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誕生日には歌を  作者: 風花てい(koharu)
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守るべきもの 9

 

 予想できたことではあるものの、竹里冬樹は、謝れと言われて即座に謝れるほど素直な性格をしていなかったようだ。一方、見た目からして素直でおとなしげなマリアは、周囲からの咎めるような視線に対して開き直れるほど、厚かましい性格をしていなかった。


「ごめんなさい!」


 冬樹の背後から飛び出したマリアが、レジスターブック泥棒の疑いをかけられていた国の出身者たちに向かってペコペコと頭を下げ始めた。 

「ごめんなさい。疑ったりして、本当に申し訳ありません。不愉快な思いをさせてしまって、すみませんでした!!!」

「お、おい、マリア?」

「ほら、冬樹さんも皆さんに謝ってください!」

 振り返ったマリアが、気ぜわしげに冬樹を促す。 


「なんで、俺が……」

「なんでじゃありませんよ。そちらのオジサマたちが、おっしゃるとおりです。このレジスターブックが本物であろうとなかろうと、こちらの方々の国を侮辱する理由になりません!!」

 両手の拳をきつく握りしめながらマリアが声を張り上げて冬樹に訴える。それまでのマリアは、冬樹に対してひたすら従順であったのだろう。冬樹の顔が、たちまち怒りで赤く染まった。


「おまえ、何を――」

「だから…… だから、私、最初から無理だって言ったんですっ!」

 ヒステリックにマリアが叫ぶ。「こんな偽物を用意したところで、騙されてくれる人なんていないって。きっと、バレちゃうって」


(やっぱり、偽物なんだ)

 冬樹とマリアの言い争いを、息を詰めるようにして見つめながら、橘乃は思った。


 マリアが本物であるはずがない。要や八重がそう確信している以上、レジスターブックが本物である可能性もないだろう。しかしながら、嘘をついていた本人の口から自分たちを騙すつもりであったことを聞かされるのは、橘乃にしてみれば、やはりショックだ。


(この際だから、ボタンさんの本当の娘さんではないことも、告白してくれないかしら。そうしたら、受けるショックも一度で済むのに)などと橘乃が虫のいいことを考えていると、非常に驚いたことに、マリアが橘乃の期待どおりのことを言い始めた。 


「私も、もう偽者なんてイヤです。これ以上、みなさんを騙すことなんかできません!」

「偽者って、おまえは何を言っているんだ?!」

「いやいやいやいや、もう、本当に、イヤ。あなたの言うことなんか、ききたくない。あなたの言いなりになんかなりません!」


 全身で冬樹を拒否するように耳や目を塞ぎ首を振りながら、マリアが橘乃たちからも遠ざかる。ドレスをまとった女たちがボリュームのあるスカートを翻しては、逃げるマリアを受け入れるように道を開けてやっている。マリアを庇う女たちを守るように、黒い礼装の男たちが、マリアを追いかけようとする冬樹の行く手を遮った。

「私は、ボタンの娘なんかじゃない。さようなら。もう二度とお会いしません!」

 人いきれの中から、マリアが冬樹に別れを告げた。


「……と、あのお嬢さんは言っているが?」

 マリアに追いすがろうとする冬樹にとって文字通り壁の役割をしている男たちが冷淡な表情で彼に問いかけた。

「嘘だ! あいつが、自分から言ったんだ! 自分はボタンの娘だと! 母の形見だといってレジスターブックを持ってきたのもマリアだ! 俺じゃない!」

「そんな嘘、誰が信じる?」

「嘘じゃない! 離せ! あの女! 許さねえ!」

「か弱き女性に暴力を振るうつもりであるならば、離すわけにはいかないね」

 警備の役目もしていてくれた若い男性が、冬樹の両腕を楽々と捻りあげると同時に床に組み伏せ、「どうしますか?」と、要と橘乃に指示を請うた。


「どうしましょう?」

 橘乃は、相談するように要に顔を向けた。 

「マリアさんが、ボタンさんの娘さんじゃないと、自分から言ってくれましたからねえ」

 冬樹は騒ぎを起こしたが、警察に突き出せるほどのことまでしているとも思えない。偽者だとわかった以上、この件で冬樹が茅蜩館に迷惑をかけることもないだろう。心配なのはマリアだが、彼女が逃げていってからある程度の時間も経過している。冬樹に追いつかれることもあるまい。

 ふたりはうなずき合うと、八重と貴子に目くばせした。茅蜩館の現オーナーと総支配人が心得たように微笑みを返し、冬樹に近づいていく。マリアがより遠くに逃げるだけの時間を更に稼いでやろうとしているのだろう。八重の歩く速度は、いつもよりもゆっくりだ。

「冬樹さん。これからは、お商売の方で正々堂々と勝負いたしましょ」

「新しいホテルの開業を楽しみにしていますわ。ですから、今日のところは、どうぞ、お引き取りを」

 八重が顔中を皺だれらけにして冬樹を見上げ、貴子が、有無を言わせぬ微笑みを浮かべながら、マリアが出ていったのと反対の方向にある出口を示した。




「やれやれ、びっくりしたね」

 言わない方がいい捨てぜりふをふんだんに吐きながら冬樹が去っていくのを見届けると、弘幸がほっとしたように息を吐いた。 

「ありがとうございました。おかげで助かりました」

「いいよいいよ。弘晃への良い土産話にもなったしね」

 感謝と謝罪の言葉を重ねる要たちに、弘幸は鷹揚に笑い返すと、「それにしても」と、わずかに顔を曇らせた。 

「冬樹さんは、ちょっと気の毒だったね。どうやら、あのお嬢さんに騙されていたみたいだし」

「騙されていたなんて。あんなの、その場しのぎの冬樹さんの出まかせに決まってますよ。それどころか、もしかしたら、この場から逃げるために、マリアさんと一芝居打ったのかもしれませんわ。お義父さまが、気に病むようなことはありません」

 紫乃が、人の好い優しい舅を慰める。他の客も、紫乃の意見を支持した。誰も彼も、せっかくのパーティーを台無しにした乱入者に憤っていた。 


「あの冬樹という若者が、これからの武里のホテル事業を担っていくとなると、先が思いやられますな」

「セレスティアルとの付き合いは、ほどほどにしたほうがいいかもしれませんな」

 そんな声が会場のあちこちで聞かれた。冬樹が母親とその一族の力を嵩にきて追い落とした秋彦の復帰を願う声も多かった。「ともかく、あの若造ではだめだ」と憤る者もいれば、これから更なる国際化を目指すことになるこの国の大手ホテルグループのトップがあれでは、自分たちのビジネスの足を引っ張りかねないと心配する者もいた。冬樹に妙な言いがかりをつけられた国の人々にいたっては、もはや彼のことを頭のおかしい人間だと認識していた。「とりあえず、茅蜩館は、セレスティアルに負けるな」と、要と橘乃を激励してくれる者も多かった。


「みなさんのお怒りが、こちらに向かなくてよかったですね」

 詫びの言葉を口にしながら、ひととおり会場を回った後、橘乃は、要に耳打ちした。だが、「そうですね」と答えた要は、どこか浮かない顔をしていた。

「どうかしましたか?」

「いや、なんというか、その、出来過ぎている気がするというか……」

「出来すぎ?」

「ええと、つまりですね――」




「ご両人!」

「橘乃ちゃん、梅宮くん、こっちにおいで!」


 説明を始めようとした要と橘乃を、アルコールによって《出来上がっている》赤ら顔の男性たちが手招きする。そろそろお開きの時間だ。「挨拶しろ!」「これからの抱負を語れ!」「幸せのおすそ分けをしろ!」と囃し立てられ、周りより一段高いところに上げられれば、今日の準主役としては、皆さまにサービスしないわけにはいかない。


 冬樹が引き起こした騒ぎについての謝罪から始まった要の挨拶は、茅蜩館のスタッフやこの場に集まった客人たちへの感謝の気持ちに溢れた心温まるものだった。橘乃もマイクを握らせてもらった。話したいことが多すぎて、いつものように少しばかり脱線しかけたが、話し終えた時には、沢山の拍手をもらった。 


「おふたりさん。あらためまして、結婚おめでとう」


 散会の挨拶は、茅蜩館が建つ地域全体の顔役ともいえる、菱屋商事の会長によるものだった。 

「茅蜩館は、いつの時代も私たちの憧れであり憩いの場でありました。新しく生まれ変わる茅蜩館もまた、そういう場所でありつづけることを、私は疑っておりません。それでだね。この会をお開きにするにあたって、今もっとも幸せそうなふたりに、とある大役を引き受けてもらいたいのだが、いいかな?」

 会長が、橘乃と要をマイクの前に呼び戻す。「手を出して」と言われるがまま橘乃が差し出した掌に、飴玉でもくれるような気軽さで会長が乗せてくれたのは、一本の鍵だった。


「これ……」

「そう。本館のグランドスイートの鍵だよ」 

 鍵につけられた細長い金属プレートに記された番号を見て顔色を変えた要に、菱屋の会長が嬉しそうに微笑む。

「新しくなる本館がこれまでの茅蜩館と同じように人との縁を結ぶ場所であるように、幸せな場所であるようにという私たちからの願いを君たちに託すよ。しばしの眠りにつく本館に、君たちが良い夢をみせておやり」

「ありがとうございます。でも、本当にいいのでしょうか?」

 恐縮している要に対して、「よくない! 絶対にダメだ!」と言ったのは、橘乃の父親の六条源一郎だけだった。もっとも、この人の大反対は誰もが想定していたので、本日大活躍の警備担当者の皆さまが既に数名がかりで、彼の手足を抑え込んでいる。


「一緒の部屋なんかダメだ。おまえら、まだ結婚式前じゃないか!」

「その結婚式だって、ほんの数日後だろうが。日程の関係で披露と式の日付が逆転しているだけなんだから、細かいこと言うなよ」

「そーだ、そーだ。ここは大人になって、二人を快く送り出してやんなさいよ」

「今日はとことん呑もう。つぶれるまで付き合ってやるから。な?」

 もがく源一郎を、仲人の篠塚を始めとした男たちがなだめる。ただし、姉の明子の夫の「まあまあ、お義父さん。俺たちの時には、結婚する半年前に同居を許してくださったじゃないですか」という言葉は、源一郎を逆上させただけだった。

「おまえは、明子を強奪しただけだろうがあああああああっ!」

 捕まれていた腕を振りほどくと、源一郎は泣きながら森沢に掴み掛かった。 


「橘乃。俊鷹さんが囮になってくれている間に、ここから抜け出したほうがいいわ」」

 いつの間にか傍に来ていた明子が、橘乃に耳打ちする。紫乃も、笑いながらではあるが、「あなたたちが目につくところにいると、お父さまがいつまでも暴れるから、さっさと行っちゃいなさい」と、手にしていた扇でふたりを追い払うような仕草をする。「後片付けは手伝わなくてもいいわよ。『明日もゆっくりしていていい』と言ってあげたいところだけど…… そこは察して」と、貴子からも背中を押されて、ふたりは、会場を後にした。



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 本館に『スイート』と呼ばれる部屋は3つある。そして、そのいずれもが新館のそれよりも手狭だ。使い勝手も、設計時に機能性が考えられている分、新館のスイートの方が上だと思われる。それにも関わらず、茅蜩館でもっとも人気がある部屋は、ここ本館のグランドスイートである。宿泊した誰かから勧められたとか、歴史的な価値や由緒が感じられる部屋なので一度泊まってみたかったという理由でこの部屋と希望する客も多いが、この部屋を繰り返し利用する客の多くは、この部屋の雰囲気が好きだと言ってくれる。『文明開化の香りを遺した、洋風としか表しようがないのに、どこまでも《ジャパニーズ》な感じがする、なんとも健気で面白い建物』だと評されたこともある茅蜩館の中でも特に茅蜩館らしい特徴を有しているこのスイートは、多くの客に愛されてきた。


 小さい頃からホテルを手伝っていた要にとっても、この部屋は特別だった。子供の頃は、中に入れてもらえなかった。初めて入室した時は、自分が大人として認められたようで嬉しかった。たとえそれが、この部屋の床に掃除機をかけるためであったとしてもだ。


 橘乃にとっても、この部屋は特別であるようだ。


「ここだけは、お掃除させてもらえなかったのよねえ」

 部屋を見回しながら、感慨深げに橘乃が言う。

「そうでしょうねえ」

 いくら橘乃がボタン仕込みの掃除上手でも、部屋係のチーフの小菅が、使い始めて間もない女の子に、この部屋を任せるはずがない。

 

「今日の掃除をしてくれたのも、小菅さんかしら?」

「たぶん」と答えかけた要は、足の短いテーブルの上に飾られた花を見て、「いや、今日は違う……かな」と思わず言い直した。

「要さんって、部屋を見ただけで誰が掃除したか、わかるんですか」

「僕は、それこそ小菅さんではないので、整えられた部屋の良し悪しはともかく、誰が作業したかまではさすがにわかりませんよ。でも、今日は何かと慌ただしかったので、小菅さん以外の人も手伝ったんじゃないかな~って」

 変な感心をしている橘乃に適当に誤魔化しながら、要は、花の美しさに誘われるようにテーブルに近づいた。ぽってりとした丸い花瓶に割合に無造作に活けられているのは、薄紅色の大輪の牡丹。花屋での扱いの少ないこの花をあえてここに飾ったことに、なにかしらの意図があると見てもいいだろう。 


「綺麗ですね」

「あなたも……」

 ボタンが大事に育てた可憐で美しい花。我ながら気障なことを言ってしまったかもしれないと要が後悔するまえに、橘乃がケタケタと笑いだす。

「やだっ、要さんってば、誉めすぎ!」

「誉めたって、いいじゃないですか。っていうか、橘乃さん、今日、みんなから散々誉めちぎられてましたよね」

 笑いながら否定してくれるから、かえって言いやすいことだってある。彼は、照れ隠しのように彼をパタパタと叩いていた橘乃の両手を掴んで引き寄せると、正面を向かせた。驚いたように目を瞠る橘乃に「本当に、綺麗ですよ」と言えば、彼女は耳の先まで真っ赤になった。逃げ場を探すように視線を動かす橘乃に顔を寄せる。嫌がってはいないようだが、橘乃は明らかに動揺していた。


「可愛いなあ」

 心の底から溢れ出てきたような感想を素直に口にする。

「かっ、要さんって、そういう人でしたっけ?」

「ホテルの人間は、誉め言葉を出し惜しみしてはいけないって言われて育ったけど?」

 そういえば敬語禁止命令が出ていたのだったということを思い出して、彼は口調を親しげなものに改めた。

「あ、、、、ああ、そうでした。そうでしたといえば!」

 橘乃が無理矢理話題を逸らそうとする。


「さっき、何か言ってなかったかしら。『できすぎている』とかなんとか」

「ああ、それ……は」

 要は橘乃を捉えていた手の力を緩めた。そして、考える。彼が感じた違和感を、どこからどうやって彼女に説明したらいいだろう。


「中村さまが『冬樹さんがレジスターブックを本物だと信じているみたいだ』というようなことを言っていたのを覚えているかな。実は、僕も同じように感じたんだ」


 いや、正確には『感じた』のではなく『見た』。あの時、こちらを向いていた冬樹は、要に対して『いいぞ』と言いかけていた。『いいぞ。証拠でもなんでも持ってきて、好きなだけ検証してもらおうじゃないか。そうすれば、本物だってことを誰もが納得するだろう』。彼は、そう言おうとしていたのではないだろうか。思いがけない展開に驚き自分に火の粉が降りかからないように責任転嫁に走ったのは、マリアの方だったのではないだろうか。それどころか、マリアは、始めから、ああいう展開を予想していたのかもしれない。始めから冬樹を貶めるつもりで、彼に偽物のレジスターブックを渡したということはないだろうか?


「でも、マリアさんが、どうして冬樹さんを騙すの?」

「わからない。だから、僕の勘違いかもしれない」

 だけど、あの場で冬樹が醜態をさらすことになったおかげで、彼への評価がガタ落ちになったことは確実だ。


 多くの外国人も集まる場で考えなしに他国を辱めるような発言をしたことを、たくさんの人が問題視していた。武里のような全国展開どころか海外進出までしようとしているホテルの責任者に冬樹は相応しくない。そんな声を要は多く聞いた。秋彦の復帰を望む人々も多かった。 


 表向きは秋彦が責任をとったが、冬樹による橘乃の誘拐未遂事件もあった。冬樹の背後を誰が守っていようと、これ以上冬樹を庇いとおすのは難しいのではなかろうか。冬樹を甘やかし放題にしているらしい彼の母親はともかく、それ以外の者は、方々で問題を起こしている彼に愛想を尽かし始めているのではなかろうか。例えば、今日のようなことが後一回でも起こったら、冬樹はどうなるだろう。そのための布石も、既に打たれているような気がしないでもない。


「菱屋の会長がね」

「この部屋の鍵をくださった、おじいさんよね?」

「うん。その人がね、冬樹さんがこの近くに建てようとしているホテルのことは心配しなくていいって言ってくださったんだ。『けっして茅蜩館さんの悪いようにはしないから』って」

 その一方で、菱要は他の客から、屋のバックアップを得て冬樹がテレビを使って新しいホテルの開業計画の発表をするという話も聞かされている。  


「どういう意味でしょう。こんな言い方したらいけないかもしれないけど、菱屋さんが何か企んでいらっしゃるってことかしら」

「わからないけど……でも……」

「でも?」

「すごく自分勝手なことを言ってもいいかな?」

 心配そうな顔で小首をかしげている橘乃に本音を漏らす。


「別に、どうでもいいかな……って」

「どうでもいい?」

「だって、菱屋さんがどう動こうと、困ることになるのは冬樹さんだとしか思えないし」

 酷い考えかもしれないが、冬樹がどうなろうと茅蜩館は困らない。むしろ、どうにかなってくれたほうが、ありがたい。


「あ」

「僕としては、こんな時まで冬樹さんのことで頭を悩まされるのは勘弁してほしいというか……ですね」

 『やっと二人きりになれたのに』と、意を決して耳元でささやけば、橘乃が頬を染めた。温かい頬に、要が唇でそっと触れる。しかしながら、橘乃に人でなしだと失望されるのも、要としては不本意だ。「それとも、今すぐに冬樹さんに警告してあげたほうがいいかな?」と、一応訊ねてみた。


「警告を、今から、冬樹さんに?」

 橘乃は、『う~ん、そうねえ』と芝居がかった仕草で考えるフリをした後、花が綻ぶように微笑むと、「ごめんなさい。私も、ものすごく自分勝手かもしれない」と言いながら要の抱擁にその身を任せた。

 



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