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いきる、なう  作者: ねこうさぎ
女神の野望 準備編
114/157

黒猫の夢

“闇”と、“光”が交わる。


最後の日に。


蒼き魔道書の悲嘆にくすんだ瞳が移すのは、


悠然と、美しく、長く、艶やかな黒髪をたなびかせて自身へ向かってくる、1人の魔女。


黒き魔女の顔に浮かぶのは、嘆きか苦しみかーー歓喜か。


その辺りに散る闇よりも暗い瞳には生気が感じられなかった。


「ーーー!」


蒼き魔道書が半ば悲鳴のように名を呼ぶがその表情は冷酷なまま、変わらない。


暗く、俯いた蒼き魔道書は自身の周りに陣を幾つも、幾千も展開する。


「ほんとに、これで………」


静かな高い声が紡ぐのは、


最後(おわかれ)………なんだね…」


少しもそれを望んでいない、別れの言葉。


黒き魔女は少しだけ悲しみに顔をゆがませたあと、ポツリと何かを呟くが、それは誰の耳にも入ることはなかった。


どこからともなく出した、自身の瞳のように黒い剣を緩く構え、蒼き魔道書に向かって戦闘態勢を取る。


2人の顔から零れ落ちた涙が地面に落ちると同時に、


2人の身体がぶつかり合いーー


幾千の魔法陣が、皿を割るような音を立てて

黒い剣が真ん中で綺麗に折れ、何処かで涼やかな音を鳴らして


ーー黒き魔女の身体を、蒼く壮麗な槍が貫いていた。




黒き神子は目を覚ます。

これを、決して忘れることなく。

未来に視たことを現実とするため。

そうとは知らずに努力する。

神ならざる彼女には避けられぬことで、

未来は確実に、決まった道を歩むのだ。

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