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いきる、なう  作者: ねこうさぎ
女神の野望
146/157

閑話休題

本編より、少しだけ先の、イフのお話

世界が平和になって、ルイードとアクアが恋人になった、ある日の出来事

ルイードとアクアはほとんどおまけと言うか、本当趣旨はない

ネタバレは微かに?ただ書きたくて書いただけなので、本当に閑話休題です。よろしければお時間のいい時にどうぞ

「うわぁ、めっちゃ柔らかいね」

「……」

「わー…癖になるー」


一人楽しげな声を上げるアクアと、俯いて微妙な表情を浮かべるルナという光景が繰り広げられるのは昼下がりのルナの自室でのことだ。


「アクア、楽しいか」

「楽しいわ。気持ちいい」

「俺は楽しくないんだが」

「その身体で俺って言うなって、ロキが嘆いていたわよ?」


もにゅ。と形が変わる柔らかい肉にアクアは上機嫌になり、ルナの機嫌はますます下がる。上半身を殆ど剥かれたルナはこれで嫌そうな顔や焦った顔をしていればかなり目によろしくないことになっていただろう。背中から回されたアクアの幼い手が可愛らしくにぎにぎとそれを揉む。きゃっきゃと楽しげなアクアのそれは残念ながらまだ発達前だ。母のフレイアと同じ姿になればそれなりにあるのだが。


「おーい、ルイード!戦闘訓練するぞ」

「アークア!お茶しましょ?」

「アクアちゃん、ケーキ食べさせてあげるわよ」


その時、ノックもせずに突然戸を開けた不躾ものの男の声が二人きりだった部屋に響く。その後からわらわらと女神を筆頭に神々が入って来た。そして、一様に二人の状態を見て、苦笑う。


「あら、ルナちゃん?随分色っぽくなって。私が遊んであげましょうか」

「間に合ってます」

「ルイード、女になると攻守交代なのか?」

「違いますってか、アクアの前でなんてこと言うんですか」


ニヤニヤとさてどう料理してやろうか、みたいな笑みを浮かべるふフリッグとフレイにルナはため息を吐いた。それを見て、アクアはなおも揉みながら首を傾げる。ルナは笑いかけながらそっとそんな彼女の耳を押さえた。


「というか、平気そうだな。やっぱ男はそこは良くないのか」

「もやっとーー」

「いや、感じるはずだ」

「「……」」


耳を塞いでなおアクアに胸を揉まれ放題なルナにフレイがふとした疑問をぶつけると黙って成り行きを見守っていたオーディンがルナが答えるより早くボソリと呟いた。それは然程大きな声ではなかったけれど、妙に部屋に響く。


「…オーディン」


一瞬で底冷えした室内に先ほどまではご機嫌だったはずのフリッグの声が響く。酷く冷たく向けられた不思議な色合いの目は、オーディンの心をより一層冷やして行く。

それを残りの男性陣は生暖かい目で見た。


「…あなた、また浮気したのね?」

「いや…待て、フリッグ。話せばわかる」


二人はいつも喧嘩している…否、フリッグが貶してかかっている様に見えるが歴とした夫婦である。フレイアとオーディンもまた夫婦だが、ここは双子で相思相愛な上フリッグが酷くフレイアを気に入っているので問題にはなっていなかった。しかし、また、とはこれ如何に。アクアは大人の世界って怖いなーとさらりと考えつつもなおもルナの胸を揉み続ける。癖になる触り心地、もち肌で気持ちいいし、何より、ジャストサイズなのだ。


「そうね、話をしましょうか。…どこの男よ」


平坦なしかしドスの効いた声を出しながら失礼、とオーディンを引きずって去って行く幼女(フリッグ)。なかなかにシュールな光景である。

固まってしまった室内にバタンッとドアの閉まる音が響き、なんとも微妙な空気が部屋を支配した。


ーーなに?どっちなの?ヤられたの?ヤったの?

ーーえ、そこなのか?いやまず言い訳を…


不穏な会話が聞こえる気がするとか、そんな些細なことは無視である。


「あいつもバカだな。黙っとけばバレないものを」

「ねぇルイード、感じるってなに??」

「聞こえてたのか…アクアは知らなくていいよ」


耳を塞がれたまま問いかけるアクアにルナは手を離しながら項垂れる。なおも揉まれる胸が気にはなるがそれ以上にアクアに変な知識を与えた2人をどうしてやろうかという気持ちが強かった。


「アクアは魔力感知で音聞いてるんじゃないの?」

「うん。耳は飾りみたいなものだよ」


母子の会話がルナに止めを刺す。声は詠唱の媒介、魔力のあるものが話すと少なからず魔力をまとった言葉に変わる。アクアはそれで声を聞くらしい。大した完治能力だ。


「ルイード、良くなるってなに?」

「アクア…すぐにそれらを忘れてくれないか」

「やだ、知りたい。なに?」

「……………。いつか教えてあげるから、今は我慢しろ」


暫く黙考したルナは最後にはそんな口約束を交わしてしまう。そんなところばかり生真面目で驚異の記憶力を持つアクアはわかった、と頷いて素直に引き下がった。


「アクア、それし続けたらルナの反応が…」

「フレイ、今ならお前を殺せる気がするんだけど、一戦どうだ?」


茶化そうと声を上げたフレイにルナが睨みを送るがなおヘラヘラする彼には意外なところから罰が当たった。


「…フレイお兄ちゃん?なんだかさっきから妙に実体験染みた話し方するのね?」

「…え、ちょ、フレイア?なに急に怒って…」

「ちょっと、お話」


まるでさっきのリプレイの様に連れ去られて行くフレイ。そんな両親の姿に興味のかけらも示さず、アクアは揉み続ける。


ーーあら、ちょうどよかった。フレイアちゃん、こいつの浮気相手なんだけど

ーーああ、フリッグ。私もちょうど、そのことで話があったのよ

ーーすまん、フレイ

ーー違う、謝るな、誤解を生むだろうが


ドアの外の声には気づかないふりをしてルナは胸にある華奢な手を捕まえて引っ張り、腕同じく華奢な体躯を自身の腕の中に閉じ込める。


「アクア、いい加減これやめようか」

「どうして?」

「…むしろなんでこれしてたいの」

「ハマる食感」

「食べんな…」


項垂れるルナにアクアは心配げにどうしたのー?と問いかける。2人が本当の意味で恋人になれる日は遠そうだ。

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