●プロローグ
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フルフェイスの兜は右半分が破損し、傷を負った頭からの出血で視界が悪い。傷を治したいところだが、ポーションは既に使い果たしている。
長年愛用してきた、ブロードソードも予備のショートソードも折れてしまい、残る武器はダガーと解体用のナイフのみ。更には全身を覆う自慢の鎧と大型の長方盾もところどころヒビが入り、高額で付与した魔術紋の自然補修効果も無くなってしまっている。
目の前には巨大な顎と鋭い爪を持ち固い甲殻に覆われた6本足の昆虫型の魔獣が10体。
武器は頼りないダガー。鎧も盾もボロボロで、ポーション類は底を尽いた。頭の出血こそ激しいが大きなダメージは負っていない。しかし長い戦闘で腕は痺れ、体力は底を尽き、膝は笑っている。
詰まる所、B級冒険者フェインは絶体絶命のピンチであった。
ダガーを構え、後ずさりながら注意深く周囲を観察する。魔獣の数や配置に地面の窪みなどの周囲の環境。目や耳、肌で生き残る為の一手を模索する。
現在までに倒した魔獣は6体。
どうにかして活路を見出さなければ、待ち受けているのは骨も残らぬ無残な死だ。
(さて、どうするか)
ダガーを構えて息を整えながら後退するフェインの背中が壁にぶつかった。
それを好機と見たか、それとも本能かギチギチと顎を鳴らしながら、魔獣達はフェインを囲むようにジリジリと一気に間合いを詰めてくる。
フェインは魔獣に気が付かれないようにチラリと左に意識を向けた。フェインを囲む魔獣達の一番端にいる一体の動きは鈍い。ショートソードと引き換えにかなりダメージを与えていたのだ。
(唯一のチャンスは…………あそこしかないな)
不意に魔獣達の殺気が強くなり、一気にフェインに飛びかかろうと6本の脚に力を込めた。
(今だ!!)
腰のベルトに付いている革のポシェットから自作の閃光玉を取り出し、自分と魔獣の間に投げつける。
閃光玉は地面に触れた瞬間に激しい光を放った。白に視界を奪われて魔獣達が怯んだ隙に、フェインは一番弱っている魔獣に突っ込んだ。痺れる腕で無理やりに盾を振るい、魔獣の足を弾きながら、空いた隙間に体をねじ込み、駆け抜ける。
無理な使用により既に耐久値の限界に来ていた盾は砕けその役目を終えた。
フェインは壊れた盾を投げ捨て、ふらつきながらも、そのまま走りぬける。
(よし。このまま逃げ……)
ギチギチギチギチギチギチギチギチギチ
唯一の逃走ルートのその死角から、新たな魔獣が次々に現れた。しかも、その数はたった今相手にしていたよりも多い。
立ち止まったフェインは怪我と体力の限界、そして目の前の絶望的な状況に膝をつきそうになる。
(ここで……死ぬのか?こんな所で……)
ギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチ
魔獣がゆっくりと囲んでいく。
(いや……。何か、何か無いか。死んでたまるか!)
ギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチ
魔獣達がフェインの命を刈ろうと近づいてくる。
ギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチ
だらりと粘着のある糸を引きながら広がる顎が、目の前に広がった。
(ふざけるなよ……。終わってたまるか! 足掻いて見せる!!)
笑う膝に力を入れてダガーを強く握る。
ギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギ・・・ドン!!!!!
突然の激しい音と光。
荒れ狂い渦巻く強力な魔力。
顎を広げた魔獣も、爪を振り下ろそうとした魔獣も、フェインの前から吹き飛んでいく。
当然、爆発の影響でフェインも吹き飛んだ。
(え・・・?)
ゴロゴロと地面を転がり、止まった所で何とか顔上げる。
粉塵舞う中で、固い甲殻に覆われていた筈の魔獣が次々に縦に横に切り裂かれ、爆砕し粉砕されていく。
あっという間に魔獣達は屠られた。
あれ程、自分が苦戦した魔獣がゴミくずの様に倒されていく様子を、倒れたフェインは唖然と見ているしかできなかった。
「貴殿。大丈夫か?」
霞む視界の中で声の主が手を差し伸べていた。
いつの間にか、魔獣の代わりにフェインの目の前に人がいた。どうやら、声は女性のようだが、出血で視界も悪く、意識も朦朧としてきている。それでも歯を食いしばり、膝に力を入れて、差し伸べられた手を握り立ち上がる。
小さい手だった。
「おにーさん。怪我してる」
「大変ですわ。早く治癒を!」
ふらふらと頭が揺れて、体が傾いていく。駄目だ意識が保てない。
「あ……ありがとう……たす」
そこでフェインは意識を失いバタリと倒れた。
「おい、貴殿!!」
「おにーさん死んだ?」
「ち、ちょっと。何を言ってますの!!」
そう、これがB級冒険者であるフェインとA級冒険者パーティー『瑠璃色の乙女』との初めての出会いであった。
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