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いきる、なう  作者: ねこうさぎ
新しい生活
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勇者の資格

学校に向かう隆太とノアを見送る。

もうすっかり習慣づいたことだ。

そして、

「ノア様は学校で上手くやっているみたいです。本当によかったです」

「そうだね。ノアは人見知りもしないもんね」

独り言のように呟くアイルにそう相槌を打つのも習慣だった。

ちなみに、毎日同じ台詞の繰り返しだ。

それからはアイルがする家事をできる限りで手伝い、することがなくなってから課題について考える。


人間であること。


神であること。


魔道書であること。


それぞれがそれぞれに利点があると思う。しかし、私は正確には身体は神だけど天界入りは果たしておらず、人間でもないけれど、神でもない存在だ。そこに、魔道書を含めるととうとう何かわからなくなる。

私とはなんだろう。

いく度目かわからない疑問に少しウンザリとため息を吐いた。

取り敢えず、今日もまた、それぞれの特徴を頭の中で纏めてみる。


人間

種族内での縛りが緩い

他種族との婚姻も認められている

連帯感がほとんどない

代わりに差別的思考が強い

同種族の者が多い

寿命がある

病気がある

衣食住を必要とする


種族の縛りが多い

代わりにゆっるゆる

大抵何しても許される

義務には常に危険が伴う

基本的にみんな過保護でチート

天界入りすると100年は人間との接触が禁じられる

常に堕落の危険がある

恐らく普通の神よりも規則がさらに緩い主要神として迎えられる

仕事がある

普通は自分たちを最優先に考えて良いものの、世界や世界樹が絡んでくると自分たちよりもそちらを優先しなくてはならない

寿命はない

同種族の者はそこそこ


魔道書

戦力が格段に上昇する

詠唱の必要、陣を書く必要から解放される

魔法名を唱える必要さえなくなる

生物が生活で行うことが不要になる

(食事は可能。ただし、排泄は不能なので全て魔力に還元される。不能になったことは排泄、呼吸、瞬き、老化、自己治癒※治療魔術での回復は可能、子孫を残すこと、で身体を動かすなどの行為は可能。また、上記の物も魔法を使えば可能になる場合がある)

陣保存の数に際限なし

所有魔力にも際限はないので、魔力溜まりによる魔力暴走の可能性なし

(代わりに感情の高ぶりに敏感。すぐに反応し、保存している魔法陣をランダムに使用して行く)

魔力の扱いに慣れるのでおそらく他者の魔力を弄ることも可能

(ただし、フレイアたちのような魔法の専門家を相手には効果が薄い可能性あり)

同種族の者は1人もいない

寿命はない


以上だけを考えるときちんと神になるという選択肢はない。

だって、100年もルイードに会えないなんて無理だし、その間に人間であるルイードは寿命で死んでしまう。

ならば、人間のままーーと言っても不確定な神、天使というジャンルになるのだろうが。要するに今のままだーーでいるか。

それもない。今のままでは私は闘えないからだ。戦力が低いのをなんとかするために悩んでいるのだから何もしないなんてありえない。

では、条件だけなら一番いいように感じる魔道書ならどうか。

これなら、特に縛りもないし、特に問題はなさそうだ。

永久に種族的に孤独であることと、物言わぬ魔道書に堕ちてしまう可能性に目を瞑れば。

ノアとアイルはあれから毎日術式を考えてくれていて、徐々に完成に近づいている。流石は天才とその右腕と言うべきか、新術式の開発に戸惑うことなく従来の魔法などから次々と術式を取り、完成させて行った。それはもう、私には真似出来ない芸当だ。

しかし、それでもやはり見たことも聞いたこともない魔法なのだ。

あの2人が作ったものがきちんと狙い通りの効果を発揮するとも限らない。

いや、なんらかの事故が起きて当たり前だと思っておくべきだろう。

だが、もし失敗しても私は絶対にあの二人を恨むことはない。そうなった、ということはつまり私が望んだことなのだし、私のために尽力してくれた人を責めるなんて下衆のすることだ。

自我がなくなったって、構わない。

覚悟をして、そう誓わなくてはならないのだ。

まあ、これは毎日考えてることだから、ここから何か話が進むとも思えない。

では、今日は思考を変えて。


私はどうしたいのか


私はどうすればいいのか


私はどうしなくてはいけないのか


これを考えて行こうと思う。

まず一つ目、私はルイードの助けになりたい。

あの呪いを解いてあげたい。

そして、お母さんの計画を成功させたい。

そのためには、魔道書になることは恐らく必須条件だと思われる。なぜなら、今の私の戦力は神々レベルから見れば無いに等しいからだ。そして、戦力を戻す方法も解呪しかないだろうし、それはお母さんにも出来ないと思われる。イズンなら出来るかもだけど、彼女が協力してくれる可能性は薄い上に、封魔はそんなに浸透してないから出来ない可能性の方が高い。

じゃあ、二つ目私はどうすればいいのか。

これは正直わからない。指示されるまで何もできないほど無能じゃないと思いたいけど、動きにくい。何か行動を起こせばすぐに自体が動きそうで。

取り敢えず、最優先ですべきことはわかっている。風属性の習得だ。

実はこれはパーティでやってた頃から何度も話には出ていた。けれど、あの町の近くにグリーンアイズが出なくて、出たら行こうくらいに思っていたのだ。そんなに必要にも思わなかったし。

けれど、この事態になれば話は別だろう。戦力は少しでも多い方がいい。

何と無く、もう、ルイードを助けられる時間が少ないような気がする。

だから、ちょっと焦る。すごくなんとなくで、ルイードがそんなに弱い人だとも思えないんだけれど。

自身の内側から侵食されればどうかは正直、あの短い付き合いだけではわからない。

早く、私は彼に会いたいのだけれど、神々が会わせてくれないし…

愚痴は置いておいて、最後。

私は何をすべきか?

私は…決断すべきか?

生き物をやめる決断を?


「アクア様?」

伏せって考え込んでいた時、掃除を終えたらしいアイルが呼んでいた。

慌てて思考を切り替えて顔を上げる。

「ん、何?」

「大丈夫でございますか?」

心配気な顔で首を傾げられた。

何の話だろう。

「考えるのはいいことでございますが、考え過ぎるのはいいことではございません。ゆっくり、答えを探せばいいんですよ」

にっこりと優しく笑いかけながら言われた…。

「あー…声出てた?」

「うー、と言った声なら」

「ごめんね、ありがと」

苦笑しつつ言うとアイルも苦笑をしながらいえ、と言ってチラリと時計を見た。つられて私も時計へ視線を向ける。

どうやら随分と考え込んでいたようで、既に12時を回っていた。

「お昼をとってから、借りている本を返却に行きますか?ついでに新たな本も探しましょう」

「うん。そうだね」

前みたいに毎日篭っているわけではないけれど、最近もときどきは図書館へ行っている。

あそこは静かで落ち着く。

「ねぇ、アイル」

「何ですか?」

動きかけていたアイルは呼び止めるとピタリと立ち止まり、また姿勢を正して私の方へ身体を向けて立った。見事なものだ。

「図書館で勇者が世界を救う系の物語があったでしょう?」

「はい」

「あれって、世界を救った勇者は誰に救われるの?」

「?」

勇者が世界を救う物語はいつも救って終わりだ。けれど、勇者はいつも魔王と辛い勝負をしてギリギリ勝つ、と言った戦い方をする。決して余裕勝ちではないのだ。

そんな、自身の身体にもしかしたら生涯消えない傷を負って、どこも不自由にならないという保証もない。ならば、世界を救った勇者はその後、誰と共に何をして生きるのだろう?

辛い戦闘の日々で疲れた勇者の心は誰が癒してあげるのだろう?

世界を救ってはい終わりでは、少々勝手過ぎないだろうか?

そう話すとアイルは少し考えてから答えてくれた。

「勇者はパーティの誰かと幸せになるんじゃないですか?」

「そうなの?」

「わかりません。現実にはいないので…けど、旅の中で一番気に入った街に戻るとかするんじゃないですか?」

「住所不定無職の自称勇者になっちゃった勇者は街に戻ってパーティメンバーと幸せに暮らしてエンド?」

「言い方はどうかと思いますが、そうだと思います」

「ふぅん…」

世界を救ったにしては、見返りが少ないなぁ。

彼らは何で救おうなんて思えたんだろう?

「……無理に救わなくていいんですよ。世界なんて」

私の思考が読んだとしか思えないタイミングでアイルが言った。それに私は首を傾げる。

「彼らは無償でしますが実際にはする必要なんてないんです。だって、その程度で滅んでしまうような世界なのですから。好きにさしておけばいいのですよ」

さらっとなんでもないことのように言われたその言葉に私は苦笑した。

「アイルって、可愛い顔して結構なこというね」

「ふふ。アクア様に言われたくはないですね」

にこり、とやはり綺麗に微笑まれるけれど、その笑顔がなくとなく黒く見えるのは…私の気持ちの問題??

「現実に勇者なんていません。だから、想像でしか語れません。アクア様は勇者が世界を救った後、どうしたと思われますか?」

現実に勇者がいない。

それになんとなく、なぜか、引っ掛かりを感じた。

「うーん、どうかな。世界で1番強いんだよね?なら…大切な誰かを守るために生きる…とかかな」

「守るためだけにですか?」

「…うん。私なら、最初からそうする」

「最初から?世界を救わずにですか?」

アイルの問いに頷いた。

アイルは苦笑して、話を続ける。

「この世界に勇者がいないのは、神々がいるからです。この人間界は表も裏も、神々が守ってくださるからです。アクア様、あなたにはそのための力がありますよ。それでも、あなたは勇者にはなりませんか?」

さっきと言ってたことが逆だ。

世界なんて救わなくていいって言ったのに。

そう思って思わず吹き出してしまった。なるほど、確かに私は世界を救うべきなのかもしれない。

けれど、けれども。

「ならないわ。だって私は私が救える範囲をきちんと救いたいの」

とても大切な人を2人も失ってしまった私に、

世界を救う資格なんてない。

もしかしたらしばらく投稿できないかもです

実は、iPhoneで書いているのですが、死んでしまって、ネットに繋げなくなったのです

できることは音楽を流すだけという悲惨な状況に

この話は予め書いていた話なので少しの間だけ母親のiPhoneを借りて投稿しているのですが、例によって例のごとく、私はストックを作っていないので続きがありません

長時間借りるわけにも行かず、続きが書けない状況となっています

パソコンで書く予定ではありますが、残念ながらiPhoneと違い手軽ではないので書き上げに時間がかかると思われます

本当に申し訳ありません

今日、ケータイショップに行こうと思っていますので、恐らくそんなに長くはならないかなと思います



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