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魔界へ行こう

「みなさんこんばんはっ! 天下不滅のお祭り狐、笑ってなんぼの玉藻イナリでーす!」


 私は視聴者に挨拶をして配信を始める。

 今日はママたちとではなく、マルーン、アンテ、フォーチュン、スコティッシュ、ヒバナ、ロロとともに配信活動を行うことにした。

 もちろん全員に配信に出る許可はとっている。


「今回はうちのクランのメンバーで冒険をね、したいと思ってるんですよ」

「イナリさん、どこへいくんですか?」

「魔界」

「魔界? 存在するのか?」

「らしいっすね。自分もあまり詳しくは知らないんすけどレシピ本に魔界のナシとかそういうの書いてあるんであるっす!」

「鍛冶のレシピ本にも魔界鉄というのもありますしあるんでしょうねぇ……」


 そう、ある。

 魔界というのは詳しく調べてみたら、妖怪たちが住む町のようなものらしい。どこにあるかは不明であり、魔界には妖怪がたくさん住んでいるのだとか。

 私も九尾という種族ではあったし、妖怪という単語もあったから妖怪が住む町はどこかにあるんだろうなとは踏んでいた。


「ちなみにどこにあるノ」

「わかんないから探す?」

「そうだね……。まぁ、イナリちゃんとなら一緒に探したい」

「魔界、か……。以前どこかのNPCが魔界について喋っていた……」


 アンテもしかしてなんか知ってる?

 アンテを見ると、アンテは不敵に笑う。


「いいだろう! 教えてやる! 我は魔界には先に行ったことがあるのだ!」

「なんだって? なぜ先に言わないんだい?」

「いずれ紹介しようと思っていたのだ……。行き方は簡単だ。この王都を少し先に行ったところに地図にも載っていない妖湖ようこというものがある。そこから行き来するのだ」

「へぇ、そんなのあるんだ」

「我が案内しよう。さぁ、覚悟はいいか、皆のもの!」

「おー!」

「わ、わわ、私も行きますぅ!」

「スコティッシュも今回はついてくることは決定してることだよ。それより、本当にあるのか? ボクはこの付近はすべて探索しているが、そんな湖みたこともない」

「ある」


 アンテは断言していた。

 たしかにマルーンの気持ちもわかる。地図には載っていない湖だとしても、湖みたいな大きさだとしたら気が付くはずなのだ。

 そんなものがなぜ気づかれないのか。なぜ気づかれずに存在しているのか。


 もしかして妖湖というのは出現条件というのがあるのではないだろうか。そういうフラグを建てなくては目に見えない、とかか? 

 だとすると、私たちは行くことができるのか?


 疑問点が湧き出て来るが……。


「ごちゃごちゃ考えても仕方がないワ。案内してもらいまショウ」

「そうっすね! アンテがいけるというのならいけるんでしょう!」


 ということで、私はアンテの案内の元、妖湖に行くことになった。

 拠点とは真反対の方向にあるらしく、王都を突き抜け、先へ進んでいく。森の中に入り、分岐する道を左に進んでいくと、たしかにそこには湖があった。

 紫色に染まっている湖。


「え、ある?」

「はーっはっは! だろう?」

「ある? ボクには何も見えませんが」

「えっ!?」

「私にも見えないっすね……」

「え、あ、あります、ありますよぉ?」

「何もないけど……」

「あるワ」


 どうやら見える組、見えない組がいるらしい。

 私には確かにはっきりと湖が映っている。スコティッシュ、フォーチュンにはきちんと見えているらしい。が、ロロちゃん、マルーン、ヒバナには見えていない。

 どういうことだ? 私たち四人は条件を満たしているから見えているってこと?


「なるほどね。条件があるってこと。つまり、私、フォーチュン、スコティッシュは魔界にいけることができるってことか」

「そういうことになるな。ほかのメンバーは仕方ない。我も行く条件はわからんのだ。我はフラグを建てたから入れるというだけだからな」

「わ、私が何で入れるんですかねぇ……」

「わからん。見える者は行けるということだ。行くぞ!」


 と、アンテは湖に飛び込んだ。


「アンテが消えた……?」

「じゃ、私たちも行こうか」

「そうネ」

「溺れ死んだりしないですよねぇ……?」

「しないしない。じゃ、ごめんね。行ってくる」


 私たちはぴょーんと湖に飛び込んだ。











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