ケモ耳ついただけでケモナーとは呼ぶな
北海道に帰って来て、私はそのままのテンションで配信を開始することにした。
「ヤッホー! みんなー、玉藻イナリだよー! 今日は……というか、昨日嬉しいことあったからゲリラ配信しまーす! いえーい!」
私の出演した広告が放映されるのは少し後。一応秘密にしておいてくださいと言っていたし、私はレイドバトルというものが来ることを知ってしまったからね。
まだ発表されてないから秘密。
「今日はスキルレベル上げ中心かなー? 前回、天狐っていうものになったでしょ? 魔法スキル、覚えたんだ」
私は一応魔法スキルを見せる。
魔法スキルは全属性買って、それを全部あげるんだけどこれが面倒くさい。
他人から魔法を教わるときも、魔法の基準レベルというものがあって、そのレベルに達してないと覚えることができない魔法もあるのだとか。
だからスキルレベル上げって大事なのよ。
「んじゃ、早速……」
と、拠点から出たとき、目の前にいたのは。
馬鹿でかい亀の上に乗ったカメゾーと、馬鹿でかい狐のモンスターに乗った知らないやつがいた。
玄関開けてすぐに出くわしたものだから思わず叫んでしまう。
「おわあ!? なに!?」
「やぁ、動物愛護団体名誉会員玉藻イナリ! 久しぶりだね」
「っと。私とは初めましてだね。私はフォクシー。狐の獣人でやっているプレイヤーだよ。ふむ、確かに狐だね」
「……フォクシーさんだいぶ狐の見た目っすね」
「私はケモナーだからね」
顔がもう狐。
獣人ってこういう感じにもなれるんだな…‥と思いつつ、また変な人か……とも思った。
いや、ケモナーの性癖を否定するわけではないけど動物愛護団体だもんなぁ……。
「ふっ、獣はいいぞ。特に狐。時にイナリ君。ケモ耳はケモナーに含まれる。マルかバツか」
「え、含まれ……」
「そう、含まれない! 人間にケモ耳生やしたものを好きだと言い張り、それをケモナーだと言い切るバカがいる! 私はそれが許せない。君はまさかその程度でケモナーを名乗るつもりではないだろうな?」
「いや、名乗るつもりないですし……」
「ならばよろしい! イナリ君。共にこの人間にケモ耳ついた程度でケモナー呼びする輩を滅ぼしにいかないか?」
「い、いかないです……」
思想が過激すぎるんだよ。
コメント欄でもまた変な人とか言われてるよあんた。なんで私の目の前に変な人しか来ないんだ。
「リーダー。趣旨が違うだろう?」
「そうだったな。こほん……。イナリ君、君に聞きたいことがあるのだ」
「なんでしょう……」
「進化はどうやってするのだ?」
「あー」
今の今まで知らないで生きて来たんか。
攻略サイトにももう載ってる情報だけど……。
「進化の泉というところに飛び込めば」
「そうか、なるほど。ありがとう!」
「それが聞きたかっただけなのに狐に乗って……。てかカメゾーはまた新たなモンスターだし」
「ああ。こいつはグランドタートルのたっ君だ」
「こっちは大狐のセンコちゃん。ふふ、可愛いだろう……と、センコちゃん。なぜイナリ君に傅いているのだい?」
センコちゃんは私にぺこりと挨拶して来た。
あー、もしかして私が天狐だからか? 一応狐の妖怪の最上種でSSランクの妖怪らしいしな……。
狐の魔物は私を見て少し恐るのかも。
「では、イナリ君! 共に行こう!」
「えっ!?」
「進化の泉の場所は知らないのだ! 私と共に! センコちゃんのモフモフに包まれていざ行かん!」
「私スキルレベル上げが……」
「ふっ……。わかっている。たっ君が美しすぎて動けないのだろう? 無理もない。あぁ、この美しい甲羅……! 実にエレガント!」
「センコちゃんモフモフでちゅね〜! またよろちく頼みまちゅよ〜!」
ログアウトしていいっすか。




