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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ただそれだけの話

作者: 夏野ゆき

 人を狂わせる魔性の美というものを、私は初めて知ったのだった。


 無機物であるかと疑うほどに鮮やかな青い瞳。滑らかな肌には傷一つ無く、光をすべて吸収してしまうかのような黒い髪は、よく手入れされているのだろう。艶やかであった。彼の美貌に更なる華を添える柔らかな微笑は、どこか残酷な色気を持ち合わせている。


 ──悪魔だ、と思った。神ではなく、悪魔だと思った。


 これほどまでに美しく、心を乱す者が【善い】ものであるわけがない。私の心中に沸き上がるのは陶酔というべきか、敬愛とでもいうべきなのか。ただ、真っ黒な執着を彼に覚えてしまったのだけは確かだった。

 彼に触れたいわけでもない。彼と同一になりたいわけでもない。ただ、彼を見、彼を感じ、彼に見られていたい。その一心だった。狂おしい気持ちは日々に刺激を与え、私はいつしか彼の虜となっていた。ある種の破壊衝動にも似た何かは、私に一つの天命を与えた。


 ──私は、この青年を創るべきなのだ、と。


 こんなにも綺麗なモノを、たった一つにとどめておくのは勿体無い。この世にはもっと、彼のような存在を増やすべきなのだ。一瞬にして人の心を奪い、狂わせてしまうような美を。圧倒的なものを。倫理観も価値観も、すべてを狂わせ破壊するようななにかを。


 先生、と低い声が私を呼ぶのは心地がよかった。私を深淵へと誘い、深い海へ引きずり込んだその声を、私は永久に忘れないだろう。

 その昏い微笑みも、人を見下したような青い瞳も。すべて自分のものに出来たなら、と思う。けれど、彼はそれを望まないだろう。だからこそ私は彼を創り、私だけの【青年】を造るべきなのだ。


 このどす黒い感情にはどんな名前をつけるべきか。瞻仰(せんぎょう)か、畏敬か、執着か、拘泥(こうでい)か。少し頭を悩ませて、それからしっくりとくる言葉がひらめいた。


 ──きっとこれは、恋にちがいない。


 口の中で転がしたその言葉は、ひどく甘くて背徳的だった。




***



「これ、最後のチャンス」

「……はい」


 細い瞳孔の金色の眼が私をじっと見ている。そこに熱はなく、強いていうならば侮蔑だけが滲んでいた。役立たずの部下に向ける侮蔑だ。口許についたピアスをちゃらちゃらと鳴らしながら、その男が口を開いた。


「失敗したら首が飛ぶと思えよ。俺はもうお前に愛想尽かしてるから。チャンスやっただけありがたいと思え」

「はい」


 編み込んだ金髪、耳にも口にもたっぷりとつけられたピアス。誰がどう見ても破落戸(ごろつき)か何かと判断するであろう。しかし、それでいて彼は私の上司であり、軍に所属する人物でもあった。破落戸なんて可愛らしいものではないのだ。


 表立っての階級は私と同じ。しかし、知るひとは彼を【蛇】と呼び恐れる。それが大尉であっても、大佐であってもだ。彼の執念深さは蛇そのもので、だからこそ彼は裏でこの軍の諜報部を指先一つで操れる。誰もが執念深い彼を敵に回すことを恐れた。誰もが彼の頭脳を恐れた。ただそれだけの話だ。そして、私はそんな彼に使われる立場だった。それだけの話だ。


「最後のチャンスに選んだのは【レグルス】。失敗しても成功しても、華々しい終わりかたができるのはお墨付き。上司としてお前にかけられる言葉があるとするんなら、精々生きて帰ってこい、ってことくらいかな」

「レグルス……」


 呟いてしまったその名が、喉に張り付いてはがれない。そのあとの言葉なんて続けられやしなかった。レグルス。したっぱの私でも知っている名だ。この国で一番有名な犯罪者の名前。巨大なマフィア【ルポーネ】の首領(ドン)

 私はそのレグルス(ドン・ルポーネ)に接触しなければならないらしかった。


「お前にこいつは殺せないだろうから、こいつのアジトの一つでもこっちにチク(報告す)ればそれで良いよ。元から期待はしてねーし」


 自尊心をガツガツと傷つけるような物言いをされたが、反論する気は起きなかった。その通りだからだ。私は今までに五つの任務につき、そのうち二つで重大なミスをやらかしている。本当にこれが最後のチャンスであり、チャンスを与えられただけでもありがたい話なのだ。


 失敗するわけにはいかない。首になるわけにはいかない。この男に、このミズチ・アルテナに認められたい。そうでなければ、私はここにいる意味がない。


 ──彼のために。彼に見てもらうために。あるいは彼に存在を認知してもらうために。彼の視線を奪うために。


 これが恋などという感情ではないことを私は知っていた。けれど、周りから見ればこれはきっと恋なのだろう。私にはこんなにどす黒い感情を恋慕とは呼べなかったが、執着というには白すぎたのだ。黒くもなく白くもなく、どっち付かずのこの気持ちを少しでも目の前の男に気づいてもらえたなら、と思う。


「自分が何しなきゃいけないのか理解したら、さっさと失せろ。お前がするのは俺を見つめることじゃなく、この(レグルス)を地獄に叩き落とす準備をすることだ」

「──はい」


 レグルスは、彼が生涯をかけて追うことを決意した人物だと聞いている。その経緯に何があったのか私は知らないけれど。けれど、レグルスを彼に差し出せたなら、彼はきっとレグルス以外にも目を向けられるようになるはずだ。ちっぽけで矮小な私にも、その金色の瞳を向けてくれるにちがいない。




***



 彼と初めて顔を付き合わせたのはどこだったか。その記憶も今では曖昧で、けれど出会ったときに受けた衝撃を私は忘れられずにいる。月明かりに照らされた美貌は一瞬にして私の心を奪い、蒼く爛々と輝く瞳は闇夜によく映えた。星が煌めくように黒い髪が艶やかに街灯に照らされ、彼が手にしたステッキは先の方が少しひしゃげていたのを覚えている。


「良い夜だな、今晩は」


 石畳に広がる赤い血だまり。鼻を擽ったのは鉄の匂い。ぞくりとするほどに艶かしい微笑みを浮かべ、彼は黒い革靴で血だまりを踏みつけた。一歩、また一歩とこちらに向かってくるその姿に見とれてしまったのは否めない。


「腰でも抜けたか」


 いつのまにか私は尻餅をついてしまっていたらしい。差し出された手を、黒い革手袋に包まれた手を、人を殺めたその手を、私は取れずにいた。怖かったわけではない。畏れ多かったのだ。これほどまでに美しい存在が、私に手を差しのべている。無様に尻を地につけ、見慣れぬ死体に震えた私に、彼は手を差しのべている。その事実だけで私の頭はいとも簡単に興奮に満ちてしまった。


「穢いものを見せてしまったな。……詫びにどうだ、一杯」


 断る理由も、断れる理性も持ち合わせてはいなかった。彼はそんな私の心中を読み取れていたのだろう。死体を目にしても叫ぶこともなく、明らかに罪を犯した彼を非難することもなかった私を。私の中の言わば怪物とでもいうべき何かを、孵化するときを待ちわびていた狂気を、彼は見抜いたのだと思う。


 彼と飲んだ酒の味は覚えていない。私が覚えているのは彼が語った言葉だけであり、その毒々しく狂おしい瞳の色であり、ぞくぞくとするほど静かな狂気に満ちた理知的な人格だ。


 彼の名前はレグルスといった。夏の夜に空に現れる獅子の星座の一番星。彼の名前を知ることができただけでも私にとっては死にそうなほどに嬉しいことだったのに、その名が告げる一つの事実は私をひどく興奮させた。


 ──レグルス。


 この国で一番有名な犯罪者の名前。巨大で強大なマフィアを率いる者の名前。イル・ルポーネ(大食らい)と称されることもある正体不明の人物が、こんなにも麗しい青年だとはしらなかった。てっきり、顔に傷でもある大男かと思っていたのに。


「──先生は人の心理について研究を重ねているのか。精神科医と聞いたが、俺たちのような人間の更正にでもその知識を使うのかな」

「ええ」


 低く、落ち着いた声で【先生】と呼ばれる頃には、私は自分の身分、生い立ち、職業から家族構成まで──余すところなく彼に伝えてしまっていた。酒が入ったせいもあるだろうが、なによりこんな人物に出会えたことに舞い上がっていたのだろう。罪を犯す人間の心理について主に研究を重ねていた私にとって、彼ほど興味深い人間もいなかった。悪を極め、悪の頂点に君臨し、悪という概念そのものに身を委ねるような生き方をしているに違いないこの青年に、出会えたことそのものが奇跡だと思えた。そんな奇跡に出合ってしまったのなら、口が軽くなるのは仕方がないだろう。人は神に出会えばその神々しさを口走りたくなるものであるし、悪魔と契約すればその有能さを自慢したくなるものだ。

 奇跡とは、人の運命を狂わせ、人の人格に大いなる影響を与えていくものだ。それが良いものであっても悪いものであっても。だからこそ奇跡はドラマチックに描かれる。


「それなら、幾人もの犯罪者を見てきたんじゃないか? 強盗、殺人、詐欺に恐喝……どれが一番興味深かった(・・・・・・)?」


 悪魔のような問いであり、私はそれに答えられなかった。きっと、まだ人としての理性が残っていたに違いない。実際に起こってしまった犯罪の、それも加害者の意識に肯定的な興味を持つ──など不謹慎極まりないだろう。彼が私に「研究者としてでの意見」ではなく、「私個人としての意見」を聞いているのは明白だった。彼は精神科医としての理性ある私を試しながら、同時にただの人間である私に甘美な誘惑を持ちかけていたのだ。私が白いままであるか、黒く染まるかを眺めるように。


「──おっと、これは不謹慎だったな」

「いえ」


 くく、と甘い笑い声を漏らし、美しい青年はさらなる誘惑を私に持ちかけた。


「先生、俺に興味はないか」


 その言葉に疑問符がつかなかった時点で、彼には私の行く末が見えていたに違いない。

 私は彼のその言葉に頷いてしまった。深淵を覗く勇気を手にしてしまった。悪魔の甘言に耳を傾けてしまった。


 けれど、微塵も後悔はしていない。

 彼の言葉を借りるならこうだろう。


 ──“退屈な人生など、死んでいるのと同じだ”。


 私はそんなものにはなりたくなかった。生き続ける死者などごめんだ。私は生きたかった。刺激に身を委ね、そうして生きながら死にたかった。それを選んでしまっただけのことだ。


 私と彼が出会ったのはきっと必然だろう。ならばこれは奇跡などではない。私と彼が出会ったのは奇跡ではない。奇跡とは、彼がこの世に存在したそのことそのものだ。




***




 赤茶の髪は茶色に染めた。何の面白みもなかった茶色の瞳には緑色の薄いガラスを被せた。鏡に写った自分は、全く知らない他人に見える。ため息一つでなかった。これから私は【私】になるのだ。軍人ではなく、花を渡り歩いてきた夜の蝶に。

 潜入捜査ともいうべき計画にはわりとなれている。私のようにつとめて美人というわけでもなく、かといって不細工すぎることもなく、派手でもない、ぱっとしない顔立ち。それは、こういった調査や捜査には便利なものだった。女は化粧で変わるというのが定説であるし、それは適切だろう。

 粉をはたいて紅を唇にのせ、頬にも薄く色をつける。それだけで鏡の中の私は死んだような顔から生き生きとした女になる。美しくはないが、不細工でもなかった。十人が十人素通りするような、ありふれた顔。これでいい。


 鏡の中の別人のような私を確認したあと、私は彼がよく現れるという話のバーへと向かった。会えたら良いなと思うくらいの気軽さで。


 



 彼の行きつけらしいバーは、思っていたよりずっと上品だった。マフィアのボスがいくような酒場を私は全く知らないが、もっと下品なものだと思っていたのだ。酔っぱらいの怒号もなければ、痴話喧嘩で言い争うカップルもいない。物静かなバーテンダーがひとり、カウンターに佇んでいる。

 一応仕事であるからと度数の低いカクテルをたのみ、ちびちびと舐めるようにのんだ。あの上司とは違って私は酒に強くもないし、喉を焼くようなアルコールは不得手だ。何より、飲んでいるうちに頭痛が襲ってくる。今みたいに。


 精神的に不安定なときは酒など飲むものじゃないと、大昔に誰かに言われた気がする。が、誰だったかは思い出せない。恋人に逃げられた同僚か、それともどこかへ失踪した軍医だったか。鬱になって退職した友人だったかもしれない。私の周りにはそんなやつばかりだ。何しろ、私がこんな人間だから。


 ──抱かれろと言われるのは、思っていたよりショックだった。


 ずきずきと頭が痛むのは、アルコールのせいだけではないだろう。

 例えば華々しい悪の人間に私たちが近づくとき、一番手軽で確実なのが商売女を装うことだ。もっとも、これはあちらもとっくの昔に【よくある手】として認識している。とはいえ、懐に潜り込んで持ちかけてしまえば、断れないのも男なのだそうだ。痛みを使った拷問は時おり相手を頑なにさせるが、柔らかい女の肌は相手の口を饒舌にさせるのだという。これは、私にこうするように仕向けた男、上司であるミズチの言葉だった。私が任務につく直前にかけられたのは、労る言葉でも帰還を願う言葉でもなく、淡々とした【手口】の話だった。


 けれど、それだけで良かった。私にその話をしたときだけは、あの人の視線は私が奪えていたのだから。その内容が【レグルスに抱かれろ】という非道なものだったとしても、私はそれでよかったつもりだった。軍人だから。仕事だから。諜報員であり、あの人の部下だから。


 そう言い聞かせたはずだったのに、心には黒く透明な澱のようなものが積み重なっていく。彼のために私を使えば使うほど、私はどんどんとすり減っていく。私が望み通り彼の視線を奪える頃には、きっと私は今より矮小で汚らわしいものになっているのではあるまいか。一瞥されて「捨てとけ」などと言われるモノになるのではあるまいか。そんな空虚な妄想が頭を満たし、私の肺を締め付けた。


「──しにたい」


 口から出てきたのはそんな言葉であったし、それに答えた男は人生を謳歌していた。きっとそれだけの話だったのだ。


「死ぬなら俺の腕の中でにしないか?」


 そう甘ったるい言葉を口にしながら私のとなりに座った男の名を、私はよく知っている。


 ──【レグルス】。


 毒々しく魅惑的な青の瞳が、私だけを見つめていた。




***




 彼の語る話は逐一刺激的で、魅惑的で、退屈だった私の人生を一変させていった。彼の理知的な振る舞い、理性的な言動は今までの【患者】とは一線を画していて、ある種の不気味さを感じることも出来る。だか、それ以上に私は彼に魅了されていたのに違いない。私は彼に並々ならぬ興味を抱いていたし、彼もまたそれを許容してくれていた。犯罪者の心理を知りたいと質問を重ねる私に、彼は快く協力してくれた。


 彼の異常性を私などが事細かに話すことはできないだろう。一言でいうのなら彼は矛盾のかたまりだった。人を殺めたその手で子供を慈しみ、他者を踏みつけた足は道端の花を踏むのを厭う。

 彼の心理を覗き込めば覗きこむほど、私は彼の抱える矛盾の大きさを、彼の中に巣食う怪物の異常さに惹かれた。どうしようもなく彼が欲しくなったのだ。私の前だけに存在してほしいと、私だけにその美しく毒々しい瞳を向けてほしいと。

 昏い笑みはどこまでも蠱惑的で、私に理性を捨てさせた。彼という闇を私は理解したいと思ったし、彼を理解することができたのなら、私は誰にも勝る人物になれると疑わなかった。


 私は彼と同一になりたかったわけではない。ただ、彼の近くで彼の異常性を垣間見ながら、それでも冷然とした彼の姿を崇めていたかったのに違いない。普通の人間ならばあれほどの狂気を身に宿しながら、こんなにも人間らしく(・・・・・)人の世界に交わる怪物を私は知らない。


 私にとって、彼は永遠の象徴だった。


 人は悪いものに惹かれるものだ。

 【してはならない】という禁忌を簡単に犯す。人を殺してはならない。盗みを働いてはならない。人を騙してはならない。人のものを奪ってはならない。この世には【してはならない】ことなどたくさんある。が、それはお互いの利益を守るための決まり事だ。損失が誰にも生まれないのなら、わざわざ【してはならない】などと言い出すものはいない。

 互いの権利を守るために【してはならない】ことを定めるわけだが、それを守るものばかりかといえば否だ。そのくせ、他人の権利を踏みにじる者が自分の権利を主張する。そのことほど滑稽なことはないだろう。だが、多くの人間はその滑稽をいとも簡単に通す。そこに存在する二重の基準を誰もが当たり前のこととして認めている。


 ──自分が加害者であり続ける限りは。快楽を享受する立場であり続ける限りは。


 禁忌を犯すことそのものが快楽となる場合もあるし、人に指摘されながらも犯す罪はきっと蜜の味がするのだろう。それが罪と知っていてなお、人は自分の快楽には抗えない。そうして罪を犯しつづけるうちに感覚は麻痺し、自制心は死に、あとに残されるのは狂気の怪物のみなのだ。その怪物もいずれは自らの狂気に耐えられずに死ぬ。それが人間という生き物だと私は理解している。


 だからこそ、幾多の矛盾を、二重基準を、狂気をその身に飼ってなお、理知的で理性的な彼が私には魅力的だったのだ。自らの狂気に毒されることなく、たった一つの【自分】として生き続ける彼が、途方もなく永遠に感じられたのだ。


 狂った人間は自分こそが普通だと信じて疑わない。疑わないからこそ自分がおかしいことに気づかない。だが、彼は違う。自分がおかしいことを知っているからこそ理知的であり理性的なのだ。だが、確実に彼はおかしかった。そこに存在する二つの基準。それこそが私にとっての【永遠】だった。


 人は完全に自分を観測することは出来ない。客観的に自分を見つめているようで、そこには必ず主観が存在する。心理学をかじることもない人生を送っていくのなら、一生その事実には気づかないだろう。


 彼は自分を客観視できていた。そこが不気味で魅惑的だった。

 彼は自分の犯した罪を主観的に語りながら、一方で犯したその罪に対しての自分の悪辣さを的確に把握している。一片の主観もなく、一滴の自己愛もなく。

 罪を罪と認識せずに犯罪に走る人間よりも、罪を罪と認識したまま犯罪に手を染める人間の方が性質が悪いのは知っての通りだろう。彼は、その性質が悪い方の人間だった。



 ──そして私は、性質が悪い人間に堕ちる要素を有していた。


 ──きっと、それだけの話だったのだ。




***




 なぜこんなことになっているのか、私には皆目検討もつかない。ただ、バーで隣り合わせた男がたまたま目的の【レグルス】であり、彼に誘われた。それだけの話だったはずだ。

 しかし、物事はとんとん拍子に進んでしまったようだった。気づけば私はレグルスの邸宅に案内されて、そうして彼の寝室にいる。


「意中の異性に手酷く扱われたような顔をしているな」


 彼のベッドに腰かけている私に、レグルスはさらりと甘い言葉を投げ掛けた。──「俺だったらそんな顔はさせないのに」。陳腐で手垢がついたような口説き文句の癖に、彼がいうと様になる。私とはちがって十人が十人振り向くような美貌の持ち主だから、口から出る言葉も威力が違う。感覚で判別される美しさは、ときに論理的に判断されるべき言葉にも影響を与えるらしい。彼の美しさはすっかり私に心を開かせてしまった。こんなに綺麗な人が【悪い】わけがないと。彼は悪魔ではなく、神に違いないと。


「一晩だけでも夢を見ないか」

「夢、ですか」

「ああ。明日の朝まで付き合ってくれれば、あとは消えてなくなる夢さ」


 全部忘れさせてやろうじゃないか、とレグルスは笑った。


「仕事のことも、憂鬱な恋の悩みも。意地悪な上司の顔も、かけられた手酷い言葉も。君が誰であり何なのかも、すべて忘れさせてやれる」

「……ずいぶん自信がおありのようで」

「何人天国送りにしてきたと思う?」


 悪戯っぽく笑いながら、彼は私のとなりへ腰かけた。少し品のない冗句も、彼が口にすれば一流のジョークだった。持ち合わせる雰囲気、それから人を狂わせるには十分なかんばせが、私の思考を歪めていく。


「俺とは違って君には覇気も自信もなさそうだ。【蛇】に睨まれた蛙みたいに。仕事に失敗したらクビにするぞ、とでも脅されたかい」


 蛇、という言葉に体をびくつかせた私を、彼は穏やかな目で見つめてきた。この青い瞳が金色の眼だったらと思う。そうしたら、私の心は少しばかり慰められるはずなのだ。誰かの中に別の誰かを見つけるのは、ひどく空しいことであったとしても。


「……お見通しなんですね」

「君みたいなやつを何人も見てきたからな」


 よくある話のよくある手さ、と彼は事も無げにいう。翌日にはそんなものはすべて消え失せているし、君もなにも考えずにいられるようになる、と。

 私のとなりに座った彼は、恋人にするように私の腰を抱き寄せた。それは不快なものではなく、どこか落ち着く触れあいかただったのは否めない。私の腰を寄せてくるこの手で、一体何人を殺めてきたのか、と一瞬考えたけれど。それすらどうでもよくなってしまった。


「今夜は君だけを見ていよう」


 艶っぽく腰を擽るような低音で囁かれれば、私ごときの頭などすぐに思考を放棄した。言わばこれは致死量の毒なのだ。私の耳から、眼球から、鼻孔から染み入るような甘美な毒。胸を高鳴らせる柔らかくて甘い声。私だけを見つめる残酷で端正な顔。ふわりと香る薔薇と煙草の香り。すべてが私を狂わせ、そして一つずつ丁寧に殺していく。


 彼にいつ殺されたのかは判然としない。ただ、ひとつ言うとするのなら。


 ──彼に出会った時点で、私はきっと殺されていたのだ。




***




「随分増えましたね、先生」


 私の狂気が具現化したそれを、彼は面白そうに見つめていた。彼にこの稚拙な狂気を悟られるのは気恥ずかしくもあったが、同時にどこか誇らしい気持ちにもなった。


 彼が見ているのは私の作った【彼】だ。いや、【彼】というにはまだまだ未熟かもしれない。なにしろあれらは動きもしないし、劣化も激しい。彼のように永遠の狂気と美しさを閉じ込めた器には成りきれなかった、醜い皮と骨の塊。そんな不完全なものを完全たる彼に見せていることは、私の羞恥心を酷く刺激した。今すぐ彼の目を塞げたのなら。その目を汚してしまったことを詫びたく思った。しかし、彼はそんな私の心中をも見透かしたように柔らかい口調で言うのだ。


「人の剥製か……。なかなかいい趣味なんじゃないですか、先生」

「……まだまだ未熟で。毛髪の処理も甘かったようです。どんどん抜け落ちていく。縫い目も粗い」


 彼が私に向ける敬語には、敬意など感じられない。愚かな人間を見下し見守る、神のごとき威圧感がある。しかし、私はそれが好きだった。敬意の欠片もない丁寧な口調が、どうしてこうも心の琴線を揺さぶるのか。私にはわからない。人は、真の意味で客観的になどなれないからだ。彼に熱中してしまった時点で、私は客観的になどなれやしないのだ。


「そうですか。俺にはどこが縫われているのか、全く判別がつきませんが」


 彼から贈られた賛辞に、私は心が高鳴るのを感じる。それが世辞の類いであったとしても構わなかった。彼が、私の作品を見てそれを批評する。その瞬間がどれ程甘美なものであるか、常人には分かるまい。与えられたのが手酷い言葉であったとしても、私の心は高鳴ったことだろう。


 私は人で剥製を作ることに入れ込んでしまった。もちろん、材料となる人間は合法的に手に入れてきたものだ。私が所属する医療棟には、時おり死体が運ばれてきては秘密裏に処理されていた。この死体の出所と言えば、私の上司の上司──ミズチ・アルテナである。

 彼は有能な諜報員であり、同時に拷問のエキスパートでもあった。彼が手にかけた人間は三日とせずに口を割るとの話もあったし、彼の拷問部屋から出てきた対象者は十中八九、気狂いになって出てくるとも聞いている。


 どれだけの非道を為すのかはわからないが、それほどのことをしてなお狂わずにいられる彼もまた、おかしい人間なのだろう。普通は自らの行為に精神を病み、気を狂わせるのが人間というものだ。人は客観的になどなれない。人に与えた痛みの分だけ、苦しみの分だけ、自分の心も痛め付けていく。だからこそ、私のような精神科医が必要とされるのだ。拷問を行うものにメンタルケアなど不必要だ、と思う人間も多々いるだろう。しかし、人は病みやすく腐りやすいものだ。病んだ人間は、おかしくなった人間は──連鎖的に他の人間も狂わせていく。隣にあったりんごが腐れば、その隣のりんごも腐るように。


 私はそのおかしい人間に狂わされ、狂気に殺された人間で剥製を作り続けている。その目的はなにか。【彼】の模倣である。


 永久に美しく、狂気の象徴であり続ける【何か】。私はそれを作りたかった。私ごときには彼を独り占めすることなど到底許されないからだ。彼を独占することが許されないというのなら、私には彼を創ることしか残されてはいない。

 狂気に食い破られ死んだものを、美しく甦らせる。そうすればものを言わぬ皮と骨のかたまりであれ、私の心を慰める程度には永久を感じさせてくれるに違いないと。


 ぽっかりと空いた眼窩には、決まって鮮やかなグラスアイを嵌め込んだ。もちろん、これが彼の色だからだ。彼もきっとそれに気づいていたことだろう。俺もやってみようかな、と小さく笑いを漏らされたときは天にも昇る心地だった。私が、この卑屈でとるに足らない存在である私が、神にも悪魔にも等しいこの青年にひとつの考えを授けてしまったなどと。おそれ多くも背徳的な悦びだった。


 きっと彼が剥製を作るとしたら、その完成度は私など足元にも及ばないだろう。なぜなら彼は神にも悪魔にも等しい存在だから。私のような所詮【人間】が創るものより、よほど整っているに違いない。それが例え意思だけが存在しない【ヒト】であったとしても、彼ならば実現できるだろう。


「先生もすっかりこちら側の人間かな」


 蒼い瞳が青いグラスアイを見つめながら、死んだ皮膚をそっと撫でる。その指先で私を狂わせてくれたなら、と考えてしまった。並んだ青の瞳はやはり彼の方が鮮やかで背徳的だ。そもそも、模倣品とオリジナルとを比べるのが間違っているのだが。


「いえ。……私などは、まだまだで。貴方ほどでは、到底」


 そんなことはない、と彼はどこか冷えた笑い声を響かせる。本当は私がまだまだ至らないことを、彼自身が誰よりもよく知っているはずだ。それでも慰めを口にするのが彼の優しさであり、狂気であり、残忍さだった。彼は優しい言葉を口にすることで、私を更なる深淵へと導いていくのだ。私にはそれが快くてたまらない。貴方、と少し他人行儀な呼び方をした私に、彼は「名で呼んでくれても構わないのに」と親しげな声をかけてくれた。だが、そんなおそれ多いことが出来るわけがない。私にとって彼は絶対にして唯一の【永久】なのだから。


 もっともっともっと。

 彼の手で。彼の言葉で。彼の眼差しで。

 私を深く昏い狂気へと、誘って欲しくて堪らない。


 ──私は彼と同一になりたかったわけではない。


 ただ、彼の近くで、誰よりも彼のそばで 彼の狂気に酔いしれていたかった。




***




 長くうつくしい指先が私の肌を暴き、ぞくぞくするほど甘美な声が私の耳を優しく擽る。丁寧に、まるでどこかの深窓の令嬢にするかのような手付きで髪を撫でられたとき、私の胸は確かに高鳴っていた。私を見つめているのは、細い瞳孔の金の瞳ではない。どこか残忍な色を滲ませた、冴えた蒼い瞳だというのに。


「いい夢は見られたか?」


 私のまぶたにそっと口づけるその男は、恋人にするように私の目から流れていた涙をぬぐう。火照った身体は男のせいで、流れた涙は誰のせいだろう。どうして流れているのかも、今の私にはわからない。悲しかったわけでも、苦しかったわけでもない。むしろその逆だ。


「貴方は……」

「今夜だけは君の恋人さ。すべて君の望み通りにしよう」


 節くれだった男らしい指先が、私の足をゆっくりと撫で上げていく。甘やかされた身体はそれにもぴくりと反応してしまって、彼はそれをみて淡く笑うのだ。もう少し遊ぶか、と。私はそれにゆっくりと首をふった。それは私の目的ではないからだ。私がここで遊び呆けてしまえば、それはとても幸せなことなのだろうけれど、あの金色の眼が赦さないだろう。誑し込む(たらしこむ)つもりが誑し込まれる(たらしこまれる)など、あってはならないことだから。


 彼とは一夜の関係でいい。今夜だけこの身を委ねてしまえば、明日の朝には──私はまたあの金色の眼と向き合える。今度はきちんと、卑下することなく彼の瞳を見つめられるはずだ。彼は褒めてくれるだろうか。いや、ほめてくれなくてもいい。私が帰ってきたことを認識してくれればそれでいい。この矮小な私に目を向けて、ほんの一時でもその視線を奪えたのならそれでいい。


「他の男のことを考えるとは、余裕があるな」

「そういうわけでは……」


 どんなに陳腐で手垢がついたような言葉でも、彼がいえば最高の口説き文句に変わる。枕にさせるように、彼は私の頭の下に自分の腕を差し入れた。逞しい筋肉のついた身体は、しなやかな肉食獣のようだ。どちらかといえば爬虫類を思わせるかの上司には、これほどの筋肉はついていまい。もっとも、彼は武闘派ではなく頭脳派であるからして、筋肉がついていようといまいとどうでも良いのだろうけども。


 私の匂いと彼の香水の匂いがまじりあう。それから、二人分の吐息と汗と。

 ぐちゃぐちゃになった身体と頭は、まるで彼とひとつになったようだった。自分と他者の境界などこんなにも簡単に蕩けていくものなのだと、朧気になるものだと、私はそのことに驚いていた。

 きっと彼は混じり合うのが上手いのだろうと、そんな馬鹿げたことを考えた。きっと私はある種の狂気に囚われていたに違いない。頭の中にあるのは、私の精神にあるのはあの金色の瞳でありながら、私の身体が求めていたのは彼の蒼い瞳である。その瞳にすべてをさらけ出したかった。きっとこの小さく惨めな体でも、彼ならまるごと平らげてくれると思えたから。


 彼が暴いたのは私の肌だけではなかった。私のすべてを、私の狂気を、私の目的を一晩で暴いていったのだ。


 蒼い瞳に金色の瞳を重ね合わせ、児戯にも劣る行為に身を委ねるのは愉しかった。官能的で背徳的で、どこまでも薄く昏い遊びだった。彼はその狂気を、私のなかに見出だしたに違いない。私がどこまで堕ちるかと、彼は蒼い瞳で嗤っていたのだ。



 ──翌朝、私は日の目を見ることはなかったし、彼が口にしたとおり、何かを考えることもなくなっていた。

 ──ただ、それだけの話だ。





***




 人の死体で創った悪趣味な【剥製】が並ぶ部屋を訪れ、レグルスは冷笑を漏らした。剥製にはお決まりのように鮮やかな色のグラスアイが嵌め込まれている。色はすべて蒼。人の死体で創ったとはいえ、あまりにも似合わない色だった。人の顔に蛍光色の青など、芸術的なセンスが無いとしか言いようがない。芸術的なセンスが欠如した人間など、レグルスは好きではなかった。美しさを理解できない無粋な者は、存在するに値しない。


「こんにちは、先生」

「こんにちは」


 レグルスの目の前にいる部屋の主は、レグルスの名を呼んだことは一度としてなかった。それがなぜなのかレグルスは知らない。歳ならば四十後半、五十にさしかかっていてもおかしくないような見た目の男だ。精神科医なのだそうで、犯罪者の心理を専門に研究しているとも語った。それから、家族はいないと。


「おや、新しい。またあの部屋から?」


 部屋のすみに置かれた台車と、その上に乗った何か。そしてそこへかけられた白い布。その布の下に何があるのか、レグルスは知っている。人の死体だ。彼が新しく醜い【剥製】を作るのに、拷問部屋から調達してきたのだろう。


「はい。今回は越境者だそうで。……ミズチ……私の上の者が」

「拷問を担当したと」

「ええ」

「さぞかし酷い目に遭わされたのでしょうね。可哀想に」

「ですが」


 部屋の主の男の話など聞く耳も持たず、レグルスはつかつかと台車へと歩み寄る。かけられていた白い布に手をかけて、めくった。


「……人のすることじゃないな」


 耳は一つ削ぎとられ、顔の半分の皮も剥ぎ取られている。片目は潰され、引きずり出された舌には無数のピアスが空いていた。ズタズタに引き裂かれる寸前の唇をみて、レグルスは悼ましそうな顔をする。


「狂気の沙汰だ」

「同意です」


 いつの間にかレグルスの三歩後ろに来ていた男が、その遺体をみてうっとりと笑っていた。


「狂気。まさしくもってその通りだ。……美しく、背徳的なものの象徴……私の剥製になるに相応しい素材。そう思います」

「そうか」


 レグルスの声が低く落ちたのに、男は気付かなかった。レグルスが真っ黒なコートのポケットからナイフを取り出したのにも。


「──死体に権利はないんです。いくら切り刻もうと、壊そうと。誰もそれを咎めない。損壊してはならないなどと、言われることはないんです。だからこそ私は、自分の狂気に浸っていられる。貴方とは違って臆病なものですから、本当の禁忌は犯せません……。ですが、児戯にも劣る行為だとしても、擬似的に禁忌を犯すのは……たまらなく心踊ることなのです」


 貴方ならわかってくれるはずだ、と男はレグルスを恍惚の眼差しで見つめる。悪に身を浸し、狂気を従える貴方であるならば、と。


「わかりませんよ、先生」


 ──死体にだって権利はあるんです。


 ピッ、と一閃した銀の光を、男はぼんやりと見つめていた。喉笛が急に熱く痛み出す。斬られたのだと理解して、とっさに喉を押さえた。血がとまらない。真っ赤なそれが手を赤く染めていく。


「権利を踏みにじるものに権利は与えられない。──先生の持論でしたね」


 俺のこと、少しは理解できましたか。


 蒼い瞳を爛々と輝かせ、地に這いつくばった男をレグルスは冷たく見下ろしていた。

 悪趣味な男には相応しい最後だろう。




***




「……あの野郎」


 届けられた真っ黒な箱を見つめながら、ミズチは舌打ちを一つ。サテンの蒼いリボンがかかったその箱を見るのは何回目だろうか。送り主はあの男で間違いないはずだ。黒い髪に蒼い瞳のあの男。


 中に入っているものには大体の想像がつく。どうせ今回も──。


「悪趣味な野郎だよ、本当に」


 中に収められていたのは成人女性の生首だ。赤茶の髪を茶色に染めて、見開かれた瞳の片方にはグリーンの薄いガラスが重ねられている。一見すれば緑の瞳に見えるが、彼女の本来の瞳の色は何の面白味もない茶色だということを、ミズチは知っていた。

 もう片方の瞳は抉られ、ぞっとするほど鮮やかな青のグラスアイが嵌め込まれている。途方もなく悪趣味な贈り物だった。


 この悪趣味な贈り物を、ミズチは何度か見ている。

 一番最初に送られてきたときは、確かミズチの所属部署の下の方にいた精神科医だったはずだ。ミズチが仕事を終えたあと、時おり死体を融通してくれと頼んできた男だったから、顔はよく覚えていた。融通した死体をどうしていたのかはしらないが、後々の調査で何か良からぬことに使っていたらしいことは聞いている。


 要するに、変態趣味。しかしそんな変態が悪趣味な贈り物にされたことなど軍は公表したくなかったらしいので──謎の失踪ということでカタをつけた。あれは確か、ミズチがこの箱の中の女がしくじった任務の尻拭いにおわれていた頃だ。あれはまだ一回目の重大なミスだった。その頃のミズチはまたこの女がミスを犯すとは思っていなかった。


「……おえ」

「きったねーな」


 ミズチの傍らで箱の中を覗いてしまった部下が、口許を押さえてうずくまる。こんなもん見たくらいで吐いてんじゃねえよと舌打ちしながら、ミズチは最後に箱の中の生首を見つめた。虚ろな目とは視線が合わさらない。やっぱダメ(クビ)だったか、と事も無げに呟いた。


「──捨てとけ」


 生首の下に挟まっていたカードには、誰も気づかない。



【《しにたい》と言っていただろう?】


 ──すべて君の望み通りに。


 狂気に魅入られた者の末路なんて、こんなものだ。


 ──ただ、それだけの話だ。

 



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