秋 3-12
クリスは、もう一つのファイルをクリックした。
画面が暗転し、同じく空港の搭乗口の映像が映し出された。
さっきよりも鮮明で、少し広角気味に撮影されている。降り立ったばかりの人々が、規則的に流れ出ている様子が映っている。
クリスはじっとその映像を見つめた。
飛行機のドアが開き、数人が降りてくる。サラリーマン風の男性、家族連れの母親と子供。降りてきた顔が次々と映し出される。
だが、最後に降りてきたのは——やはり、センセだった。
その姿が映った瞬間、クリスの心臓が一瞬、止まったような感覚に襲われる。映像の中で、センセは周囲の人々に混じって降りてきたが、その顔はどこか冷徹で無表情だった。
だが、それ以上にクリスを驚かせたのはその日付だった。
2024年3月初旬
——それは、クリスが本国から日本に到着した日だった。
トーマスとミツキと共に初めて日本の地に足を踏み入れた、あの日。
自分たちが到着したその瞬間に、センセはこの空港に降り立っていたのだ。
そのことが、クリスの頭を強烈にかき乱す。
偶然、なのか…?
頭の中で疑念が膨れ上がる。
このタイミングでセンセが日本に来ていた理由、そしてその動きがどこにも記録されていないことが、クリスの不安を増幅させた。
—それは、クリスが本当に知っていたはずのセンセではない、何か別の存在がそこにいる証拠のように感じられた。
一体、何が隠されている?
クリスはまたしても息を呑み、手を震わせながらスクリーンに目を戻した。




