表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の子たち1  作者: あじのこ
26/70

夏 2-10

白波が打ち寄せる浜辺で、少女たちの笑い声が弾ける。


波しぶきを浴びながら、きらめく海の中を無邪気に跳ね回る魔法少女たち。水しぶきが陽の光を受けて虹のように輝いている。


クリスは砂浜に腰を下ろし、その光景を穏やかに見つめていた。顔にはいつもの笑みを浮かべながら、濡れた前髪をかき上げる。


「……あの子達、飽きもせずにマァ遊んでられるわね」


どこか遠くを見るような目で、クリスはふと呟く。センセが隣で視線を動かし、ちらりとクリスを見る。


 「……ああ」


短く相槌を打ったその声には、わずかな間があった。クリスはそれを気にも留めず、ただゆったりと手を砂に埋める。ひんやりとした感触が、じんわりと体温を奪っていくのを感じる。


波間でじゃれ合う少女たち。その姿はまるで夢のように、儚く、遠い。


クリスの指が砂を掬い、さらさらとこぼれ落ちていく。クリスは波打ち際を見つめながら、ぼんやりと呟く。


「こんな時間がずっと続けば良いわネェ」


ミツキとリサがはしゃぐ声、シオンの穏やかな笑み、遠くで弾ける波の音。焼けた砂の感触、潮風の匂い、空に浮かぶ白い雲──全てが、まるで夢みたいだった。


「……そうだな」


センセの返事は短かった。


クリスは横目で彼の顔を盗み見る。どこか遠くを見つめるような、寂しげな目をしていた。


──センセも、わかってるんでしょ?


こんな時間が、永遠に続かないってことを。だからこそ、願わずにはいられない。


「ねぇ、センセ」


クリスは砂をすくい上げ、それが指の間からさらさらとこぼれ落ちていくのをじっと見つめた。


「……このまま、どこかに消えちゃいたいって思うこと……ない?」


冗談めかした口調だった。でも、その言葉の端には、どこか本音が滲んでいた。センセは少しの間、沈黙していた。波の音だけが、静かに響いていた。


 (こんな時間が、ずっと続けばいいのに……)


胸の奥に広がるのは、懐かしさにも似た感情。けれど、それは果たして本当に「願い」だったのか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ