九尾
レベル20にあがった。
長かったぜ。まだ始まりの町すら出てないからな。学校から帰ってきてはゲームでレベル上げして、もう発売から一週間は経過しただろうか。
一週間も経つとゲームの攻略情報などは耳に入ってくる。
「ボスがいてボスのせいでエリアがね……。ふふん、今の私なら楽勝よ」
ただ、それは配信で倒したいから今は倒さない。
始まりの町付近で何か面白いイベントが起きないだろうか。例えば種族が変わるとか、そんなの。
たまにあるんだよ。超序盤にそういうイベント。それを探してみようと思う。
「わ、私が付き添いでいいんですかぁ?」
「いいよん。一緒にまわろ!」
「ありがとうございますぅ。お役に立てればいいんですけどぉ……」
スコティッシュさんも誘い、とりあえず始まりの町をぶらつくことにした。
こういうイベントって街をくまなく探さないと発生するクエストとかが見つからないんだよな。
私は街を歩きながらスコティッシュさんと世間話をしていた。
「スコティッシュさんはやっぱ自分の工房とか持ちたい感じ?」
「いずれ持つと思いますぅ。やはり作る拠点があるのとないのとではかかる費用とか違いますので……」
「あー、拠点なかったらお金出して借りなきゃいけないのか」
「はいぃ……。私は戦闘が大の苦手なので金策も難しくて……。前作はピッケルとかで鉱石を採掘して売り払って金策してたんです。今作もそうしようと……」
「んー、ならさ。私も出すから私とギルド作らない?」
「え、ええ!? ギルドですかぁ!? イナリ様と!?」
「そう。私も必要な素材があれば取りに行くからさ。それに、生産職としてはものすごい上手いスコティッシュさんを逃したくないし」
「そ、そう言ってもらえるなんて嬉しいな……。わかりました! 私もギルド組みたいですぅ」
スコティッシュさんはふんすと鼻息を吐く。
ギルドは2名から申請が可能らしい。私がリーダーで、スコティッシュがサブリーダー。
名前を書いて登録するのだが。
「ギルドの名前どうする?」
「えと……イナリ神社とか……?」
「ネコ要素ないけど……」
「いいんです。リーダーはおイナリ様ですし! それに、おイナリ様は有名なV様なので私の名前入れない方がよいかと……」
「それもそっか。わかった。イナリ神社で登録するね」
ギルド申請として、私とフレンド登録してる人の名前が必要。スコティッシュさんをギルドに招き入れ、無事ギルドが出来上がった。
ギルドを作る利点としては、他人にはレア度4以上のものを無償で渡せないのだが、ギルドメンバーにはどんなレア度のものを無償で渡せる。
ギルドでないと高ランクの素材や武器を取引するにはお金が必要になるのだ。
「これでイナリ神社の開幕ですね。夢見たいです」
「そこまで喜ぶことかな……と。なんか来る」
目の前に歩いてきてるのはキツネだった。
路地裏にキツネがいて、こちらに歩いてくる。キツネは私を見ると、私に飛びかかってきた。
そして、キツネが私に抱きついたかと思うと、消えていく。
「なんだ?」
《種族が変更されます》
《種族:九尾 となりました》
《スキル:狐火 を習得しました》
《種族が変わったのでレベルが1に戻りました》
というアナウンスが。
「種族変わった!」
「み、みたいですねぇ! 尻尾が九つに……」
「ほんとだ。あとちょっとデカくなってる。尻尾が」
「ふふ、噂には聞いてましたがあるんですねぇ。さっきのキツネはなんだったんでしょうか」
「さぁ……」
さっきのが種族が変わるイベントか。
そして、種族が変わったことにより。
「レベル1からやり直しかあ」
レベルが戻されてしまった。
おい、せっかく20まであげたのに。なんで日だ。