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輝光のロザリア  作者: 朱音
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プロローグ

曇りなき空。

清々しい迎えた朝に差す一筋の光に目を覚ました僕はいつもよりも軽々と身体が浮き上がった。


今日は僕の12歳の誕生日。


他界してしまった母親にいつも通り朝の挨拶と誕生日の報告を告げるため、祭壇へと脚を運ぶ。

母が他界した理由を12の歳を迎えた夜に教えてくれるという家の約束を胸に写真立てを見つめる。

不安と緊張で胸の鼓動は弾む中でいつものように姉の椿(つばき)が朝ご飯の準備ができたと隣で正座をしながら母に挨拶を済ませながら呟く。


姉の椿は2つ年上の14歳で僕と同様に2年前に他界した理由を知ったという。

それ以来、笑顔が優しかった姉は人が変わった様に子どもから一気に大人になった様に冷静で礼儀よくなったと云える。

しかも今日の姉はいつもよりもピリピリと雰囲気が思わしくない状況に視える。

2人で食べる朝ご飯がこんなに重いと感じたのは生まれて初めてである。


食べ終わった後いつものように学校に行く支度を整える。

鏡を見ると憂鬱になってしまう自分の素顔。

僕は男なのに何で女顔に生まれてしまったのだろうか・・・。

髪の毛はサラサラで顔は小さく、おまけに細身で身長も小さいのでクラスでは女の子のように扱われている。

制服は男物であることに毎日喜びを感じてしまうのが歯がゆい・・・。


姉は先に支度を済ませたらしく玄関には鍵が置かれていて僕も時計を見ると遅刻を気にして慌ただしく鍵をかけて学校に向かおうとすると


「おっそいぞー!何してんだー!?」


と家の前で大声で呼ぶ声。

同じクラスの拓哉(たくや)君が待っていてくれていたようだ。

普段から悪意はないのだろうが、ちょっかいをかけてくるクラスでも問題児として扱われている彼とまるで釣り合わない性格をした女の子沙耶香(さやか)さんが僕を見つめて手を振っていた。

沙耶香さんはともかく拓哉君は宿題でもまた忘れたのだろうか?

いつもよりもスキンシップに磨きがかかっている。

もはやセクハラというレベルで触れ合っている為、沙耶香さんも顔を赤くしている。

沙耶香さんは大人しめで恥ずかしがり屋で眼鏡と前髪で顔はよく見えないけど、女の子の間では可愛いと評判らしいので僕も前髪を上げた姿を見てみたい。

そうだ、僕は男の子なんだ!

そして今日は12歳の誕生日。

世間では小学生同士が付き合ってもおかしくはない(筈)だ!

今日を機に女の子とも親しくなろう。


そう僕はこの日に誓いを立てた。

姉のような律儀で端麗な人間になろうと。


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