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炎上の顛末

 イベントが終わり、私はSNSを見た。

 SNSで案の定、都城 桜、天津風あまつかぜ リリス、犬塚いぬづか 公人きみとというVが炎上していた。

 私の名前もトレンドにあったのだが。


『イナリさんは自ら棄権したからいいんじゃない?』

『ママに諭されたんやなぁ。それできちんと止まれるあたりまだマシ』

『ママ優しい』


 と、擁護のツイートもあった。が、だがしかし私もそこそこ炎上していた。ですよね。はい。

 私は弁明のツイートもせず、謝罪動画をすぐ投稿した。本当に今までで一番編集作業とかはかどったと思う。

 父さんたちからもちょっと苦言をもらいました。ごめんなさい。


 で、マジのガチで謝ってる動画なのにめちゃくちゃ笑われてるコメントついてるのはなんでなんでしょう。

 反応を見るとふざけてるわけじゃないのに笑っちゃう。とか許してあげるというか、上げるって配信で行って秒で上げてて草とかいうコメントばかりだった。

 謝罪は早いほうがいいです。今回ばかりはしても仕方のない炎上ですから。


「イナリちゃんはそういうところで変にまじめだから炎上も結構穏やかですんでるわね」

「こういうのは誠実になるのに限る」

「そうそう。うちの都城とか天津風とかひどいわよ。最後まで結局やり通した挙句、都民は運営にクレーム送ったみたい」

「うわぁ」


 私は北海道に再び来たママとカフェでアローライフの人たちのことを聞いていた。

 都民、運営にクレーム送っちゃったかぁ。自分たちが悪いのにねぇ。


「でもママすっげえ株上がってますよね」

「イナリちゃんを引き留めて、天津風と都城にもきちんと注意していたのが知れ渡ったからよ。それは怪我の功名。そして、都城 桜は無期限活動停止処分になったわ。炎上が多くて今回は擁護できなかった、都民たちが自分たちが悪いにもかかわらず不公平だと意味が分からないクレームを送ってそれを容認したこととかでね。天津風ちゃんは私のところで少しだけスタッフとして働くことになったの」

「ああ、だから後ろにいるんですか」

「何すか!? いて悪いっすか!? 同じ炎上した仲間なのに!」

「いや、悪いってことはないけど……。止まろうよ……」

「あの時は本当にハイで止まれなかったんす! 今回のことで得た教訓は調子に乗りすぎはダメってことっすね!」


 なんという開き直り方。

 まぁ、悪いという自覚があるだけまだましなのかもしれないけど。


「ママ、あの時は本当にすんませんしたぁ!」

「いいのよ。反省してるなら。今度はきちんと止まりましょうね」

「押忍!」

「私個人勢だから活動停止とかは事務所で言われないんですけどねぇ。個人勢でよかった……よくないけど」

「なんならうち来てもいいのよ?」

「いや……事務所所属ってしがらみ多いじゃないですかぁ。私ってどちゃくそ下ネタ好きですし? そういうのNGになるのはちょっと……」

「あー、たしかに過度な下ネタはだめっすよね!」


 そういうのが嫌なんです。


「あと、イナリちゃんといえばもう一個の話題だよね?」

「そうっすね! あの女子高生女優のヒーロー! そのエピソードがあって炎上もすぐ鎮火しましたもんね!」

「ネットニュースになってましたね」


 さすがは話題の女子高生女優。

 私の配信での話が瞬く間にネットニュースになっていた。もちろん私がうんこを漏らしたこととかは書かれていなかったが、玉藻イナリが私のヒーローという大きな見出しで書かれてた。なんならスポーツ新聞にも載った。


「あんな秘蔵な話あったなんて」

「偶然ですけどね。ほんっとに」

「あの話だけでロロちゃんファンもイナリちゃんめちゃくちゃ擁護してたよね」

「そうっすね! やっぱ大女優の命を助けたなんて言うのはデカいっすね!」

「ありがとうロロちゃん」

「そんな正義のヒーローはロロちゃんの本当の活動休止理由知らない?」

「あー、炎上して次の日にうちに尋ねてきたとき……」


 ロロちゃんが私の家を訪ねてきて、久しぶりと笑っていた。父さんたちも誰という話はしていたが、あの時のロロちゃんというと懐かしそうな顔を出していた。

 ロロちゃんは今が楽しいと言っていた。活動休止したのはちょっと心残りといっていた。理由を聞いてみた。


「ロロちゃん、役者業に専念しすぎてマジで学業がやばいってことで活動休止らしいです」

「学生だものね」

「そういう不祥事とかじゃなくてよかったですよ」

「そうっすね。私たちとは違ってよかったっす!」

「不祥事を起こした二人……。ほんとあんたたち反省しなさい」

「「はい」」


 反省します。











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― 新着の感想 ―
[一言] 終わりよければすべて終わりよ(笑) 人生は頂上か深淵への一方通行だ
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