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●第1章 瑠璃色の乙女  ~9話 フェインと乙女たち④

思っていたよりも説明で話が長くなってしまったので、一旦ここで区切ります。

頭の中に流れはあるのですが、テンポ良く読みやすい文章に出来ずに苦戦します・・・。



「フェイン殿、いったいククルフィールに何をする気なのでしょうか」


「ん。意味不明?」


「なぜ二人とも裸になる必要がありますの?」

 

 シルファ、モモ、エリメラの3人は不穏な空気を放ちながらフェインに近づいていく。


「「……あれ……?」」


 詰め寄ろうとした3人はそこで、ハタと気が付いた。


「我らは――」


「あれ? 何にも――」


「聞いていなかったのですわ――」


「「ひゃー!!」」


 フェインが何をどうやってククルフィールを治療するのか知らないことに3人は心の中で驚く。本当に今更であるが、会ったばかりのフェインを疑いなく信じてしまうほど、切羽詰まっていたことに。果たしてこの男性冒険者は本当に信じられるのか。裸にして何かいかがわしいことをするのではないか。一度不審になると、嫌な考えが3人の頭の中をぐるぐる巡る。


その様子にフェインは仕方がないと苦笑いで声を掛ける


「おい。こら。あんまり騒ぐと良くない。外で話すぞ」


一旦部屋を出る4人。




「時間があまりないからな。出来るだけ手短に説明するぞ」


 フェインは3人から放たれる殺気にも似た空気に内心少し冷や汗をかきながらも、彼女たちを心配させまいと平静を装って答える。


「実際のところ彼女は病気じゃない」


 驚く3人に対してフェインは話を続ける。



「身体の中の異物に対する過剰な防衛反応が原因で、今苦しんでいる。全身を巡る黒い血管のようなものが、言ってみれば異物で、それを体外に排出できれば助かる」



 フェインの元の世界の知識では物語の中でエルフは、肉を食べないと語られることが多かったが、この世界ではとにかく大食いで、何でも食べるのがエルフという種族だ。


 エルフ族が総じて病気や毒に対して強い抵抗力を持っているのは、大変食いしん坊なエルフ族が遥か昔から毒があろうが何でもかんでも食べて、食べて、食べた結果、身につけた種族的な特徴なのだ。食いしん坊万歳!


 そして幸か不幸かククルフィールは殊更に強い抵抗力を持ち合わせていた。


 しかし級冒険者で強い体を持っているとはいえ、まだエルフとしては幼いその身が持たなかったのである。


「彼女の中の異物は、彼女自身の体内の魔素、つまり魔力と交じり合って体の表面に血管のようにとして浮き出ている。そしてこの魔力を含む黒い血管は他の魔力に引き付けられる性質をもっているんだ」


 商人のおっちゃんに見せてもらった本に書かれていた内容である。


「これから俺の魔力を使って魔力と交じり合った異物を体内から取り出す。そのためにも、周囲に魔力を帯びている魔道具があると何かしら影響がでるし、お互いを隔てる服がないほうが干渉しやすい」


「らしい」という言葉は呑み込む。



「だったら、わたしがする。魔法得意」


 じっと見つめるモモにフェインは頷くことなく首を横に振った。


「魔法3項は知っているかい」


「ん。魔力の総量・放出量・質の3つ」




 魔法を使用するにあたって重要となるのが『魔法3項』である。




 総量とは文字の通り体の内に宿す魔力の最大量のことで、多ければ多いほど連続で、また消費量の大きい魔法の使用が可能となる。


 放出量とは魔力量を調整する蛇口のようなものであり、大きければ大きいほど強力な魔法の使用が可能となる。


 質とは魔素をどれだけ純粋に魔力変換できるか、魔素を色のついた水だとすると魔力は透明な水であり、透明度が高ければ高いほど、同じ魔法であっても大きな差が生まれる。


「今回特に重要になるのは、放出量なんだが――――」


「なら、わたし大きい。強い魔法使える」


「大きさは必要ない。大切なのは丁寧さ、精密さ、繊細さだ」


「ん?」


 いまいち理解できていないモモは首をひねった。


「じゃあ、氷結の魔法で、手のひらに乗るサイズの人形を作ってみてくれ」


「ん」


 シルファとエリメラが興味深そうに見つめる中、モモは無詠唱で手のひらにのっぺりとした頭と身体だけ氷の塊を生み出す。


「何気に無為詠唱か」と苦笑いするフェインはモモからのっぺりとした氷の塊を受け取るが、直ぐにパリンと砕けて氷塊は砕けて魔素に還元された。


 何となく頭と体がわかる程度だったが、実のところより大きな放出量が尊重される魔法3項の中でこれだけできることは凄いのだが。


 けれどもフェインはそれを超える。


 魔法量も放出量の最大値や質もそこそこ。


 幼いころに、自分には突き抜けた魔法の才は無いと感じたフェイン。


 だがそれは常に真面目に努力を怠らずに会得した力。


 多くの魔法使いにおいて放出量を例えるのが蛇口ならば、フェインの放出量に関してはスポイトで扱うがごとく量を調節できるのだ。


 きちっと詠唱して氷結の魔法を使用する。


「「お・・・お~!!!」」


 フェインの手のひらの上には背中合わせに三方向を向くシルファ、モモ、エリメラの氷像。


 服の皺から豊かな表情と動きだしそうな躍動感。



「今必要なのはこのレベルでのコントロールなんだが――――」


「ん……ごめん。わたしには無理」



 氷像は直ぐに崩れて霧散してしまうが、3人の目には芸術品の如き氷像の姿がはっきりと残っていた。


次はフェインの治療です。

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