溶岩ガエル討伐戦 ②
溶岩ガエルが大きく鳴きわめく。
そして、ぎょろっとこちらを向いたかと思うと舌を伸ばしてきたのだった。フォーチュンはバリアを張ろうとしていたが、その手を止める。
「嫌な予感がするワ……。バリアではなく、回避するのヨ」
「了解だ!」
「なんかわかんないけど了解」
私はその舌を躱した。
舌を出しっぱなしにしている溶岩ガエル。アンテが攻撃しようと近づいたとき、舌が突然動き、アンテをつかんだのだった。
「なっ……!」
「ゲコオオオオオ!」
「あいつ溶岩の中に一緒に行くつもりだ! 溶岩の中に連れ込まれたら死ぬだろ!」
「急いで止めるワ! 狙いはこれだったのネ!」
フォーチュンは魔法を放つ。が、溶岩ガエルは怯まなかった。
アンテがもがいてなんとか脱出を試みてはいるが、拘束力が強くほどけないようで。ずり、ずりと溶岩ガエルは足を引きずりながら溶岩のほうに近づいていく。
タイムリミットは近い。どうするか……。と考えていると。
横から弓矢が飛んできた。
「ぼ、ぼぼ、ボクだって戦いますよ! 見ているだけというのは無理です!」
「マルーン……」
「この前はボクのせいでイナリさんが炎上してしまったんです! ボクにもやらせてください!」
「……わかった。あの舌を集中攻撃できる?」
「やります!」
あの舌を切れればなんとか。
斬撃属性ダカラ切断だってできるはず。この中で斬撃属性を持つのはアンテと、弓矢を使うマルーンのみだ。
アンテを助けたいのなら切断するしかない。
「第一の矢……。威力重視の第三の矢でいきましょう……。第三の矢! ヘビーボウガン!」
と、マルーンが何かを唱えると、持っていた弓矢がデカくなり、マルーンは弦を思い切り引き絞っていた。
そして、そのデカい弓矢から矢が豪速で放たれる。放たれた矢は舌に当たって……。
「いよしっ! 切断!」
「あ、当たってよかったぁ……」
「ナイスマルーン!」
「感謝するぞ! 貴様に対する評価も変えなければならないな!」
「ありがとう。それより、あと少しです!」
「わかってんよぉ!」
私はメイスを構えてぶん殴る。
溶岩ガエルは私の攻撃を受けた直後、硬直し、そのまま地面に倒れ伏せて消えていった。ドロップの品が落ちる。
ドロップ品は溶岩ガエルの溶岩と、溶岩ガエルの厚皮、そして食材の溶岩ガエルの足肉という食材が手に入ったのだった。
な、なんとか勝ったなァ。苦戦したぜ……。
「マルーン、キングルビーの採掘頼める?」
「お任せください! 採掘致しましょう!」
マルーンはピッケルを構えてキングルビーと向き合う。
そして、マルーンは数回ピッケルを振り下ろすと、壁からキングルビーが落ちたのだった。キングルビーはものすごくデカく、私の顔ぐらいの大きさがある。
さすがはキングといったところか。随分とデカい……。
「これ何に使うんだろな」
「私の杖ヨ」
「杖に?」
「杖には宝石が必要らしいノ……。スコティッシュに現時点で一番強い杖の作成を頼んだワ」
「なるほど。だからキングルビーを」
「手伝わせてごめんなさいネ」
「いや、かまわないよ。ボクとしても、同じクランの人が強くなるのは賛成さ」
「今度は我の武器だ……!」
「私も武器そろそろ更新しないとなァ」
最近あまり戦ってないから忘れていたが、今はレベルが40付近と現時点でもめちゃくちゃ高いレベルだ。
結構高いレベルまで来てるのにこんな序盤も序盤、めちゃくちゃ弱い武器っていうのはなぁ。攻撃力が足りなさすぎる。
スコティッシュに頼んで作ってもらおう。
「とりあえず目的も達成したし帰ろうか」
「そうですね。ここにはもう用事はありませんし」
私は洞窟から出る。
外のほうが涼しそうに見えるな。さっきまで目には溶岩が映ってたからな……。視覚の温度差がすごい。緑が生い茂っている。




