特別氷魔法
クレバスの中にこんな宝箱があるとは。
宝箱。見たら開けるしかないよなァ?ニチャリ。
『怪しくない?』
『目の前に宝箱があったら開けるのがゲーマーの性だろ!』
『罠、罠!』
私は宝箱を開く。
ゆっくりと開かれた宝箱には魔法の書が入っていた。魔法の書。それは魔法を覚えるために必要なもの。
なんの魔法かは調べないと分からず、私は手に取り、埃で隠された題名を調べる。
「特別氷魔法・氷柱マシンガンを覚えるスキルの書……。覚えるには水属性魔法スキル、風属性魔法スキルがそれぞれ30必要……。あっぶな、足りてる」
火属性を40まで上げたので、今度は風と水を同時進行で上げてた。スコティッシュに獲得スキル経験値が2倍になるアクセサリーを作ってもらって、ひたすら魔法を使用していた。
おかげで火、水、風は全部30を超えてる。光とか闇とかはまだ上げてないけど。
私はとりあえずこの場で覚えてみた。
魔法を覚えると、魔法の書は燃えてなくなる。使い切りタイプなのよね。
で、私はとりあえず使ってみたいが……。魔物いなさそうなんだよな。
いや、いるにはいると思うけど……。とりあえず出ていこう。
私はウイングの背中に乗り、地上へ向かう。
地上に着くと、見事な快晴であり、逸れてしまった二人の姿はなかった。
とりあえずカメゾーにここでお別れとだけ告げておき、私は氷柱マシンガンの試運転に向かう。
木の下に大トナカイがいた。ちょうどいい。私は氷柱マシンガンを使う。
「氷柱マシンガン!」
魔法を唱えると、私の周りには無数の氷柱が現れた。
無数の氷柱は私が狙った標的めがけて勢いよく飛んでいく。
大トナカイは逃げようとしていたが、この氷柱は追尾型らしい。私が打つのをやめないかぎりこのマシンガンは止まる気配なさそう。
ただ、放つごとに魔力が減っていってるから使えるのも限られるか。
追尾する氷柱は大トナカイに突き刺さり、無数の氷柱が大トナカイを刺し殺した。
『うわぁ』
『えげつねえ』
『オーバーキルだろ』
うん、これオーバーキル……ではない。
これ、一発の威力はあまりない。私の魔法攻撃力でもそこまでダメージは出ない。が、連写できる追尾弾と考えたら相当強い。
でもこれ雑魚殲滅にはめっぽう良いな。囲まれた時とかこの氷柱で弾幕作ったら負けなくね? あと、追尾するのもめちゃくちゃ厄介この上ない。
「これめっちゃ強いスキルだわ」
マジで強い。
「いやぁ、このイナリちゃんはどんどん強くなってくねぇ〜! 私ってやっぱめちゃくちゃ運がいいわ!」
私はとりあえずこの辺りの魔物を氷柱マシンガンで薙ぎ倒していく。
レベル上げにもいいわこれ。オートでやってくれるから時折MP回復してやれば無限に撃てる。
「これゲームバランスおかしくない、よな?」
多分、本来はもっと威力はでないはず。
「弾幕ゲー始まったな」
多分、追尾なかったら割とそこそこのスキルだったはず。追尾つくだけで非常に厄介なスキルに成り上がってしまった。
「……よしっ、とりあえずこの山を今日は探索していこう。まだスキルが眠ってるかもしれない」
山が私を呼んでいる。
なぜ山に登るのか。そこに山があるからだ。




