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配信しゅーりょー!

 なんとか這いずって魔女の家までやってきた。

 ママとリキエルさんはすでに到着していたが……。


「リキエルさんめっちゃ焦げてるしママ関節おかしくない……?」

「まぁVにはよくあるバグみたいなものよね」

『メタメタで草』


 コメント欄が見える。

 というか、聞こえてるのか。となると、配信を開いてる不知火さんがどこかにいるはずだよな……。

 私はキョロキョロと探していると。


「私はここさ」

「えっ、ちっさ……」


 ママの手のひらサイズまで縮んだ不知火さんがいた。、


「飴だからねぇ。舐められたら溶けてくるさ。それより……我輩もそうだがイナリ君も身体が溶けて液体状だが?」

「あはは……。それより鍵は?」

「ありますよー」

「あるぜ!」

「我輩の分はママに渡してある。イナリ君は?」

「私のなら身体の中に」


 私は身体に手を突っ込み鍵を取り出した。


「人間やめているねぇ……。では、早速渡してこの魔法を解いてもらおうか」


 不知火さんがそう言ってリキエルさんがお菓子の家の扉を勢いよく開けた。

 魔女はお茶を啜りながら、まるで私たちが来るのを知っていたように不敵に笑っている。


「ふぇっふぇっふぇっ。鍵は?」

「これで全部です〜。戻してもらえますよね?」

「ひーふー……確かに全部さね。わかった。私は約束は破らないよ。じっとしていることさね」


 そう言って魔女は魔法を唱えた。

 ボフンっ!と煙に当たり、私たちは煙に包まれる。


《スキル:チョコレート射出 を取得しました》


 なんて?

 煙がなくなると、みんな元のアバター姿に戻っていた。ちゃんと私は人間の形に戻ってるし、ママもグネグネしてた関節とか元通りになっている。


「あー、面白かったわい。私はこれで満足じゃ。鍵も集めてくれてありがとのう。これで私は心置きなく、過ごせるってものだよ……」

「その鍵……なんか大事なもんがあるのか?」

「ああ……。これは私の亡くなった娘が眠る墓の鍵でね。見つからずにいたんだ。大まかな場所はわかっていたが……それがわからなくての」

「それで探させに? お菓子にする必要があったんすか?」

「お菓子にした方が何かと都合が良い。高いところから落ちてもグミの体だったら平気だっただろう?」

「そうですね。身体も伸ばせましたし」

「クッキーの体は焦げるだけで済んだ」

「あ、あぁ。生身だったら死ぬかと思ったぜ」


 なるほど。お菓子の体であることに利点があるんだな。

 グミは柔らかいから落ちても平気、クッキーはまぁ焦げるだけ……。

 人間の体だと小さくなれないから飴に、液体じゃないと入れないからチョコに。

 合点はいく。


「なら素直にそう言ってくれたのならここまで怒らなかったのにねぇ。魔女殿も少しは正直に話して欲しいものだ」

「あたし達が出会った時お菓子になりたいやつとか言ってたよな」

「見ず知らずの奴に素直に何か頼むのは恥ずかしいじゃろ。感謝しとる。また好きにくるといい。お菓子は君たちを歓迎するでの」

「ふふ。わかりました。では、私たちはこれで」


 そう言ってお菓子の家を後にした。


「それで……不知火先輩たちもスキル手に入れただろ?」

「グミ射出というスキルを」

「私は飴射出さ」

「あたしはクッキー」

「私チョコレート射出」

「どうよ? 一斉に使ってみようぜ?」


 そういうので私はチョコレート射出を使ってみた。

 手のひらをかざし、唱えると手のひらからものすごい量のチョコレートが射出され、木にかかり冷えて固まっていた。砕けはするが……。


「なるほど。手のひらからそれぞれお菓子を出すスキルのようですねぇ」

「クッキーマシンガンだぜ!」

「我輩とイナリ君は液体状のものを射出し対象に当たったらすぐ固まるようだ」

「固形物射出して意味あるのでしょうか」


 わからん……。しかもグミってダメージもそこまでないよな。クッキーもあるかと言われたらないけど。

 私はチョコレートをかけて目眩しとかにはできるけど。


「さてと。時間もいい時間だ。そろそろ配信を終了しよう。またこの4人でコラボできる日を待っているよ」

「だな。じゃ、ばいなら」

「バイバイでーす」

「さよなら三角、また来て四角」


 配信のカメラが下された。


「不思議な体験でしたねー」

「だな。あたしもビックリしたぜ。まさかクッキーになるなんてよ」

「ゲームの中だからこそできる芸当だねぇ。流石に溶けたイナリ君はビビったが」

「チョコレートですから。ちっこくなった不知火そんもビビりましたよ」

「ふふ。お菓子ってのは凄いですねぇ。あ、サイダーの泉です! 少し飲みましょう!」


 ママはシュワシュワとするサイダーの泉に手を突っ込みサイダーを飲んでいた。

 私もサイダーを飲んでみる。


「炭酸つっよ!」

「でもうめえ」

「甘くてとてもおいしいな。ゲームだからこそ体型を気にせず飲めるというものさ」

「Vって太ってもバレないですよね」

「だが……女性としては流石に気にするだろう?」

「まぁ」


 私太らない体質だからわかんないけど。


「あたしはそんなこと気にしたことねーなぁ。好きなもん食って好きにやる!これがベストよ!」

「私はちょっと気にしちゃいますねぇ。この前少し体重が……」

「リキエルは太らない体質なのが羨ましいねぇ。イナリ君はどうだい?」

「私も太らない体質ですからねぇ……」

「くっ……」


 太らないってのそこまで羨ましいもんです?












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