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三題噺もどき3

ねおき

作者: 狐彪

三題噺もどき―ごひゃくはちじゅうさん。

 


 外からの音で目が覚めた。


 物凄いモーター音と共に、草がはじかれる音が聞こえる。

 そういえば今日はこの辺の地域の一斉清掃の日だった。家のすぐそばに側溝があるので、底の泥揚げと草刈りをしているんだろう。

「……」

 正直うるさいので辞めて欲しい。その音で起こされる側になってほしいものだ。

 一体何時だと思って……うんまぁ、私が起きるのが遅かったのか。

 にしても早いと思うけど、まぁ、この辺の住民は予定がない限り参加しているはずだから、この音が目覚ましになることはないんだろう。参加できなかったら罰金が発生するらしいからな……。

「……」

 我が家は父が参加しているはずだ。母も行ったのかな。何かの役員になっているから行っているかもしれないな。私には関係ないので何も知らない。

 ホント、ただひたすらにうるさいと思うだけだ。

 妹二人は爆睡しているのか携帯をいじっているのか、動いている気配はない。

 こういう物音で起きるのは、私くらいなのだ。

「……」

 寒さに震えながら布団を引き上げて、肩まで埋もれる。

 ぼんやりとした視界の中は、青色に染まっている。

 この景色は何度見ても飽きない。ホントにカーテン変えてよかったと思っている。

「……」

 しかし、せっかくいい夢を見ていたのに。

 私にしては珍しく楽しい夢を見ていたのに。

 ……楽しいと言うか、いいと言うか、平和な夢だ。

 それなのに、こんな轟音で起こされるなんて、ついてない。

「……」

 夢は記憶の整理というけれど、実際のところどうなのだろう。

 確かに出てくる人物は見覚えがあったり、知り合いだったりするんだけど、場所が結構色々あったりするんだよなぁ。知らない景色が広がっていることがある。

 それも、何かの集合の結果なんだろうけど。

「……」

 しかし、今日のは今までに見たことのないタイプで少し、不思議だった。

 そんな景色絶対見たこともないし、参加したこともないはずなのに。

 やけにリアルで、声も綺麗に聞こえていたりして。

「……」

 あぁ、もしかしたら、テレビやアニメで見た映像を基にしているんだろうか。

 ……だって、現代に生きていて舞踏会というものに参加したことがある人なんて、ほんの一握りでしかないだろう?少なくとも私は聞いたことがない。そういう催しとかはあるかもしれないけれど、そういう物に参加したことがある人を見たことがない。

「……」

 しかし、その見たことも経験もしたことのない舞踏会にいたのだ。

 夢の中での話だけれど。

 これが一人称だけでなくて、三人称から見える景色も夢では見れるから面白かったりする。だって、運動嫌いの私が躍っているんだぞ……信じられるか。

「……」

 どんな衣装を着ていたかの詳細まではもう忘れつつあるが、それなりのドレスみたいなのを着てはいた気がする。

 しかも、踊りの誘いを、受けて、踊っていた。

 残念ながら、その誘ってきた側の顔がおぼろげで見えなかったのだけど。

「……」

 いや、残念でも何でもないか。知り合いだったり、昔好きだった人だったりした方がなんか気まずい。いやもう知り合いなんて誰も居ないんだけど。亡くなっているとかじゃなくて、単に連絡を取れるような知り合いがもうほとんどいないと言うことだ。特に男子何て……いるわけがない。彼氏いない歴=年齢の人間だ。いたとていいことはないと思う。

「……」

 しかしこうして夢を見ることがほとんど毎日のように私はあるんだけど。いいものだろうと悪いものだろうと、覚えて居ようと忘れて居ようと、何かしらの夢は見る。……現実は見ないけど。

「……」

 そういえば、動物って夢を見ることがあるんだろうか。

 たまにこう、動画とかで寝ている犬が足を動かしているのを見て、走る夢を見ている、というのを見るけれど。それって、人間からの視点であって、単純に何かの反応だったりしないんだろうか。まぁ、可愛げがある方がいいので、夢を見ているとした方が、閲覧数は稼げるんだろうけど。

「……」

「……」

「……?」

 うん?よくわからない方に思考が飛んだな。

 脳内BGMがうるさくて、どうにか止めようとした結果、ぶっとんだ。

 なんだ、夢の話はもういい。動物が見ていようが見て居まいが、関係なかろうて。

「……」

 寝直すのも無理そうだし、起きるとしよう。

 体を起こして、棚の上に置いてある眼鏡を手に取る。

 そういや、動物でも視力悪いやつとかいるのかな。








 お題:眼鏡・舞踏会・動物

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