思い出す。


「色々と怪しいことをしているのは確かなんだが、『花』を育てている場所や仕入れ先は掴めていない状況だ」


『夜の白霧』からの情報にも決定的なモノは無かった。それは、かなり厳重に警戒しているという意味でもある。


「どうするつもりなのかな~。まあ、私たちが動いてもいいけどね~」


「あ~。ホルスさんには最後の仕上げをお願いしたくてな。……しばらくは、そうだな――――」


 グラスを手に取りフェインは笑顔で答える。


 琥珀色の液体がゆらゆら揺れている。


「『瑠璃色の乙女』のみんなに、しっかり自分たちの後始末をしてもらうとしますか」



 ククルフィールはプルリと震えた。

少しずつ評価やブクマが増えるのを楽しみにしている毎日です。

ちなみに、文章や流れで何かご感想御座いましたらよろしくお願いします。

あまり戦闘なども無いので、はたしてこのままで良いのか思案中です。

プロット等もなくその場その場で考えて書いているので・・・。

今後ともお暇なときに読んで頂ければ幸いです!!

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