戦闘が苦手なスコティッシュさん
あ、ありのままッ! 今起こったことを話すぜ!
九尾の力を手に入れたかと思ったらレベルが1に戻されやがった。何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何されたかわからなかった……。頭がどうにかなりそうだった……。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。
「またレベル上げかよ……」
「で、でもぉ……。ユニーク種族にはなれたんですし……。レベルがものすごく上がってからなるよりはマシだったと考えたほうが……」
「それもそうだけどっ!」
スコティッシュさんの言うことも一理ある。
もっとレベルが上がった状態で下げられるよりはマシだった。だが、またレベル上げ作業をしなくちゃいけない。エリアを封鎖しているボスを倒しに向かいたいし。
「レベル上げるかあ」
「はいぃ……。あ、その……レベル上げには私も参加させてほしいです……」
「いいよ!」
「い、いいんですか!? こんな寄生虫みたいな行為!? 寄生プレイはあまり好まれないのにぃ……」
「だって戦うの苦手なんでしょ? 倒す敵がちょっと多くなるぐらいだから問題ないよ」
パーティを組むと、経験値が半分に分けられるから倒す量がちょっと倍になるだけだしな。それに、生産職といえどレベル上げは必須事項ではあるから、手伝える時には手伝ったほうが私のためにもなるし。
「あ、ありがとうございますぅ。ついていきます!」
嬉しそうな笑顔を私に向けるスコティッシュさん。
この人は生産職としての腕前は誰よりもある。もし声をかけられて引き取られたとしたら……。これってNTRに入るのかな。NTRでは抜けないんだけど。
うーむ。想像したくないな。可哀想なものは抜けない。
NTRされないためにも、彼女に尽くすか。
私たちは狩り場へ移動し、まずは魔羊を狩ることになった。スコティッシュさんも完全に戦う気がないというわけではなく、最初の武器であるショートソードを取り出し、両手で斬りかかる。
「えいやぁあああああああ!」
「外してる……」
「えいっ!」
「また空振り……。ショートソードで攻撃外すことはまずないんだけど……」
戦闘が本当に無理なのが伝わってくる。
こういうできない子を演じてるのかと思ったが、動き的にこれはガチでできてない。
「うう……」
「えっと、スコティッシュさん。片手で、力まないで振り下ろしてごらん」
「えっと、こうですか……?」
スコティッシュさんは剣を振り下ろす。
だがしかし、魔羊に少し傷を与えた程度だった。
「……私が倒すよ」
「すいませぇん!!」
私は魔羊をメイスでぶん殴り倒す。
また魔羊を見つけ、今度は狐火スキルを使ってみた。小さい火の玉がたくさん現れ、火の玉が魔羊を襲う。魔羊の毛に火が付き、そのまま焼死体と化して消えていった。
弱点は火かぁ。狐火は火属性スキルか。
それに、威力も割と申し分ないな。魔羊に撃ったからわかりづらいが、火力はある。
「おお、かっこいいですねぇ!」
「でしょ? 今のがさっき手に入れた狐火ってスキル」
「私もそういうかっこいいスキルが欲しいな……。でも戦えないし持ってても無駄だぁ……」
「一人で言って勝手に落ち込まないの……」
「うう……。私もなんとか戦闘が苦手なの克服しますぅ……。ご、ご迷惑をおかけしますが私の成長を見守っててくださいぃ……」
「それはいいけど……」
スコティッシュさんは自分の苦手なものを克服しようとはしているようだ。
すごい向上心。私なら不得意は不得意のままで得意なこと伸ばすんだけど……。