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いきる、なう  作者: ねこうさぎ
新しい生活
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神々の大喧嘩1

前回のあとがきでも書きましたが、知人に全然あとがきを読まず、リアルの方で一々聞いてくるやつがいるので、主にそいつのためにww

今回は番外編となっております!

静寂が支配する闇夜、今日この時ばかりはそれぞれ違うペースで時を刻む九世界も時間をリンクさせ、同じ時、AM1:30を指していた。

そんな静寂を打ち破るは、若き神の怒声。

「お前…バッーーーカじゃねえの!!??」

と、同時に響く轟音。精密過ぎる飾りを幾つもつけられた美しい玉座の間の床に一刀の長剣が半ばまで突き刺さり、幾重ものヒビ割れを起こしている。

「なっ!!バカとは何か!!俺はミーミルの泉にて知恵者ミーミルの祝福を受けているんだぞ!!」

その玉座の間の支配者、最高神オーディンは額に青筋を幾つも浮かばせ、そう怒鳴り返す。

「引き換えに左目を失ってねー」

「あ、グロいから魔法であるようにみせとこう」

しかし、その怒鳴り合う2人をハタで見ていた女神2人にちゃちゃを入れられる。

「しかも!お前っ!!それで知ったルーン文字の秘密をベラベラと喋りやがって!!天界の言葉が九世界全土の共通語になるのもそう遠いことじゃねえよ!!」

「それについては悪かったと言っておろうが!!本当にすみませんでしたー!」

「謝る気ねーだろてめー!!」

「はぁ、うるさいなぁ。せっかく記念すべきフレイアちゃんが世界時計(ワールドオクロック)を開発してからの、初使用なのに」

「気にすることじゃないよフリッグ」

女神と神の温度差が少々激しいようだが、こうなった原因はこと冷静な女神のうちの一人、フレイアにあったりする。

「せっかくのって、お前…そのフレイアの身を守るための話し合いをしてんだろーがっ!」

「けど、物作るって大変なのよ!!あんたらは消費者だからわかんないかもだけどね!!初使用は感動するんだから!黙りなさい!」

「もう!うるさい!世界のリンクが切れる!!」

集中してないとできないの!と3人を怒鳴ると3人は気まずげに黙り込んだ。

そもそも、リンクさせていることに意味などない。ただ単に、世界時計(ワールドオクロック)を使ってみたかっただけだ。使用目的はあるにはあるが、それだって、オーディンとフリッグ向けの言わば建前だ。なにせ、フレイアが神器を作るのは初めてだから、指導者が必要となる。

本当の理由はフレイと遊ぶこと。

要するに、新たな遊びのためだ。

何せ、今度の遊びは人間界の表に行く。唯一オーディンの加護によって魔法のないあの世界に不可思議としか言いようがない現象を裏から運んでみよう、という遊びだ。しかし、あそこは表と裏で時間の流れが違うから、活動がしにくい。そのための玩具(ワールドオクロック)だった。

「もういいだろ、切ろうぜ」

「…均衡がどのくらい取れるのか、確認したいの!」

フレイの面倒そうな声にフレイアが拗ねたような声を上げる。フリッグはわかるわかると頷いていた。

「……とにかく、俺は俺の作戦が一番いいと思う」

オーディンが不貞腐れたように玉座にもたれ掛かって言う。それにフレイが頬をピクピクと震わせてから吠えた。

「だーかーら!てめーはバカかつってんだ!!その作戦だけはねぇー!!絶対だ!!」

「はぁ…けど、私もそれが一番いいと思うわよ?」

「はあ?!フリッグまでか!??」

フリッグが肩をすくめて諦めろ、といったように言うとさすがのフレイも後がなくなってきたのか少し顔を青ざめさせる。そして、すがるような視線を未だに砂時計のような、それにしては複雑すぎる形状の美しい世界時計をいじり続けているフレイアに向けた。

「はぁ……今日はここまでかな…」

それに気づいたフレイアは諦めたようにかなり残念そうに世界時計を片付け、揉める3人に向き直った。

「だから、お兄ちゃんは嫌がるって言ったじゃない。当然でしょ?私が行くのが早いって」

じゃー、もうさっさと行くよ?とここから立ち去ろうとした彼女に神速と言って恥ずかしくない勢いでフレイとオーディンが近づき、腕を掴んだ。

「まてまてまてまてまて!!お前はバカか!?お前こそがバカか!!?」

「そもそもこの話し合いの意味を理解しているか!??よし、してないな!!話はそこからだ!!」

はぁ?と盛大に面倒であることを伝える渋面を作り、フレイアはため息をつく。

「…ことの始まりは、トールの不注意でしょ?じゃあ、トールと……ロキを呼んできて話し合いましょうよ…そっちの方が早いわ」

ついでだから、麗麟たちも呼びましょうか、とフレイアは兄であるフレイに声をかけ、神々にとっても尊い存在であるはずの最高神と剣豪をパシった。

2人はほとんど疑問も抱かずに動き始める。フレイは自分とフレイアの聖獣を呼びに、オーディンはトールとロキを呼びに。

そうして静かになった玉座の間にフリッグの美しく妖艶な笑い声が響く。

「ふふ、ロキも呼んでこさせるとわね…」

「……ロキはこういうことには異常なほど頭が回るからね」

狡猾の神ロキ。こちらが不正をする作戦を立てるのなら、これ以上適した人材はいないだろう。

「あなたねぇ…ロキの気持ちに気付いてて、そうやって呼びつけたりするのはどうかと思うわよ?」

少し嫌な感じの笑みに、フレイアも同じような笑みを返す。

「…あら、気づいてるのに気づいてた?」

「ふふ、多分、この世界で私だけはね」

この、恋愛が少ない世界において、フレイアとフリッグほどその感情に詳しい人間はいないだろう。何しろ、2人は恋バナ聞きたさに死んだ人間の魂をここに呼んだりしているのだから。そんな理由から、気付いているのは2人だけのようだった。

ロキが、フレイアに本気で恋をしているという事実に。

「あなたがあまりにもフレイやオーディンと仲良くするから、あの子は最近あの2人とギクシャクしてるわ」

「ふふ、私が本気で好きなのはお兄ちゃんだけだからね」

「あらあら、旦那が聞いたら泣いちゃうわよ?」

「何を言ってるのよ…もともと好き同士で結婚したんじゃないのに」

それもそうだったわね、とフリッグが言う。

本当のところ、フレイアは然程オーディンが嫌いでもない。何なら、好意的に思っている方だろう。もちろん、恋愛的な意味で。

もし、もしも自分にあの兄がいなければ、自分はきっと、オーディンのことを愛しているだろうというくらいには、既に惚れ込んでいる。まあ、それくらいでないと結婚生活を一千年以上も続けていられないだろう。

しかし、現実にはあの兄はいる。そんな状況では、自分が兄よりもオーディンを選ぶということはあり得ないのだ。

けれど、それならば、せめて、旦那に愛しているという事実を伝えてやってもいいものだが、フレイアはそれをできないでいる。

その原因が、今、目の前で妖艶な微笑みを讃えて足を組んで座る、スタイル抜群の女性だった。

スタイルだけ見れば、フレイアよりもいいかもしれないというくらい、見事すぎるボディラインだ。顔は…人の好みによるだろう。

彼女は…フリッグは、おそらくオーディンのことを好いている。それはそれは、深く。自分と兄との仲のように。

…そのうちにでも、子供を作りそうだなぁ

なんて、フレイアは考えて笑ってしまう。

神々の場合、子作りは新たな神の出現を意味する。そのため、早々行うことではないが、行われる時は最大限優秀な神が生まれるよう、親となる2人も優秀な者が選ばれる。

要するに、優秀でない神は生涯子を作ることができないというわけだ。

そして、今、求められている親のペアはいくつかある。

基本は主要神同士だ。

トールとフレイもそのペアのうちの一つ。つまり、男同士でも子を成せるのである。これは、神々の子作りが特殊だから成せることだった。

そして、そんな多くあるペアのうちの一つに、フリッグとオーディンというものがある。これは、フレイアとフリッグのペアに次いで人気があるので、叶えられる可能性が高いだろう。

そんな理由から、フレイアは自身の旦那にあまり多くの愛情表現をしないでいた。

「今回の件、本当に自分で解決しに行く気なの?」

お喋りはおしまい、というように真面目な顔になったフリッグにフレイアも真面目に頷き返す。

「うん。だって、行かないと…困るじゃない?」

「……まあ、あれは私の最高傑作のうちの一つだからね…」

「そうだよ。気まぐれなドワーフと作った最高傑作。もう二度とできないかもしれないじゃない?」

「けど、危ないわよ?そのための、変わり身作戦でしょ?」

「だから…お兄ちゃんは嫌がるって」

フレイアが苦笑して言い返した時、玉座の間に何人かが転移してきた。振り返るとロキ、トール、オーディンが立っている。

「こんばんは、ロキ、トール」

「おー。久方ぶりだな、フレイア!こっちは夫婦水入らずだったんだぞー?」

そう、呑気に話すのは1番背の高い、隆々と盛り上がる筋肉を持つ男。神々一の豪傑と名高いトールだ。

「おい、おっさん。てめぇのせいでこうやって集まってんの理解してんのかよ?」

その横で嫌そうに顔をゆがませているのがロキ。中世的な顔立ちのため、トールの隣にいると女に見えるが、れっきとした男である。

「まったくだ…お前が居眠りしてる間に巨人殺し[ミョルニル]を盗まれたりするから、こんな会議を開いているんだぞ?」

ロキとオーディンの集中砲火にあって、さすがのトールも身体を縮こまらせてすまねえ、と反省する。わかっていなかったわけではないだろうが、忘れやすい正確なのだ。

「そんなんじゃあ、あの神器は取り上げね」

「そ、それだけは勘弁!!」

「なら、俺がもらいたいんだが?」

フリッグの冗談のような本気のような言い方にトールが呻き、今入ってきたフレイが提案する。

「おかえり、お兄ちゃん」

「おう、ただいま」

そのフレイの周りには四人の人影。麗麟と白愛と名もなき麒麟と白虎だ。

「わー!初めてきたー」

「感動するでしょ?ここ来ると」

「よかったな、白愛」

「そう言う君も初めてじゃなかったか?」

などと楽しげに話している。知らぬ間にあの四人は仲良しになっているようだ。まあ、フレイとフレイアが四人のために一軒買って与えているのだから、共に暮らしている間に仲良くなるのは当然とも言えるが。

「じゃあ、話し合いでも始めましょうか」

フレイアの言葉に皆がそれぞれ自分の席を用意して座る。

こうして、主要神全員集合の会議が始まった。

さて、どうでしょうか?

ん?何の話か結局わからなかった?

大丈夫です。明日やります。

もしも、気になるーという方がいれば、北欧神話のスリュムの唄、という項を読んでみてください。ベースはあれで、生きる、なう!!のキャラ版にしているだけなのでww

実はこのスリュムの唄、私が北欧神話にハマるきっかけになった話でしてw

大好きなのです。

この話は川原礫先生のソードアートオンラインの8巻、エクスキャリバーでもベースとして使われていて、とても面白いお話なのです。

というか、川原礫先生のお話は全てとても面白いのですが♡

大好きな作家さんの一人なのです♡

さて、では次回、この会議をするに至ったお話と、フレイがあそこまで嫌がる作戦についてお話ししますね♪

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