月夜のプロローグ
月の明かりがぼんやりと照らし出す。
それは、少し先までしか見通せなくて、
私の未来のようだった。
死んじゃえ。
どうしようもなくその言葉が私の中を支配する。
楽になるよ、全てがおわるんだから。
それくらい知ってるよ。
麗麟や白愛にも会えるかもしれないよ?
その可能性にも気づいてるよ。
じゃあ、死ねばいいじゃない。方法は、いくらでもあるでしょう?
あるけど、できないよ。
どうして?怖いの?
違う。そうじゃない。
ただ、
ただ?
全てが中途半端なままは死ねないよ。
守ってもらって無駄死にはできないよ。
冥界で有った時にさ、土産話は必要でしょう?
私にできることなんでないよ。
あるよ。
できないって、諦めて死を選ぶならさ、
やれるとこまでやってから死んでもいいんじゃない?
いっぱいの人を苦しめた私の結論は、
そんな、子供染みたことだった。
隣で眠るルイードは、
私の所為でロキに目をつけられ、
これまでに二度苦しんでいる。
私を守るように集まった神々は、
自分たちの生活を捨てて来てくれている。
ノアやノトやウンディーネやリコに
痛い思いや苦しい思いをさせ、
今度はホームの移動まで強いている。
だけど、彼らが文句を言わないのだから、
それに甘えさせてもらおう?
私はまだまだ幼いし、
出来ないことも多いけれど、
出来ることもあるはずだから。
麗麟、白愛。
お腹を抱えて笑えるような、
そんな土産話を、必ず持って、
私もそっちに行くからね?
いつもみたいに寂しがって喧嘩とかしちゃダメだよ。
すぐには行けないかもしれないけれど、
きっと、私はもう一度、
2人に会いに行きます。




