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丁寧な紙使い

作者: Sebastian

20XX年、○月■日

ニュースをお伝えします。

世界の石油資源が少なくなっております。

それに伴い、トイレットペーパーの製作が遅れることとなります。

くれぐれも使いすぎにはご注意ください・・・。

プチッ。

正夫はテレビを消した。

「なんだよ、ったく。何が使いすぎにはご注意くださいだよ。」

そうあなどっていられるのも今のうちだった。


会社に出勤した正夫。

朝の日課のトイレに行く。

そこには張り紙。

"トイレットペーパーの使いすぎにご注意を!"

(ったく、世の中には腐るほどトイレットペーパーがあるだろうが)

と、用を足して個室が出るとそこには部長の姿が。

「あっ、おはようございます、部長。」

「君、トイレットペーパーを使いすぎるなと書いてあるだろ。

君がからんからん回している時の音を聞いてたのだが使いすぎだな。

罰金として1万円をいただくぞ。」

「えっ、きいてないですよ・・・。」

「君、知らないのか今やトイレットペーパーは一巻きで5000円も超える代物なんだぞ。」

「え、そうだったんですか・・・。

で、でも一万円はいかがなものかと・・・。」

「そういってるばかりではいつまでも君は使いすぎるだろう。

あくまでも使いすぎを減らすための高額な罰金だ。

これが会社の方針なんだからね。

え?納得いかないんだったら辞めてもいいんだよ、やめても。」

「い、いや、それだけは勘弁してください。

払いますって・・・。」

しぶしぶ1万円を部長に渡した正夫。

しかし、まだ納得のできない正夫がいた。


次第に少なくなっていくトイレットペーパー。

段々と庶民には手が出せない値段にもなってきた最中、正夫は高騰前に買いだめをしていた。

外の公衆便所にトイレットペーパーが置いてないのは当たり前。

正夫は外出時に必ずトイレットペーパーを持ち歩きしていた。

町にも当然、異変が現れる。

オシリをふけない人が多数いるため、電車に乗った時の匂いといったらたまったものではない。

かといってタクシーに乗って安全かと思いきやそれもくさい、くさい。


ついには正夫が持っているトイレットペーパーにも終わりが見えてきた・・・。

「どこで手に入るんだ、トイレットペーパーめ、どこで・・・。」

正夫はトイレットペーパーに絶対的なこだわりがあった。

手に必ず三回転半巻き、使用する。

トイレットペーパーを使用できない世界など正夫は生きていけないのだ。

気をまぎらわすためにニュースを見る。


・・・だそうです。

次のニュースです。

日本にある最後のトイレットペーパーは皇居にあるそうです。

しかし、民間人が入ることは非常に困難となっています。

国民にお尻を拭く日が再び訪れることがあるのでしょうか?

これでニュースを終わります。


「ふふふ、ふはははっ。」

何を思いついたのか正夫は家を飛び出した。

向かう先は当然、皇居。

そこには既にたくさんの人だかり。

「お〜い、トイレットペーパーをよこせ〜!」

「けつをふかせてくれ!」

しかし、中には銃を持った警備兵が多数いた。

それを恐れて民間人は中に侵入することもできない。

そこに一人の気の狂った人間が現れる。

「ふははっ。

やっとけつがふける、やっとだ・・・。

俺がトイレットペーパーを手にするんだ。

この俺だけが勝者なんだよ!」

警備兵もお構いなしに敷地内に乗り込む正夫。


ずきゅんっ。

当然、正夫は銃殺された。

脱糞しながら・・・。



お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんか、すごく怖かったです。現実的でシリアスで。 最後に正夫さんが死んでしまったのが、少し、ショックでした。 でも、いつかは、こんな未来が来るかもしれないんですね...考えるとものを大切にし…
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