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呪ってやる

 長い長い階段を下り、先ほどの部屋に向かう。

 お札が貼られていた部屋の奥には南京錠があった。私は南京錠に鍵を差し込んでみるとちょうどハマり、ガチャリ、と部屋を閉ざしていた鍵が開く。


 そして、鎖を扉から外し、重たそうな鉄扉を開けた。

 

「うわ……すげー本の数」

「書斎だけでなくここに本がたくさん収められていたということか?」

「らしいね。でも、これ全部……」

「あぁ……」


 私はこの本たちの共通点に気づく。


「呪いの本だ」


 全部呪いに関する本だった。

 呪いとはなにか、呪う方法や呪いを解く方法などさまざまなもの。

 それと同時に、とある一冊の題名もない本があった。私はそれを手に取ってみる。その本は黒ずんだ液体で少し引っ付いていたが、中を読むことはできるようだ。


『○日春。今日は好きでもないアーデール家の令嬢と婚約を結んだ。素っ気のなく可愛げのない女だと聞く。貴族だから仕方ないが、あまりいい婚約とは呼べなさそうだ』

『○日春。アーデール家の令嬢と会った。噂通りつまらなさそうな人だ』


 日記帳のようだ。

 内容はこの屋敷の主であったであろう貴族とアーデール家という貴族令嬢との日記。

 読み進めていくと、日記の主がアーデール家の令嬢に惚れていた。惚気ていて、幸せそうに感じた。


『○日冬。幸せだ。そろそろ結婚しようと告げた』

『○日冬。結婚式を挙げた。国王様や俺の同期の騎士たちにたくさんの祝福を受けた』


 幸せそうな日記だ。

 が、突然日記の内容が変わった。


『○日春。許せない』

『○日春。俺の妻を殺した使用人、貴族を殺してやる』

『○日春。俺の愛していた妻を奪ったあの貴族も、あの貴族を野放しにしているこの国も全てが憎い』


 なにがあった?

 そして、次のページには。


「おわっ!?」


 血で書かれたような文字で一面全体に殺すと書かれていた。

 そして、次のページを開いてみる。


『○日春。アーデール家は呪術に詳しいらしい。この国を呪うために必要なことを聞いた』

『○日春。アーデール家の奴らと共に呪いを実行してみた』

『○日春。いまだに国は呪えない。だが、俺の方には何か違和感があった』

『○日春。呪おうとしたのが間違いだった。俺はもう時期死ぬかもしれない』

『○日夏。どんどん自我がなくなっていく。もう日記もつけられない。だが、地下室は妻との思い出の場所でもあるのでここは傷つけたくないし誰にも見せたくない。だからこの場所を封印して鍵をかけて隠しておこう。俺の自我があるうちに』


 ここから先は無くなっていた。

 悲しい物語があったんだな。人を呪って自分が呪われたのか? 

 何があったのかは知らないが悲しいことがあったらしい。

 もしかしてあの化け物って……。私の考えが合っていれば……。


 …‥その答えは見つけないほうがいいか。

 とにかくここには何もなさそうだ。


「メロン、ここには何もなさそう……」


 と、私が言いかけると。


《呪いの日記を閲覧しました》

《新たなスキル:天狐の呪い を取得しました》


 というアナウンス。

 呪いの日記……? まさかこれ自体呪われてるってこと? まぁ、あんな殺す殺す書かれている日記が呪われてないわけないか……。

 私は天狐の呪いを見てみる。


《天狐の呪い:種族天狐が使用できるスキル。周囲の魔力使用量を増幅させる。なお、味方にも効果がある》


 というものだった。

 要するに私以外の敵味方関係なく、消費MPが多くなるということだ。

 私がソロでやるならまだしも、味方がいる時にこれを使うと、味方もスキルや魔法を使った際に消費するMPが増えるらしい。厄介だな。


「どうかしたか?」

「いや、スキルを手にいれただけ」

「スキル? 私は何も手に入れられてないぞ?」

「んー、妖怪だけが手に入れられるんじゃないかな?」

「それ、あり得るかもな。私は種族が妖怪ではないからな」


 呪いか……。

 こういう愛も呪いみたいなもんだよな。呪い呪われ、恋焦がれ。

 愛は呪いだよね〜。













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― 新着の感想 ―
[一言] 愛が呪いになり得ることに同意しますが、日記の主が愛することを学んだ人を明らかに失ったのは悲しいです
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