魔界
妖湖に飛びこんだ私の体はそのまま浮上することなく沈んでいく。
だがしかし、湖の底が妙に明るかった。私たちはそこめがけて泳いでいくと、水面から顔を出す形で知らない泉にいたのだった。
「ここが、魔界?」
「そうだ! ふはははは、我、再び来訪!」
「ふぅン」
「普通の森の中みたいですねぇ」
見た感じは私たちが歩いていた森の中だと思えるが。
私は泉から出て整備された道を歩く。とてとてと歩いていると、木製の橋が見えてきた。夜の暗い橋の道を人魂が照らしている。
「はーっはっは! 我がやってきたぞ!」
と、アンテが声を上げると。
「アンチテーゼだ」
「アンチテーゼ!」
人間ではないやつらがアンテのもとに集う。一つ目小僧にから傘お化け、ろくろ首……。日本に伝わる妖怪がアンテに集っていた。
妖怪たちは私のほうを見る。
「君も妖怪?」
「え、妖怪なの?」
「九尾だ」
「えっ、九尾様!?」
九尾と知ると、妖怪たちはいっせいに頭を下げた。
尻尾が九本あることを確認した妖怪たちはホンモノだと理解できたようで、なぜだか知らないが敬われている。
なんでそこまで敬ってるんだろうと疑問視していると、アンテが説明してくれた。
「妖怪たちにもランクがあるのだ。九尾は一番偉いランク。我は鬼になっているから二番目に偉いランクなのだ」
「なるほど。顔を上げて。私の仲間紹介するよ」
そういうと、妖怪たちは顔を上げる。
「フォーチュン、ヨ。種族は魔女」
「魔女ですか!」
「あら、いい反応ネ」
「魔女って妖怪ランクなんぼ?」
「西洋のものだから測定不能ではないか?」」
「あー」
日本には魔女いなかったもんな。
となると、ここに来れるのはそういう妖怪とか魔女とかそういうくくりにいる種族ということだ。つまりスコティッシュも……。
「私はスコティッシュですぅ。えっとぉ、種族は化け猫で……」
「化け猫?」
「はいぃ。新たな種族にこの前なったんですねぇ」
「へぇ」
だから入れたのか。
マルーンたちは妖怪のくくりの種族ではなかった……ということになる。私たちはそれぞれ化け猫、鬼、魔女、九尾だから入れたというわけか。
「九尾様。魔界に何の御用でしょうか」
「単に興味本位で来たんだけど……。よければ魔界について教えてくれないかな」
「はいっ!」
私はとりあえず魔界について教えてもらうことにした。
視聴者も魔界について知ることができるからこれは無駄じゃないだろう。
私は一つ目小僧に魔界について説明を受ける。
魔界とは妖怪、西洋妖怪が暮らす場所らしい。様々な妖怪が過ごしており、魔界を納めるのは閻魔大王と呼ばれる魔物。九尾がSランクの妖怪ならば、閻魔大王はSSランクの魔物らしい。
九尾意外と高いんだな……。たしかに物語でも九尾は強いイメージはあるが。
「魔界のどこかに、妖怪が進化できる泉があるという話もあるんですよ。まぁそれはあるかどうかわからないんですけど……。一説によると魔界を納める長、閻魔大王様もその泉で進化なされたのだとか」
「……へぇ」
進化か。
お祭り狐でもまあ悪くはないのだが、さすがに九尾のほうが名前の響き的にかっこよかった。お祭り狐はスキルのためだけになった感じがあるのでちょっと変えたいなとは思っていた。
進化、してみるか。
「その泉探してみるよ。ありがとう」
「い、いえ! 九尾様のお役に立てたのなら幸いです!」
早く進化したいなァ。
進化欲すごぉい




