表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の子たち1  作者: あじのこ
65/70

冬 4-14

空がうるさい。ヘリが蝿のように飛び回っている。追われることには慣れているが、あれだけの数が揃えば、さすがに居心地が悪い。


ここも時間の問題か。


オレは頭の中で冷静に状況を整理する。すべては計画のうち。想定の範囲内。だが、それでも綱渡りをしているような感覚が抜けない。


オレの能力に欠点がある。名前を知ること、顔を知ること、それに相手に知覚されずに取り込むためには時間が掛かる。

だが、手間をかけた分だけ有利になる。


念の為、操れる人間を屋上まで連れてきてよかった。彼らには悪いがオレの逃げる時間を稼ぐために、1人ずつ屋上から落ちてもらおう。それなら逃げるまでの時間は十分確保できるはずだ。


目の前の魔法少女はどうしようかな。


洗脳が解けた状態で変身されたら厄介だ。


もう一つ、オレの能力の欠点はこの能力自体には殺傷能力がないことだ。

先ほどの男のように自らを殺めるよう仕向けることは出来るが、それも世界に取り込んでいるまでの間だ。この少女はどうだろう。もう幻惑が解けるのも時間の問題のようだった。


「よし、殺そう」


オレは躊躇なくその細い首筋を両手で掴んだ。

元傭兵の肉体は、こういう時に便利だな。人間たちが与えてくれたこの体は、用途において申し分ない。


「ギャッ……あ、あっ、あ……!?」


言葉にならない声が口の端から零れる。喉の奥で音が絡まっている。オレはその音を意識の片隅で聞きながら、余裕のある声で囁いた。


「可哀想だから最後に教えてあげるよ、魔法少女。本当は君じゃない。もう一人の魔法少女を取り込みたかったんだ。藤原……雪だっけ?」


彼女の目が大きく見開かれる。涙が滲み、光を歪ませる。


「せっ、センセ……なに、を……」

「オレは先生じゃない。イワミタケトでもない。オレは怪人。この世界を……取り込む者だよ」


その言葉が少女の耳に届いた瞬間、彼女の身体がさらに震えた。何かを否定しようとするように。何かに縋ろうとするように。だが、オレはその反応を無視する。


力を込める。


指先から彼女の命が滑り落ちていく感覚。そこに何の感傷もない。ただ、ひどく静かで、ひどく冷たい時間だった。


「……さようなら、魔法少女」


オレはその手を強く握り、首を締める力を増していく。目の前の少女の苦しむ姿に、わずかな快感を覚えながら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ